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No4748
蔵王・屏風岳
1825mピーク
山行種別 山スキー
ざおう・びょうぶだけ 地形図

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山行期間 2013年3月24日(日)
コースタイム 白石スキー場(6:52)→ゲレンデトップ(7:22)→不忘山(9:10)→アイハギの峰1700m地点(9:23,9:45)→南屏風岳(10:12,10:26)→屏風岳(10:55,11:37)→1510m地点(11:55,12:02)→水引平(12:36)→コガ沢出合(12:58)→権現沢出合(13:03)→白石スキー場(13:45)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
すっかり雪の消えたゲレンデ 雪を拾って登る ガスが薄くなり見えた不忘山
水引入道と馬ノ神岳 ガスが濃くなる 不忘山頂を越えていく
途中スキーを担いで歩く 南屏風岳に到着 屏風岳の山頂
ガスはなかなか薄くなってくれない Yさんがトップで斜面に滑り込む Tさんが50度近くありそうな斜面を降りてくる
尾根状を外さないように滑り降りる 自分も斜面に挑む 斜度が落ち着くと快適な滑降
シュプールを見上げるも稜線が見えないのが残念 水引平へのトラバース 水引平に到着
水引入道もガスの中 コガ沢本流へ合わせる コガ沢を滑る
沢穴も大きくなっていた ゲレンデを滑って終了 今回の滑降ライン

