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No4784
飯豊・石転ビ沢
北股岳 2024.9m三等三角点峰
山行種別 山スキー
いいで・いしころびさわ 地形図

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山行期間 2013年5月26日(日)
コースタイム 駐車場(6:03)→温身平(6:26)→靴デポ地点・640m(7:34,7:50)→石転ビノ出合(8:24,8:33)→1560m地点(9:57,10:21)→梅花皮小屋(10:57,11:15)→北股岳(11:37,11:46)→滑降地点(11:51)→石転び沢・1530m(11:58,12:05)→梅花皮小屋(12:45,13:34)→石転ビノ出合(14:00)→靴デポ地点(14:08,14:24)→温身平(15:41)→駐車場(16:05)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
スタートしてすぐ湯川の橋を渡る 堰堤脇の階段を登る 上つぶて石・下つぶて石付近の沢は口を開けている
うまい水の雪渓 婆マクレを慎重にトラバース 梅花皮沢はすっかり埋まっている
滝沢出合 石転ビノ出合 徐々に斜度が増してくる
ホン石転び沢出合 シールでの登高はここまで 最後の急斜面
梅花皮小屋の屋根が見えてきた 今週もまた見えた環水平アーク 北股岳への途中よりの梅花皮小屋
北股沢左俣を見下ろす エントリーポイント 滑降開始
斜面途中から見上げるとまるで壁だ シビレる高度感 滑降ライン
石転び沢の滑降開始 Kaさん Sさんに撮ってもらう
Kiさん 緑濃くなった梅花皮沢 石転び沢をふり返る

