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No4797
飯豊・ホン石転び沢
北股岳 2024.9m三等三角点峰
山行種別 山スキー
いいで・ほんいしころびさわ 地形図

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山行期間 2013年6月1日(土)
コースタイム 駐車場(6:28)→温身平(6:45)→靴デポ地点・640m(7:46,7:54)→石転ビノ出合(8:27)→梅花皮小屋(10:44)→梅花皮岳(11:08,11:37)→ホン石転び沢滑降→石転び沢(11:53,11:58)→梅花皮小屋(13:26,13:40)→北股岳(14:08)→門内岳(14:50)→門内小屋前より滑降(15:00)→入り門内沢滑降→靴デポ地点(15:20,15:28)→温身平(16:17)→駐車場(16:35)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
中央右が梅花皮岳 上つぶて石・下つぶて石付近 婆マクレも緑が濃くなった
雪渓が落ちて沢が口を開けてきた この1週間で梅花皮沢の雪渓はズタズタになった 滝沢出合
梶川出合 石転ビノ出合、右が門内沢 石転び沢へ
ホン石転び沢出合(ドロップポイントが見える) 人間より大きなブロックがゴロゴロ落ちている 北股沢もまだ滑ることができそうだ
梅花皮岳山頂とホン石転び沢の雪渓上端 ホン石転び沢を覗くと急すぎて斜面が見えない Eさんと
Eさんドロップへ緊張の一瞬 最初のターン ホン石転び沢の核心を抜けた
自分の番だ(Eさん撮影) ぞくぞくする高度感 シャープなEさんの滑降
う〜ん言葉にならない(旨い) 痛快の一言 ホン石転び沢にシュプールを刻む
石転び沢に合わせる GさんとSさん 北股岳中腹からの石転び沢
左から門内岳、扇ノ地紙、梶川峰 登山道脇にミヤマキンバイ ミネザクラ
門内岳手前から見えた梅花皮岳に滑降ラインを重ねた 門内小屋と雪渓 入り門内沢を俯瞰する
入り門内沢もなかなか良い斜面だ カタクリの群落 タムシバ

