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No4747.
蔵王・屏風岳
1825mピーク
山行種別 山スキー
ざおう・びょうぶだけ 地形図

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山行期間 2013年3月20日(水)
コースタイム 東北大学蔵王観測所(7:23)→林道から斜面へ(8:02)→秋山沢右俣(9:30)→休憩(9:38,9:46)→鞍部(10:27)→稜線(10:56)→屏風岳(11:35)→下降点(11:53,12:02)→秋山沢右俣(12:21)→休憩(12:24,12:47)→林道に合流(13:54)→東北大学蔵王観測所(14:13)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
東北大学蔵王観測所 雪が消えかかっている 秋山沢コース入口
もはや林道の上しか歩けない ブナやナラの2次林を歩く 秋山沢右俣左岸の小尾根を登る
後烏帽子岳とのコルが見えてきた 一瞬ガスが薄れて尾根が見えた ガスの切れ間にコルを見下ろす
稜線に出た 先に見えるは屏風岳の山頂か どこが山頂かハッキリしない
下降点でさっとガスが薄れた これが北屏風の壁 右手に馬ノ神岳とガスのかかる水引入道
左手に後烏帽子岳 基部より見上げる北屏風(左ピークが屏風岳) 沢もすっかり春の雰囲気だ
東北大学蔵王観測所に到着 なにやら難しい研究をしている 今回の滑降ライン

行動記録
 蔵王の屏風岳(1,825m)の東面は、そのそそり立つ斜面の山容から非常に目立つ存在であり、そのことが屏風岳という名称の元にもなったのだろうと思われる。屏風岳の1.6km南には南屏風岳(1,810m)があり、その東面は南屏風と通称しており、その南に対して北ということから、屏風岳の東面を北屏風とも呼んでいるのである。この北屏風は、自分が山スキーの対象として数年来考えていたのだが、なかなか機会が整わずにそのままになっていた。元々北屏風を滑降する者は多くはなかったようだが、それでも近年はバックカントリーボーダーの恰好のフィールドとして、結構な人気となっているようだ。今年こそはと考えていたが、相方が見つからず、このままでは今期も見送りとなる可能性が高くなってきた。それならばと、単独行の可能性を探ることにした。
 一般的にはえぼしスキー場のトップから後烏帽子岳へ登り、ろうずめ平へいったん下り、再び登り返して稜線へとなる。しかし、これだと車をデポしておくか、スキー場まで歩いて帰らなければならない。ならば北屏風から東北大学蔵王観測所までの、秋山沢左岸沿いの下りルートをピストンすることにした。ラッセルがあれば単独では困難だろうが、雪が締まったこの時期なら大丈夫だろう。ところが20日の天気予報が芳しくない。曇りとのことで、北屏風もガスに覆われる可能性が高い。視界が無くとも来シーズンの参考になるので、とにかく行けるところまで行くことにした。
 予報どおりの曇り空を見ながら、東北大学蔵王観測所へと牧場の中の道を登っていく。すっかり融けてしまったようで周囲にはまったく雪が無い。標高690mほどの東北大学蔵王観測所前に車を置かせてもらい、支度をしてスタートする。雪が繋がるところまで少し歩いてからスキーを履く。神嶺林道を横切り、「後烏帽子岳 秋山沢コース入口」との表示板から西へ延びる林道に入る。3年前に秋山沢コースを歩いたが、ここは静かな山歩きが出来る。さすがにこの標高での雪はかなり少なくなっていて、もはや道路以外は歩けない。しばらく林道を歩き、2つ目のヘアピンから斜面に取り付いた。そこからはブナとナラの2次林を淡々と歩く。所々でおそらく3日前のものであろう、スキーとボードのトレースがうっすらとある。うっかりして考えていたルートから外れ登りすぎてしまい、地形図にある1166m標高点の北側を巻いてしまった。仕方なくほぼ等高線沿いにトラバースするが、小沢が繰り返し現れたりしてアップダウンがある。
 秋山沢右俣に合わせると、左岸の小尾根を登っていく。ここで初めての休憩。ザックを降ろし行動食を食べると何かが違う。よく見ると、暑くなったので脱ぎザックに括り付けていたはずのジャケットが無い。しまった、途中で落としたのだ。何たるへまをやってしまったのだ。引き返すかどうか悩むが、今日は風もなく天候が悪化する様子はないのでこのまま登ることにする。ちなみに上は長袖Tシャツ2枚重ねだけだ。寒くはないし何とかなるだろう。小尾根を登っていくと後烏帽子岳とのコルの西側、屏風岳東面の北側基部に出る。ここには後烏帽子岳から南蔵王縦走路に合わせる夏道も通っている。急斜面に取り付きジグを切って登っていく。気温がプラスなので、斜面はいい具合に柔らかくなっていてエッジが利く。ガスがかかっていて時折薄れるものの、視界はあまり無い。斜面のずっと下まで見えるのも高度感があるが、見えないのも逆に気持ちが悪いものだ。慎重に登って稜線に到達。驚くことにほとんど無風の凪(なぎ)状態。風も無いしせっかく登ったので屏風岳まで稜線を歩くことにする。しかし、この稜線歩きで思いのほか時間がかかった。山頂まで1キロも無いのに、なぜか約40分もかかってしまった。
 山頂からとって返し、下降点を探りながら歩く。下を覗きこんでも、ミルクのようなガスに覆われ見えない。下手に落ちたらどこまでも滑落してしまいそうだ。ここからなら、横滑りでも何でも降りられるだろうという地点に着きシールを剥がす。するとガスがサッと消えたではないか。おーサプライズ!すぐ滑ろう。屏風岳の東面に斜めに滑り込み、ターンを刻んでいく。と書くと格好いいようだが、やっとのことで滑っているのが現実だ。薄い表層雪崩が起きたようで、凸凹でグズグズの雪が残っておりその下に少し固い層がある。ターンしにくい雪で2度転倒してしまう。急斜面の基部まで滑り降りて振り返ると、被さるような迫力の屏風岳東面だ。
 さらに滑り降りると、再び秋山沢右俣に合わせる。ここで昼食休憩とする。以後は落としたジャケットを拾うべく、登ってきたトレースを忠実にゆっくりと捜しながら下っていく。アップダウンはあるが、なんとかシールを貼らずに下ることが出来た。次回はもっと効率的なラインで下ろう。結局ジャケットは第2と第1ヘアピンの間に落ちていたので回収。ポケットには財布に免許証に車の鍵まであったのだから、これでひと安心ホッとする。東北大学蔵王観測所には相変わらず自分の車だけ。今日は誰も北屏風に登って来ないようだ。今日はピストンに7時間近くかかったが、山頂にこだわらず効率的なルートを選べば、今回の雪質なら5時間半程度で十分ピストン可能かと思う。北屏風の滑降という点ではベストコンディションでなく、ちょっと不完全燃焼だったが、それは来シーズンもっと早い時期にトライしてみることとしよう。(K.K)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青


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