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No5078
蔵王・屏風岳
屏風岳 1825m標高点
山行種別 山スキー
ざおう・びょうぶだけ 地形図

トップ山スキー>蔵王・屏風岳(南蔵王・スキー滑降)

山行期間 2015年3月21日(土)
コースタイム すみかわスキー場(7:15,7:30)→澄川(8:45)→屏風岳(11:35,12:01)→昼食休憩(12:17,12:43)→水引平(12:57)→南屏風岳(14:18,14:30)→白石スキー場(15:20)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
屏風岳の北尾根を目指す(左下が澄川になる) 井戸沢を渡る(すぐ下流は滝) 澄川の渡渉箇所
雪面は固くうねりもあり歩きにくい 左には後烏帽子岳 杉ヶ峰〜前山の稜線
北屏風の壁が見えてきた クラックができ始めている 壁の状態は良さそうだ
北には刈田岳と熊野岳 稜線には雪庇が発達している  トップは◯樹さん
ドロップ! あっと言う間に高度を下げる 藤◯さん
熊○さん 大斜面に酔いしれる 我が会の若手黒◯君
斜面によっては縦溝が目立つ 南へトラバースする まったりと昼食休憩
水引平へ登る 水引平 左が南屏風で右が北屏風
南屏風 急斜面をトラバース 稜線に乗る
斜面状況を観察する 縦溝はあるが深くはない いよいよ滑降
トップでドロップする 加◯さん 黒◯君
藤◯さん 滑り終えた南屏風の壁 コガ沢を下降