行動記録
 山スキーなどやっていると、スキーシーズンというものは12月から6月までの半年にもなる。中には雪を待って11月から始め、雪渓を追ってしつこく7月まで滑る人もいるから、その場合7ヶ月以上にもなる。ひとシーズンが終わると、もう次のシーズンが近いので気になってくるのである。なので、年ガラ年中スキーを考えているとも言える。スキーシーズンは非常に忙しい。どこを滑ろうか、パーティーはどうするか、下調べをしてデータを集めなければ、ルート図や計画書の作成がまだだ、道具のメンテも必要だ、帰ってくれば画像をまとめる、山行記録を作る、ブログをアップするなどやることは山ほどある。これをほぼ毎週のように繰り返す半年間なのだ。だからシーズンが終わると、正直やれやれという気持ちにもなる。さて、今シーズンも終盤となった。自分は毎年(といってもまだ4シーズン目だが)5月下旬か6月上旬に板納めとしてきた。行けなかった山、やり残したことは多いが、それらは来シーズンの課題としよう。さて、今シーズンの締めくくりとして、2週連続の飯豊に向かうこととした。狙いはやり残すことをひとつ減らすためだ。
 湯沢ゲート手前の駐車場を6時28分にスタートする。今日は朝から快晴で気持ちが良い。足元は5月26日と同じく長靴だ。温身平から梅花皮岳を眺め、堰堤から登山道と歩き、「うまい水」は休まず通過するつもりだった。しかし、先行者が2人休憩中なので、そのまま通り過ぎるのも何だと思い話をすると、なんGさんとSさんだった。やはり今シーズンの板納めのようだ。時間に余裕がない自分は、先行させてもらうことにする。
 登山道が梅花皮沢の雪渓へ下りる箇所は、雪解けが進み左岸と雪渓の間が口を開けている。1箇所ブリッジになっていたが、観察していると突然一部が崩壊した。とても渡れたものではないので、少し下りてから雪渓に這い上がる。26日に比べると沢の流心付近は大きく口を開け、ゴウゴウと渦巻き流れている。雪渓の上を恐る恐る歩いていくが、数日中に歩けなくなるだろう。いつもの地点に長靴をデポすると、スキーで歩き始める。しばらく歩いていると、先刻の2人が追いつき追い抜いていった。
 石転びの出合で休憩中の2人を再び追い越すと、1000mの登りに取りかかる。今日はペースを意識的に抑え、休みをあまり取らないつもりだ。快晴で日差しは強いが、少し風があり助かる。見上げれば何人かが、急斜面に取り付いているのが見える。それにしても今日の石転び沢は入山者が少ないようだ。飯豊山荘までの道が開通しているので、もっと多いと思ったのだが。1540mでスキーを担ぎ、ツボ足で登高開始。直登したい自分は先行者のステップをアテにしていたのだが、先行者のステップは右に斜上していく。仕方なく自分でキックステップを繰り返し直登する。アイゼンは付けていないが、雪は緩んでいるのでしっかり蹴りこめば問題無い。しかし、この蹴りこみで結構体力を使う。梅花皮小屋には10時44分到着。スタートから4時間16分なので、計画より少し早い程度。
 ホン石転び沢を滑るため、休まず梅花皮岳へ登る。山頂が近づくとスキーを担いだ先行者が見えた。自分にとってホン石転び沢は初めてのチャレンジ。山頂に近づくと雪渓が見えてきた。まさしく山頂直下から崖のような急斜面。かなりの斜度ということは分かっていたが、滑り出しは50度を軽く超えていそうだ。とんでもない急斜面ではないか。準備中の先行者に話しかけると、なんと昨日ホン石転び沢滑降の記録を拝見したばかりのEさんだった。Eさんはホン石転び沢は3回目なのだという。なんたる奇遇、そして何とも心強い。行動食を食べながら斜面観察。山頂直下からの数10メートルをクリアすれば、後は何とかなりそうだ。あれこれ話ししていると30分ほど経ってしまい、これまで稼いだ余裕時間は無くなってしまった。
 さあいよいよ滑降だ。Eさんがドロップする。素速いターンで山頂直下の難所をクリア。素晴らしい。見事だ。次は自分の番。Eさんの滑降イメージがあるのか、これほどの急斜面に立っても不思議と恐怖感は無い。意を決してドロップ。最初のターンが肝心だと思ってはいたのだが、エッジを外しよもやの転倒。頭を下にしかけたが、なんとか5mほど落ちただけで引っ掛かり止まった。ふう〜やれやれ。その後は何とかターンをこなし、高度を下げて安全地帯へ。見上げるととんでもない急斜面に、下まで落ちなくて良かったとあらためてホッとする。自分の技量では、この斜度でのターンは厳しい。横滑りで高度を下げるべきだった。自分の技量の見極めと冷静な判断が必要だ。その後は斜面が大きく広がり、標高差700m以上の滑降を存分に楽しむ。ダイナミックで素晴らしい滑降であり、あの急斜面がなければもっと多くの人が滑るのだろうと思う。やがて石転び沢に出合うと、このまま下りるEさんと別れた。
 さて梅花皮小屋まで600m近い登り返しだ。シールを貼る気もなく、ツボ足で登高を開始する。太陽に焼かれ汗がしたたり落ちる。本日2度目とあって、さすがに足取りは重い。自分で自分に課した労苦が、恨めしくさえ思えてくる。救いは自分のつけた直登ステップが、後続者の利用で大きくなり歩きやすいこと。やっと梅花皮小屋の屋根が見えてきたと思ったら、滑り降りてきたGさんとSさんとスライドし驚かれる。小屋でゆっくり休んでいたという。13時26分、梅花皮小屋到着。行動食を食べて水を補充すると北股岳へ向かう。かなり足にきているので、ゆっくり登るしかない。北股岳山頂を越えると、門内岳まで1.8キロの稜線が見える。稜線の登山道を、兼用靴でひとり歩いていく。門内岳に到着すれば、門内小屋はすぐ先にある。
 さあ入り門内沢の滑降だ。小屋直下は笹薮が出ているので、左へトラバースすると滑りごろの斜面。もはや足の余力はいくらも残ってないのだが、ほどよい斜面は気持ちよく滑降できる。2年ぶりに入り門内沢を滑る、これも今日の目標のひとつだったのだ。先行のテレマーカー2人をかわし、石転ビノ出合はノンストップ通過。何度かひと息つきながらも、小屋から長靴デポ地点まではちょうど20分だった。これがスキーの機動力であり、上手く使えば残雪期の行動範囲は驚くほど広がる。足元を長靴に変えると、ブヨに追いかけられながらの山道歩き。虫除けスプレーもブヨの大群には防戦一方で、腕を何箇所も咬まれる。この時期はブヨ対策が必須だ。計画では17時00分着としていた駐車場に16時35分到着。ホン石転び沢と入り門内沢の滑降、そして行動時間の3つを達成した。今シーズンの板納めもこれで完了だ。(K.Ku)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青


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