行動記録
 屏風岳をピークとする北屏風は、蔵王連峰の中でもその名のごとくそびえる巨大な壁のようで、見るものに圧倒的な存在感で迫ってくる。その北屏風を、20日に初めて滑ってみたが、滑降に限ってみれば、本来の北屏風はこんなものじゃないという思いもあり、自分としては今ひとつ不完全燃焼だった。Yさんの記録にもあるように、屏風岳山頂の真東が北屏風の醍醐味なのだろうと思う。しかし、斜度は45度を超え、雪庇や雪質などの条件が整わないと滑降は困難であろう。まして自分には、歯が立たないように感じていた。Yさん達白峰会が24日に北屏風に行くというので、パーティーに加えてもらうことにした。
 5時45分に集合場所へ行くと、既にYさんは来ていた。こちらの車に同乗してもらい、白石スキー場へと向かう。スキー場で今日の他のメンバー、Tさんとtaさんと合流する。同じ頃2台の車がやってきたが、仙台YMCA山岳会の3人パーティーで南屏風を滑るという。たまたまだが、Yさんとは旧知の間柄のようだ。スタートしてゲレンデを登るが、20日まで営業していたとはいえ雪が無いので、雪を拾い繋ぎながら登っていく。仙台YMCA山岳会もほぼ一緒だ。最初は見えていた青空も、雲が多くなり山頂はガスで見え隠れするようになった。ゲレンデより上は不忘名物ともいえるヤブに進路を邪魔され、回り込んでいるうちに予定より右へ寄ってしまったようだ。そのまま早めに右手に見える東尾根に登ることにする。
 まだ朝だが雪面はガリガリというほどではなく、シールを効かせて快調に登高を続ける。ガスは濃くなったり薄れたりで、期待していた快晴という具合にはならない。やがて不忘山頂のトラバース地点まで来た。16日はトラバースしたが、今日は自分だけ不忘山頂を経由して尾根を歩くことにする。他の3人がトラバースしていくのを見送りながら、スキーをザックに取り付ける。山頂までの夏道は少し雪が残っている程度で、ツボ足でもサクサク登れる。山頂からの下りは凍っているので慎重に下るが、勾配が緩めば雪の上を早足で歩ける。20分ほどでアイハギの峰の下に到着したが、トラバース組の到着はさらに7〜8分後だった。雪が少なくなれば夏道を来た方が早くて安全なようだ。他の3人もスキーを担ぎ、アイハギの峰を登る。16日と比較してもずいぶん雪が少なくなっていて、かなり地面が露出している。時折青空が見えるが、すぐガスが流れてきて白く塗りつぶされてしまう。途中で再びスキーに切り替えて、さらにひと登りすれば南屏風岳だ。ガスはあるがほぼ無風状態で、気持ちが悪いほど穏やかだ。休憩していると仙台YMCA山岳会が追いついてきた。彼らはここから滑るのだろう。
 稜線をほぼ夏道沿いに北へと歩く。屏風岳に着く頃には少し風が出てきたが、蔵王の稜線としてはまだそよ風の部類だ。相変わらずのガスで斜面の状態はよく見えないが、Yさんによると今年は雪庇の張り出しも少なく、いつもはある段差が無いうえに、雪もザラメなので条件はすこぶる良いという。惜しむらくはガスで視界が無いことだけなので、休憩しながらガスが切れるのを待つ。しかし、待っても切れそうもないので、滑り降りることにする。いよいよ屏風岳山頂からの滑降だが、ガスで斜面の状況が今ひとつ掴めないので少々不安ではある。滑るのは斜面の尾根状の部分で、そこから外れると崖の上に出て進退窮まることもあり注意が必要だという。もちろん転倒は即滑落になるので、絶対に避けなければならない。
 Yさんがスルスルと斜めに斜面に滑り込んだかと思うと、見事なジャンプターンを繰り返したちまち高度を下げていく。taさんも続いていく。次は自分だが、正直ジャンプターンなんてほとんどやったことが無い。しかし、今この状況ではそれしかないので、意を決してジャンプターンを試みると不格好ながら何とかできた。横滑りも使いながら中腹で待つ2人に合流。続いてTさんも降りてきた。さらに滑り降りていくと斜度が徐々に緩くなり、快適な滑降が楽しめるようになる。右の沢状地形に滑り込み、1500m近くまで標高を下げた。振り返れば近くの斜面は見えても、稜線までの大斜面は見えない。今日見ることができなかった景観を見るためにも、また滑りに来るとしよう。
 再びシールを貼って1580mまで登り返し、水平トラバースして水引平のコルに到着。少し西へ登り返して南屏風側へ乗っ越すと黒滝沢源頭となる。そこに人影があり、近づくと仙台YMCA山岳会だった。南屏風を滑ると言っていたが、随分と水引入道の方へ寄ったものだ。仙台YMCA山岳会はんさんと旧知の間柄でもあり、そこからは7人パーティーになって滑る。黒滝沢を下るとコガ沢に合わせる。1週間前からどの程度雪が融けたのか心配だったが、さほど変わらない印象で問題無く滑ることができる。沢に開いた穴は大きくはなっていたが、それも想定内で右岸をトラバースする。いつものように960m辺りで右岸を30mほどトラバースして登り返し、うるさいヤブを抜けるとゲレンデに出た。
 今日は20日の心残りを解消するかのような山スキーとなった。雪庇の張り出しが大きいときはスノーバーで支点を取って下降などと、恐ろしいことをYさんから聞かされていただけに、稜線からそのまま滑り込める今日の状況は幸運だったといえるのだろう。また、斜面がアイスバーンであれば、とても自分には滑り降りることはできなかっただろう。無理をすれば滑落するのは目に見えている。今日は良い感じのザラメ雪になっていたので、ジャンプターンしても斜面に止まることができる感触があり思い切れたのだ。それにしても、山頂直下50度ほどの斜度でのターンには痺れた。惜しむらくはガスで視界がなかったことだが、ずっと下まで続く斜面が見えなくてかえって良かったのかもしれない。すべてに良い条件を求めるのは贅沢というものだろう。んさんはじめメンバーに恵まれ、自分にとって実力以上の山スキーを堪能させてもらったといえるだろう。感謝である。北屏風に挑もうとする方は、なるべく条件の良い時を選んでトライしていただきたい。(K.K)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青


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