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No4924
蔵王・前山
1684mピーク
山行種別 山スキー
ざおう・まえやま 地形図

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山行期間 2014年3月2日(日)
コースタイム すみかわスキー場(8:35)=ゲレンデトップ(9:33,9:42)→刈田岳(11:18,11:26)→刈田岳避難小屋(11:29,12:00)→南蔵王縦走路口(12:40)→刈田峠避難小屋(12:55)→前山(13:53,14:05)→峠ノ沢(14:33,14:40)→刈田峠避難小屋(15:19)→南蔵王縦走路口(15:37)→裏アトミ(16:16)→新滝沢(16:26)→エコーライン(16:36)→すみかわスキー場(16:42)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
Suさんのスプリットボード 歩き隊がスタート ゲレンデトップにて
登山者が多い 刈田岳避難小屋 にぎわう刈田岳山頂
ガスってるが小屋を出る 雪上車めがけてドロップ テレマークのSさん
Kaさんの滑り 刈田峠避難小屋 前山への登高
前山から滑り降りるNさん 峠ノ沢を登る 無事到着ツアー終了

行動記録
 東京のNさんが蔵王の樹氷を見たいと2月中旬に来ることになっていたが、南岸低気圧による記録的な大雪で延期となっていた。3月2日に来たいとの連絡をもらったが、先週の状況を見ると樹氷を見るのには厳しいだろう。しかも天気はあまりよろしくない。それでもということなので、地元としては最大限のおもてなしをすることにした。この場合のおもてなしとは、ガスろうがなにしようが刈田岳に登ること。なにしろNさんは蔵王に何度も来ているのに、天気に恵まれず刈田岳の山頂に到達できていないのだ。2〜3人のパーティーと思っていたが、あれよあれよと参加者が増えて8人の大所帯となった。これはNさんの人徳か、はたまは自分の? いずれにしても、バリエーション豊かなメンバー各自の満足度をアップさせようと心に定めた。
 今回のメンバーはNさんと自分のほか、本格的なバックカントリーは今日が初めてとなるボーダーのSuさん、いつもお馴染みのKaさん、Yさん、Sさんの3人、山スキーが今日で3回目のMさん、ずいぶん久しぶりにお会いするIさんの計8人。初心者も含めた経験も経歴も年齢も幅広くバラバラなパーティーなので、あまりハードな行程にはできない。しかし、無理のない範囲で最大限経験値を上げてもらいたいし、それが満足度にも繋がることにもなる。ということで今回の自分のミッションは、各人の満足度をアップすることにあると考えた。なかなか難しいことではあるが。
 すみかわスキー場のレストハウス前で軽くミーティング。Nさん、Iさんと自分はリフト3本(1,200円)でゲレンデトップに登る。その他の5人は自分の足で歩いてもらう。体力のある人達に歩いてもらうことで、より満足度をアップするのがねらいだ。5人の中にはボーダーのSuさんも入っている。彼のボードはスプリットボードという縦に真ん中から2つに割れるタイプで、シールを貼って山スキーのように歩いて登ることができるのだ。5人を見送ると運転開始時間を待ってリフトに乗り込む。リフトを降りた我々3人は、既に到着していた歩き組とゲレンデトップで合流。
 シールを貼って中央コースへ入ると、大小様々なパーティーがいくつも刈田岳方面へと歩いているのが見える。今日は何かの日かと思うほどのにぎやかさだ。曇ってはいるが視界は十分である。ほぼ無風なので登っていると暑くなりジャケットを脱ぐ。結局自分はアンダーウエアになってしまった。大黒天からは尾根に乗って夏道沿いを登っていくが、登山者がやはり多い。我々はゆっくりと登っているつもりなのだが、それでも何パーティーか追い越してしまう。初心者のはずのSuさんとMさんを見ると余裕のようだ。刈田岳が近づくにつれガスが徐々に濃くなり、右手に見えるはずのお釜はホワイトアウト。
 刈田岳避難小屋を過ぎて山頂に向かうと、大勢の登山者でにぎわっている。3月になり寒気が緩んだので登山者が増えたのだろう。自分も結局アンダーウエアのままで山頂まで来てしまった。Nさんは3度目の正直で刈田岳山頂を踏めた。第1のミッション達成。これまでは風などで敗退していたのだ。まったく眺めが無いのは残念だが、こればかりは仕方がないのでまた登ってもらうことにしよう。避難小屋に戻り中に入って昼食休憩。Nさん手作りのパイが美味しかった。休憩後に小屋の外に出てみてもガスは相変わらず。とりあえず前山を目指してみようと、シールを付けたまま高度を下げることにした。
 ガリガリのバーンで40mほど標高を下げるとガスが薄くなった。見えればこっちのものとシールを剥がす。雪上車が走っている眼下のエコーライン目がけひとりずつドロップ。固いバーンの上に薄く新雪が乗った斜面でつかの間の爽快感を味わう。全員この程度の斜面の滑降はまったく問題が無い。これなら前山の東斜面も大丈夫だろう。あとは時間と体力との相談となる。
 再びシールを貼って歩き出す。南蔵王縦走路口から前山方向へのトレースは無く、今日は我々が一番乗りのようだ。先週泊まった刈田峠避難小屋に寄ってみる。室内への雪の吹き込みが無いことを確認。歩きにくい稜線の夏道沿いを避け東側から回り込む。ガリガリのバーンが一部あり、そのトラバースでは何人か苦労していた。こんなトラバースはエッジの立て方とストックの使い方がコツであり、今回のことは良き経験となるだろう。いんちょさんは改造クランポンを装着してあっさりクリア。まだかというNONさんに山頂はもうすぐと騙しつつ、いや励ましつつ登っていく。やがて山頂到着。第2のミッション達成。さてシールを剥がして前山の東斜面を滑ろう。1月単独で前山に来たときは、バフバフのパウダーが積もったオープンバーンを目の前にしながら雪崩の懸念から滑降を断念した。今日は雪崩の心配のない、固いバーンにうっすらと雪が積もっている斜面。各自思い思いにシュプールを刻み快適な滑降を楽しむ。
 今回は澄川源頭まで下がりきらないで左へとトラバースすることにした。やがて峠ノ沢に出合い、今日3度目のシール貼りをして沢底を登っていく。メンバーの何人かは少々疲労の色も見えるが、時間も押しているのでエコーラインに出るまでは手を抜けない。なお、峠ノ沢にはスキーのトレース跡があり、前日にでも沢を滑り降りたように思える。日をあらためてルート調査をしてみよう。刈田峠避難小屋の近くで、自分たちの前山への登りトレースと合わせた。エコーラインに出ると、午後4時というのに続々と雪上車が上がってきた。旅行ツアー客の臨時便だろう。シールを剥がすとスキーを走らせる。途中でコースから分かれ通称「裏あとみ」へ向かい滑り降りる。賽の河原の裏を滑り、新滝沢へ降りるとミニハーフパイプのような沢底を滑る。1箇所いつも口を開けるところは左岸をトラバースするので注意したい。ほどなく駐車場脇から道路に出てツアーも終了。4時36分着と計画より36分遅れだったが全員無事到着。これにて第3のミッションも完了だ。
 冒頭にも記したとおり、バリエーション豊かなメンバーでの8人という大パーティーではあったが、締まった雪ということもあり満足度の高い山行ができたように思う。自分の独りよがりな思いとしてはだが。さて、参加者の皆さんはいかがであっただろうか。少々辛かったとしても、いずれまた来たくなるのではないだろうか。それが自然と向き合える山スキーの魅力なのだから。(K.Ku)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青

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