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No4785
鳥海山・新山北斜面
七高山 2229.9m一等三角点峰
山行種別 山スキー
ちょうかいさん・しんざんきたしゃめん 地形図

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山行期間 2013年5月18日(土)
コースタイム 祓川駐車場(7:25)→七高山(10:03,10:37)→新山(11:00,11:25)→北斜面滑降→北斜面基部(11:57)→ヤブ漕ぎ地点(12:23)→祓川駐車場(13:45)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
快晴の鳥海山 今日の相方はSさんとKさん 鳥海山の裾野を登っていく
風も無く半袖でも暑い 舎利坂を登れば山頂 山頂に到着のSさん
外輪山の向こう遠くには月山と朝日連峰 千蛇谷へと下りる 新山へ登り返す(向こうの岩稜が七高山)
北斜面を見下ろす 左手には稲倉岳 ドロップポイントはここにした
自分がトップで飛び込む Kさんがドロップ 続いてSさんがドロップ
素晴らしいバーンだ フラットな斜面がはるか下まで続く
これでもかというほど続く 歓声を上げながら滑る ただ滑ることにのみ集中する
横一直線の虹(環水平アーク)が見えた 山頂は遥か上となった 赤川右岸をトラバース
赤川右岸をトラバース 赤川右岸をトラバース 左手に祓川ヒュッテが見えてきた
どこを越えればいいものやら やっと竜ヶ原湿原の上に出た 帰路途中からの鳥海山

行動記録
 前日は猿倉登山口の駐車場でテント泊。満天の星空だった。明けて快晴の18日、6時30分過ぎにIさんとSさんが祓川駐車場をスタート。2人は祓川から七高山ピストンの予定。自分も今日始めて使うスキー板の足慣らしに、途中まで同行する。まだ朝早いので登っている人はまだ少ない。200m近く標高を上げて2人を見送り、自分は駐車場へと戻る。今朝祓川に向かってきた今日のパーティーメンバー、SさんとKさんと合流。早速登り始める。
 1年ぶりの鳥海山を眺めながら登高を続ける。快晴無風で、たちまち汗が流れる。七ツ釜避難小屋が右上に見えてきたところで一息入れる。見上げる山頂は近いようで遠い。舎利坂を登っている人がアリのように見える。今日はガツガツ登っている人もいないようで、皆さんマイペースで登っている。先行者を抜きながら登っていると携帯に着信。Iさんからで下で休憩しているという。いつの間にか追い越してしまったようだ。急な舎利坂を登り詰めて山頂に到着。下を見下ろすとぞくぞくと登ってくる人達。しばし休憩していると、Iさんも到着。我々は新山へと移動を開始。
 外輪山からいったん千蛇谷へ下り、再び登り返す。自分はシール登高だが、Sさんはツボ足。ボーダーのKさんもツボ足。ちなみに今日は自分が山スキー、Sさんはテレマーク、Kさんはボードと3者3様の混成パーティー。ほどなく山頂に到着し、北斜面の状況を調べる。ザラメ雪で問題は無さそうだが、上からは見えないクラックには注意が必要だろう。既に右から回り込んで北斜面を滑ったらしいトレースが1本あった。昼食を取り、ひと休みするといよいよ滑降だ。
 山頂直下からのドロップが可能か、岩の間から覗きこむと大丈夫なようだ。両側が岩壁になって、まるでスタート台のようだ。眼下には吸い込まれるような大斜面。飛び立つような気持ちで斜面にドロップ。真っ直ぐ下には岩が露出している斜面があるので、すぐ右へ逃げる。一部分だけガリガリの箇所があったが、上手く切り抜けて後続を待つ。2人も何なく合流し、さらに滑降を続けると細かいクラックの上に、新雪のグサ雪が乗ったような斜面になった。滑りにくいのでさらに右へ逃げると、そこには素晴らしいバーンが待っていた。
 一直線にクリーンなバーンが、急斜面の基部まで続いている。「なんだこりゃー!」と同行者が叫ぶ。こうなるとあとは斜面に飛び込むだけだ。各々歓喜の雄叫びを上げながら滑降を続ける。惜しむらくは、一気に滑降するだけの脚力が自分にないことだけ。何度か斜面を刻みながら、至福の滑降を続ける。山頂方向を振り返り見ると、なんと虹が架かっている。晴天なのに珍しいし、横一直線の虹は初めて見た(後で環水平アークという珍しい現象と分かった)。北斜面の後半は徐々にグサ雪となり、重い雪で滑りにくくちょっと苦戦。最下部はクラックが多くて滑走幅が狭まり、慎重に確認しながら770mの標高差を滑り終える。振り返り見上げる北斜面に一同大満足。これ以上ないという北斜面の滑降は、今シーズン最高の1本といえる。
 祓川へは赤川をトラバースして越え、緩斜面にスキーを走らせる。右の急斜面の裾をトラバースしていくと、ヤブが見えてきた。ここからが思いのほか苦戦した。この祓川と北斜面基部を繋ぐルートは、5月初旬までの記録しか見たことがなく、それより遅い中旬にトライしたのが先週のワタさん。その記録ではヤブに少々手こずったらしい。さらに6日経過した今日は5月も下旬近い。この時期は雪の薄いところのヤブがどんどん出てくる。初めのヤブ漕ぎから手こずり、他の2名は早々とザックに板を担ぐ。自分はスキーにこだわり、スキーを履いたり持ったりを繰り返す。何とか雪を拾い、繋ごうとしたが無駄であった。何度もヤブに行く手を阻まれ、右往左往する。その迷走ぶりはGPSの記録を見ても分かる。いささか恥ずかしい軌跡となってしまったが、これも自分が未熟だからだ。苦労しながら何とか夏道近くまで復帰。祓川ヒュッテまでひと滑りすると、駐車場はすぐであった。今日の核心は北斜面の滑降ではなく、このヤブ漕ぎであったと悟った次第。
 さて今回のルートは、今年は雪が多いといわれる鳥海山に期待してみてのトライ。しかし、やはり甘くはなかった。鳥海山をホームグラウンドとする本庄山の会の記録でも、この時期のものは見当たらないのも肯ける。結論として、このルートはやはり5月GWあたりまでだろう。しかし、この時期の北斜面は捨てがたい。滑ってから北斜面を登り返す手もありそうだが、体力的には結構キツイものとなるだろう。雪を繋いでトラバースしながら1150m程度まで標高を下げ、シールで竜ヶ原湿原に登り返すこともできそうだ。その方がすんなり戻ることができそうでもある。機会を作って再トライし検証してみたい。ともかくも、終始笑顔を絶やさずヤブ漕ぎをこなし、到着して今回のツアーの喜びを分かち合えた、ナイスガイの同行2人には感謝したい。(K.Ku)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青


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