行動記録
 石転び沢の雪渓は積雪量の豊富な飯豊連峰においても、長大で標高差も大きく規模の大きな雪渓だ。スキー登高の開始地点からなら、延長3.8km、標高差1,200m。石転ビの出合からでも、延長2.5km、標高差1,000mとなる。自分は日本3大雪渓の白馬・針ノ木・剱沢のいずれにも行ったことが無いのでわからないが、なんら引けを取らないどころかそれ以上と言う人もいる。
 石転び沢は石転ビの出合で門内沢と合わせるが、山スキーを始めた3年前から毎シーズン、どちらかの沢に登ってきた。今年も石転び沢へと思い声をかけたら、3人が手を上げてくれた。3人とも石転び沢は初めてとなる。今年は幸運なことに、飯豊山荘までの道が5月24日の午後に開通したという情報が入った。いつもは梅花皮荘から飯豊山荘までの約5kmは、徒歩か自転車での移動となる。往復約10kmが軽減されるのは嬉しい。このことにより生じる余裕で、以前から気になっていた北股沢かホン石転び沢の調査、条件が良ければ滑ってみようと考えた。
 天気予報では午前中曇り、午後から晴れという予報だが、雨がパラパラ落ちて時折雷まで鳴っている。様子見でスタートを遅らせようとも考えたが、回復傾向なので予定どおり出発する。自分は長靴だが、同行の3人はトレッキングシューズ。温身平の林道を20分ほどで十字路を右に折れると、正面に飯豊の稜線が現れる。目をこらせば梅花皮小屋も小さく見える。
 堰堤脇の階段を登ると本格的な山道となる。ほどなく残雪が繋がるようになり、行く手を塞ぐ枝を右に左に避けながら歩く。「うまい水」はまだ雪渓で覆われていたが、雪渓末端より水が流れているので利用可能。左下に見える沢は口を開けていて、雪解け水が轟々と流れている。
 やがて急斜面をトラバースする「婆マクレ」に差しかかる。道は地竹原の手前でいったん沢に下りる。例年この時期は沢が口を開けていることが多く、再度左岸に上がってからまた雪渓に下りるのだが、今年は雪渓が繋がっている。雪渓を少し歩き、いつもの場所辺りでシールを貼ることにした。履いていた長靴はここにデポする。ボードのKiさんはスノーシューを履く。雪渓にはゴミはいつものとおりだが、まだクラックも立て溝も少ない。晴れればじりじりと両面焼きだが、今日は曇り空で風も適当にあり快調に歩いてゆける。やがて石転びの出合に到着。ここで1本入れることにして石転び沢を見上げると、先行者が点々とアリのように取り付いているのが見える。ここから約1000mを一気に登り上げることとなる。何回来ても、何度見上げても緊張するのは変わりない。
 石転び沢は登るに従い、斜度を増していく。両岸からの汚れたデブリはいつものとおり。顔を上げて落石に注意しながら登るようにと声をかける。以前はジグを切って登った斜面も、雪が適度に締まっていることもあり直登できる。快調なペースで先行者を数人抜く。落石地帯は休まず早く抜けるに越したことはない。1230mで左手にホン石転び沢出合。今日は無理だがいつか滑りたいものだ。さらに登っていくと、右手に北股沢が大きく見えてくる。よく観察すると、クラックは入っているがそれほど大きくはない。左俣の方が条件が良さそうに見える。ただし、稜線直下はかなりの斜度のようだ。稜線直下の急斜面の手前でいったん斜度が緩む。ここで1本と思ったが落石が多く留まるのは危険なので、さらに少し登って皆を待つ。
 さてここからはツボ足で登る。梅花皮小山まではまだ300m登らなければならない。見上げればのけ反るような急斜面だが、多くの先行者のキックステップでしっかり階段が出来ており、足を合わせるだけでいいのは助かる。今日もこまめなエネルギー補充をしていたせいか、それほど疲労を感じることもなく高度を上げていく。やがて屋根が見え、徐々に梅花皮小屋が姿を現す。5〜6人の先行者が小屋前で休んでいる。10時57分、梅花皮小屋到着。後続の3人を待って登頂を祝す。なんとここでも水平の虹が見えた。環水平アークだ。先週の鳥海山に続き、2週連続で見られるとは驚いた。
 予定では余裕を持って13時00分到着としていた。よし、北股沢を滑降しよう。滑るのは自分ひとりとなったが、北股岳まではKaさんも登るという。梅花皮小屋から北股岳までは170mの登りで、またひと汗をかく。山頂にKaさんを残し、自分はさらに北へと進みエントリーポイントを探る。左俣を覗きこむと、吸い込まれるような斜面が眼下にある。足元直下からの斜度がきつく、自分にはかなり難しい。思い切ってとも考えたが、もう少し先へ移動してみる。すると何とかエントリーできそうな斜面がある。山頂から50mほど高度を下げたところだった。山頂のKaさんを一瞥すると、ためらうことなく斜面にドロップ。左に少しトラバースすると、右へジャンプターンで切り返す。体で感じるままにターンを刻む。ザラメなので恐怖感は無い。クラックがあったのでいったん止まると、横をスラフが流れ落ちていく。しばらく見ていてもその流れが止まることはなかった。クラックを避けながら滑り降りると、たちまち石転び沢に合わせる。標高差450mの滑降もあっという間だ。さて再び梅花皮小屋へ330mの登り返しだ。
 汗だくになって梅花皮小屋に到着。ひと休みしながら、梅花皮岳に向かったKaさんの帰りを待つ。戻ったKaさんに聞くと、ホン石転び沢は山頂直下の斜度が急で、50mほど高度を下げるまではターンも難しいだろうとのこと。来シーズンの課題にしよう。石転び沢の滑降は、小屋にいた5人パーティーと同時となった。さあ、石転び沢を存分に楽しみながら滑ろう。Kiさんは今朝の不安も何のその、満面の笑みでかっ飛んでいく。Sさんはといえば、相変わらずの綺麗なテレマークターンで斜面を攻めている。Kaさんはさっさとひとり旅で、もうずっと下まで滑っている。自分もこれまでで一番楽しんで滑ることができた。
 途中で何度か刻みながら滑り降りると、靴のデポ地点までは梅花皮小屋から37分だった。スキーを長靴に履き替えると、梅花皮沢沿いに登山道を下る。やたらとブヨがまとわりついてうるさい。駐車場に着くと皆さん既に下山したようで、残っていたのは自分たちの車だけだった。梅花皮荘の温泉で余韻に浸りながら湯につかる。今日もいい山行だった。(K.Ku)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青


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