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No5068
西吾妻山・二十日平
1982.0m二等三角点峰
山行種別 山スキー
にしあづまやま・はつかだいら 地形図

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山行期間 2015年2月28日(土)
コースタイム グランデコスキー場(8:35)→第3リフト終点(10:38)→西大巓(11:48,12:03)→西吾妻小屋(12:43,12:58)→西吾妻山(13:10,13:25)→中ノ沢渡渉点(15:14,15:24)→スキー場(15:36)
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西吾妻山はガスの中 林間を登る ラッセルが続く
第3リフト終点 先行を追いかける やっと追いつく
西大巓山頂にて 西吾妻とのコル 西吾妻避難小屋に到着
西吾妻山の山頂 視界が無いオープンバーン ホントに初めて?大◯嬢
白○さん 加◯さん ちょっと休憩
牧◯さん 和◯さん 黒◯君
佐◯さん 渡◯君 小沢右岸の急斜面
中ノ沢を渡る ゲレンデを下りる 駐車場まで来たら西吾妻山が見えた

行動記録
 2月最終日の山スキーは、吾妻山のスキーコースとしては定番のひとつである二十日平に行くことになった。今回のパーティーは大人数の10名で、年齢層は20代から60代と幅広い。さて、自分は二十日平を何度か滑っているが、普通に滑るのではちょっと物足りないような気がした。そんな訳で内3人は、早く現地入りしリフトを使わずに下から歩くことにした。
 国道115号が昨夜の強風でツルツルに鏡面のように凍結しており、かなり怖い思いをした。グランデコスキー場に8時過ぎに到着。運転開始したばかりのリフトを横目に、斜面に取り付いて登り始める。傍目にはかなりマニアックな姿に映ったであろうが、そんなことはまったく気にしない。ゲレンデを登れば楽なのだが、あえて樹林へと入っていく。日も差して気持ちの良い樹林の中でのラッセルが続く。時々右手にゲレンデが見え隠れする。予定では1時間半ほどでゲレンデトップまで登る予定だったが、思ったより深いラッセルにペースが上がらない。第2リフト乗り場辺りから白○さんには、ゲレンデを歩いて先行してもらう。加◯さんと自分はラッセルを続けるが、このままでは時間がかかりすぎるので第3リフト乗り場の下で結局ゲレンデに出た。先行した白○さんは10時25分頃に第3リフト終点に到着し、まだ準備中であった先行組と合流できた。こちらはまだ時間がかかるので、先行してもらうことにする。ゲレンデトップ1590mの第3リフト終点には10時38分到着。下から2時間なので予定を30分オーバー。標高差560mにしては時間がかかりすぎだが、距離が3.7kmにラッセルもあったので致し方ないところか。上に向かっているトレースを見つけると、休まず先行組を追って登り始める。そのうち追いつくだろう。
 それほどかからずに追いつくだろうと思っていたが、これがなかなかどうして追いつかない。30分以上かかってやっと、ガスの中から先行パーティーの後ろ姿が見えてきた。合流して10名パーティーとなり西大巓を目指す。トレースとガスに惑わされ、登らなくともよいニセピークまで踏んでしまったが、11時48分西大巓山頂着。ガスで眺めは全くなし。まだホワイトアウトにならないだけマシだ。シールを剥がして東斜面を覗きこんでみる。あわよくばひと滑りと考えていたのだが、どこも真っ白で雪面と空中の区別さえ付かない。さらにはウインドパックの雪面が不安定な感触で、雪崩れそうな感じがするので東斜面をあきらめる。進路を北東へ振ってコルへと滑り降りるが、雪面がよく見えないので何名かは転倒したようだ。コルでシールを貼り直し、GPSとコンパスを頼りに西吾妻避難小屋へ向かう。視界が無いときはなかなか小屋が探せないときがあるので要注意である。無事12:43小屋着。何パーティーかが小屋の内外にいて賑やかだ。我々は風も無いし予定より遅れているので、小屋の外で昼食とした。
 小屋から西吾妻山の山頂までは300m程と近い。しかし、平坦な地形はどこが山頂かつかみ所がなく、GPSで山頂を確認する。さて、シールを剥がして東尾根の滑降だ。山頂直下は広いオープンバーンで、視界があれば楽しめるのだが今日は残念である。パーティーがばらけないように注意しながら少しずつ下る。尾根を外して東側の中津川に落ち込んでしまうと、かなりやっかいなことになってしまうので注意したい。山頂から150m程下げ樹林帯へと入っていくと、やっと視界が戻ってきた。樹林帯の中はフカフカの軽いパウダーとなり、最高の条件に皆の顔は期待に溢れている。そこからは歓声を上げてのパウダーランが続く。50代も後半の自分もヒャッホーなのである。時々進路確認でパーティーをまとめるが、皆の顔は喜色満面である。どんどん標高を上げていってもパウダーは続く。ずっと曇天なのも良かったようだ。
 標高1600m以下になると斜度が緩み、平坦な地形で時折歩きも入るようになる。やがて少し右に進路を振り、中ノ沢の方へ近づいてゆく。40年以上も二十日平に来ている和◯さんのリードは的確だ。小沢の右岸をトラバースし、急斜面を落として中ノ沢出合いまで下りると小休憩とした。ホッと一息つく皆の顔には充実感が表れていた。中ノ沢は雪で埋まっている箇所を渡り、作業道沿いに林を抜けるとゲレンデに出る。最後まで雪は重くならず、気持ちよく滑ることができたことは幸せであった。ボーダーでにぎわい、今までの森の中とは別世界のようなゲレンデを滑り降りた。
 さて、この頃の山行は山スキーを始めたばかりのメンバーを伴うことが多いのだが、今回のパーティーにも参加している。黒◯君は山スキーが数回目だが、こと滑りに関して言えばまったく心配いらない。スキー経験は5年程度と言うが、基礎体力があり足腰がしっかりしているのだろう、安定した危なげない滑りが出来ている。
 ただし、飛ばしすぎるので、山スキーでは慎重さが必要だと言いたい。また、初参加の大◯嬢は山スキーも初めてだ。普通なら山スキー初めての人をいきなり二十日平に連れては行かない。しかし、西大巓までの登りで判断し、場合によっては付き添って下山すれば良いだろうと考えていた。ところが、スキーをまともにやり始めてからこちらも5年程度だと言う彼女が、遅れもせずしっかりついてくるではないか。登りで遅れることもなく、深雪や急斜面で転倒もせず、シールの扱いも初めてだろうに大したものである。山スキーがやりたくて、とりあえず板を買ってしまっただけのことはある。2人の今後の成長に期待したい。君たちは扉を開けたのだから。(K.Ku)