行動記録
 積雪期に南蔵王を仰ぎ見ると、まるで白い衝立か壁のように見えるのが屏風岳(北屏風)と南屏風岳(南屏風)の東面である。朝日を浴びれば白く輝き、非常に魅力的な姿となって目に映る。我が家から南屏風岳までは直線距離で約16kmなので良く見えるので、毎朝起きると確認するのが習慣になっている。厳冬期は雲を被っていることの多い稜線だが、3月に入ると徐々に安定してきて晴れ間が増えてくる。週末山スキーヤーにとっては、滑るチャンスが増えてくる時期なのだ。しかし、3月7日と8日に行った南屏風ではガスのため満足に滑ることができなかった。さて、21日は好天の予報なので北屏風にトライしようと考えていたが、せっかくの好条件なので南屏風も含めてワンデイで滑ったら面白いだろうと考え計画してみた。懸念事項は19日にまとまった降雨があったことだ。それが斜面の雪にどのように影響しているのか分からなかったが、それは現地で判断するしかない。ワンデイでW(ダブル)屏風を滑るとするとルートはいくつか考えられるが、今回はすみかわスキー場を出発点とし白石スキー場に降りる縦走形式とした。メンバーは自分以外に4人。いずれもお馴染みのメンバーである。
 白石スキー場に○樹さんの車をデポし、すみかわスキー場へと移動する。準備をして予定より少し早く歩き始めた。冬期間は雪上車道となっている観光道路を登っていく。道路が澄川左岸に近づいたところで下降点をうかがい、1330mで左手の樹林に入った。下降するとすぐ井戸沢だが、すぐ下流は滝で切れ落ちており、もっと上で下降した方が良さそうだ。井戸沢の右岸は澄川の左岸でもある。この辺だろうと思う箇所から急斜面を下降する。雪面が固いので慎重に下り澄川に降り立つ。澄川はこの辺りでは雪で埋まっているが、少し下流では口を開けているし、さらに下は滝となって落ちている。難なく対岸に渡り、樹林帯の斜面に取り付く。急斜面で雪も固いのでちょっと手こずるが、やがて尾根に乗りひと息つく。ここは屏風岳の北尾根末端になる。オオシラビソの樹林の中を登り標高を上げていく。うねりがあって歩きにくい上に、ところによっては雪が固く凍っていてスキーのエッジも効かない。こうなってくると北屏風の斜面状況が大変気になる。はたして滑ることは可能だろうか。とにかく現地判断するしかない。
 森林限界を超えると視界が広がる。左にはすぐ間近に後烏帽子岳、右には前山から杉ヶ峰の稜線の向こうに直線距離で50qの朝日連峰。今この瞬間に此処にいられることに感謝したくなる眺めだ。杉ヶ峰の東面に縦溝が見えた。1700m以上でも雨が降ったということであり、さらに心配が増してくる。やはり1600mを超えてもまだ雪はガリガリだったが、そのうち斜度が緩やかになり北斜面から西斜面に変化すると、雪がやや緩んできたように感じる。東斜面に寄ってストックで突いてみると、表面がゆるんできている。日射と気温上昇のお陰だろう。切れ落ちた東斜面を観察しながら歩いていく。屏風岳の稜線は雪庇が発達しているので、エントリーポイントは雪庇を避けられるところということになる。山頂の少し手前に良さそうなところがあり、今日のエントリーポイントとした。山頂直下も魅力的なのだが、滑り出しの斜度が50度以上にもなるので、W屏風の滑降が主目的である今日は見送ることにした。
 さて、いよいよ滑降だ。斜面の雪もゆるみ始め、まずまずのコンディションである。雨が流れたことによる縦溝はあるが、それほど深いものではなく滑降にさほど支障はないだろう。準備をして自分に気合いを入れる。藤○さんが斜面を覗き込み吸い込まれそうだと言う。そう、それも魅力なのだ。◯樹さんにトップでの滑降を勧める。◯樹さんは斜面に横に滑り込み少し観察していたが、意を決してスキーを下に向けた。ジャンプターンを1回2回すると、エッジを引っかけたようで転倒した。思わず滑落かと息を呑んだが、とっさに体勢を立て直して事なきを得た。今滑っている斜面は下部までクリーンだが、落ちて良いわけがない。続いて北屏風の壁を滑るのは初めてとなる3人が続き、最後に自分がドロップした。壁の中ほどまで下降すると斜度も落ち着く。予定では壁の基部まで滑り、秋山沢の支沢を登り返す計画でいた。しかし、ここまで予定より時間がかかっており、登り返しの標高差を考えると南屏風が厳しくなるので、壁の中ほどからトラバースすることにした。主稜線と水引入道のコルである水引平の下までトラバースし、昼食休憩とした。稜線とは違い三方を斜面に囲まれ、暖かく静かで穏やかなので、山に包み込まれているような心地よさがある。
 シールで水引平に登ると南屏風の壁が見えてくる。ここから夏道どおりに稜線に登ろうとすると、かなりの急斜面でシール登高はできない。スキーを担ぎツボ足で登るかとも考えたが、斜面をトラバースして稜線に乗ることにした。7日に行ったトラバースを逆からするということだ。この斜面は雪解けが進むと雪崩れることもある。まだこの時期は大丈夫とは思うが、間隔を開けてトラバースしていく。声がしたので振り返ると、藤○さんが滑り落ちていくところだった。雪が柔らかいのでゆっくりなのだが、なかなか止まらない。高さで20mほど落ちてようやく止まった。我々は一足先に稜線に到達し、藤◯さんが登り返してくるのを待ちながら斜面を観察した。こちらの斜面にも縦溝は入っているが、支障はない程度で大丈夫だ。単独のスキーヤーが歩いてきたので話しをすると、壁をこれから滑るのだという。彼は我々より北寄りの斜面を滑るつもりのようだ。これまで何度も北と南の屏風を滑ったが、他のパーティーと遇ったことはなかったので何か嬉しくなる。
 今度は自分がトップでドロップさせてもらう。いやはや愉快痛快。壁の下まで標高差400mの滑降は最高だった。下から壁を見上げる皆の表情にも満足感が溢れている。後はコガ沢を下降するのみ。雨で沢の口はどうなっているかと思ったが、意外や以前より雪で埋まっているところもあった。雨と気温により両岸が雪崩れて沢を埋めたようで、穴に気をつければ4月上旬までは滑ることができるだろう。右岸をひと登りし、スキー場の下部に滑り込んでW屏風のワンデイ滑降を終えた。今回は1日で両方の屏風の壁を滑るという試みだったが、天候に恵まれ雪も思ったより良く、まずまずの成果を得られることが出来た。惜しむらくは北屏風を壁の基部まで滑り降りなかったことだが、それは次回の課題としよう。
※屏風の壁は急斜面です。滑降には雪質の判断、エントリーポイントの選択、雪崩への注意が不可欠であり、滑降には十分な配慮が必要です。(K.Ku)

概念図

ルート図 登り=赤 下り=青

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