ルート図

<カメチーム記録>
山行期間 2015年2月28日(土)
コースタイム 福島(7:00)=グランデコ(9:08,9:34)第1リフト=第3リフト終点(10:12,10:28)→西大巓(11:48,12:03)→西吾妻小屋(12:44,12:57)→西吾妻山(13:12,13:25)→中ノ沢徒渉点(15:15,15:24)→グランデコ・ゲレンデ(15:33)→グランデコ・スキーセンター(15:37)=福島
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
グランデコ第3リフト終点 西大巓へと向かう 上部はガスがかかっていた
西大巓の山頂は多くの登山者で賑わう 総勢10名の大所帯 コルまで滑りリールを着け直す
西吾妻避難小屋で昼食 西吾妻山頂もガス 山頂の北東主面から滑り出す
林間の雪質は最高 平坦部で休憩 何処までもパウダー
杉○さん テレマークの加○さん 今年から山スキーを始めた黒○くん
こちらも今年デビューの大○さん 佐○さんも快適に飛ばす テレマーク2年目の渡○くん
ブナ林も快適に滑る 二十日平の右の尾根を進む 中ノ沢の支沢へ降りる
中ノ沢を徒渉してスキー場脇のカラマツの造林地へ グランデコの浄水施設 最後はゲレンデに飛び出す

行動記録
 若く新しいメンバーが増えてきたので、西吾妻から二十日平へのスキー山行を企画した。参加者はいつの間にか10名の大所帯になった。今年から山スキーを始めた黒○君に大○さん、テレマーク2年目の渡○君、それにサポート役が7名だから、豪華メンバーだ。
 福島を7時ちょうどに出たものの、国道115号線の福島側は昨夜からの雨交じりの雪で路面は凍っている。慎重に運転したこともあって、グランデコには予定より30分ほど遅れてしまった。
 熊○さんたちウサギチーム3名は、不動沢の調査も兼ねて、リフトを使わないで下から登ると言う。私たちカメチームとは第3リフト終点で待ち合わせの約束である。私たち7名は第1、第2、第3リフトを乗り継いで、10時12分にメリッサゲレンデトップに着いた。ウサギチームはラッセルが思ったより深く、遅れるとの連絡が入った。先行の白○さんが予定を少し過ぎて到着。シールをつけて10時28分にスキー場トップから登り始める。
 多くの山スキーやボードの人たちが先行しているのでラッセル無しで進む。まだ山スキーを始めたばかりの大○さんは、最初の急斜面に少し手こずったものの、すぐにシールの感覚になれ、スムーズに登るようになった。勘が良い。そのうちに遅れてた2名が合流し10名全員がそろった。
 先行するトレースをそのまま追ったらニセピークに登ってしまった。少し下って西大巓の最後の登りにかかる。ここまで来るとガスもひどく、山頂付近はガスで覆われ見通しはきかない。東斜面を滑ってから西吾妻へ向かおうと考えていたのだが、肝心の東斜面のバーンが見えないのだ。さらに表面から20cmほどのところに、さほど弱くはないが弱層があるので、無理をしないで尾根伝いに西吾妻小屋へ向かうことにした。
 一旦シールを剥がしコルまで滑り、コルでシールをつけ小屋を目指す。西吾妻小屋に着いたのは12時44分だった。西吾妻山からの滑降開始を13時と決めていたので、予定よりだいぶ遅れている。スタートの遅れが、まだ取り戻せない。遅めの昼食を取ってから西吾妻山へと向かった。
 西吾妻山の山頂もガスで見通しは良くない。尾根の北側から滑り出そうと移動したら回り込みすぎてしまった。晴れていれば滑る尾根伝いの斜面が見えるので楽にコースへ入れるだが、ミスをして滑りを少し損してしまった。
 コンパスで方向を定めて滑り出す。滑り出しは斜面が見えない。最初はシュカブラで滑りづらかった斜面も少し高度を下げると雪質が一定してくる。樹林帯に入ると雪質はパウダーに変わり、最高の状態になった。この二十日平の尾根は、調子に乗って滑りすぎると中津川へと向かってしまうので注意が必要だ。コースを外さないように、時々現在地を確認し方向を補正しながら尾根伝いに滑降を続ける。
 ルートは標高1600mを少し下がったあたりから平坦になる。春のザラメ雪だと滑るが、今日みたいなパウダースノーではラッセルするしかない。所々先行トレースを利用させてもう。右に沢の源頭の凹を見つけたら、その右の斜面に入り込む。これが1332m標高点に延びる尾根へと続く。ここからまたひと滑り楽しむことが出来る。
 以前は1219m標高点の二十日平へと滑っていたのだが、最近は二十日平の平坦地を歩くのを嫌って、中ノ沢右支沢の支尾根へ滑り込むようにしている。中ノ沢の徒渉点まで急斜面を滑り降り最後の休憩をとった。ここから対岸に上がりグランデコの浄水施設の建屋の脇を通ってゲレンデに出た。スキーセンターには15時37分に到着、スキーセンターに下山報告をすませて山行を終えた。
 今回の山行には山スキーを始めたばかりと言うメンバーも加わった。何があっても対応できる体制で臨んだが、その心配も必要なかったようだ。

 昨年12月12日(金)、吾妻山・一切経山付近の火山性微動が活発化したことが認められたことから、仙台管区気象台は吾妻山の噴火警戒レベルを「1」(平常)から「2」(火口周辺規制)に引き上げた。それに伴い福島市は吾妻山の福島市側の登山口(高湯、微温湯、土湯)について入山禁止とした。最近になって入山規制を無視して入る登山者が後を絶たず。マスコミにも取り上げられ大きな問題になっている。
 私たちは、福島市が行った登山口からの入山禁止措置に違和感を感じながらも、定められた入山規制には従ってきた。なぜなら、もし入山規制を無視し問題をを起こせば、社会的信用を失墜させ登山者全体に大きな影響を与えてしまうからだ。昨今のバックカントリーでのルールを無視しての遭難事故や今回の入山禁止無視の行動が、「自己責任」と言いながらも、結果として遭難救助に携わる関係者や他の山スキーヤーも含めた登山者全体に迷惑をかけてしまっているのである。
 入山禁止の措置については、今春スカイライン開通と同時に規制を解除し、浄土平への立入を認めると聞いている。しかし4年前の東日本大震災以降、吾妻山も含めて山は微妙に変ってきたと感じている。いつ一切経山の噴火が起きても不思議ではないのかもしれない。かつて磐梯吾妻スカイライン建設の際に浄土平湿原の大規模な自然破壊が行われたが、いずれ噴火が起きて浄土平が以前の姿に戻る時代が来るのかもしない。(I.I) 

概念図

トラック 登り=赤 下り=青

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