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No4737.
蔵王・坂元沢
山行種別 山スキー
ざおう・さかもとさわ 地形図

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山行期間 2013年2月23日(土)
コースタイム @国道286号ゲート(8:36)→1000m地点(10:28,10:43)→A770m地点(10:57,11:10)→970m地点(12:02,12:19)→B国道286号ゲート(12:41,12:51)→780m鉄塔(13:53)→940m地点(14:24,14:32)→C750m地点(14:41)→570m引き返し→国道286号ゲート(16:56)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
国道286号通行止めゲート前 西川山岳会の皆さんと談笑 阿古耶の松(画像右の大木)
大パーティーのようになった 休憩も大にぎわい トップはラッセルなのに速い
970m地点からドロップしていく 沢へと滑り降りる 沢にはフカフカのパウダーが詰まっている
下降し沢底に降りる 快調に飛ばすKさん
780m地点に鉄塔 940m地点手前 2人ともパウダーを堪能した
Kさんの滑りも見事 気分良く滑る 坂元沢の渡渉は難しい

トラックデータ
雪庇を切り崩して降りる 無事ゲートに到着

行動記録
 2月9日に茶畑尾根を歩いた際に、気になったトレースがあった。こんなところに来る人はそうは多くあるまいと思っていたのだが、時々閲覧させていただいているGさんの掲示板て、その日に歩いたパーティーがわかった。何度も何年もかけて、この山域を開拓している方がいるのだ。Nさんが23日に3週連続で行くというので、登りは一緒に、途中から別行動を前提に坂元沢へ行くことにした。山域は小粒でも、既知の踏みならされたルートとは違い、情報も少なくスキーで入山している人はまだ少ないだろうということに、いやが上でも探求心をかきたてられる。
 笹谷ICの出入り口のすぐ先で、国道286号が冬期通行止めになっている。そのゲート前には、既に数台の車があった。今日は我々2人のパーティーと、東京の客人2人を含めて7人のNさんパーティだが、それにしては車が多い。外で準備をしている人達を見ると、やはり滑りに来たようだ。すぐ西川山岳会のパーティーとわかり、なんとGさんもいるではないか。Gさんと実際に会うのは初めてだが、つい先日この山域でやりとりしたばかりであり、偶然とはいえなにやら必然のような感じさえする出会いであった。
 先に我々パーティー9人が出発する。ゲート脇から通行止めの国道に踏み込む。すぐ山形自動車道の下をくぐり、左側に「阿古耶の松」の標柱があるので、そこから道なりに植林地に入る。いわれのある大木である阿古耶の松を左に見ると、杉林の中の穏やかな登りとなる。この辺りはまだラッセルも浅く、Kさんを先頭にどんどん進んでいく。やがて植林地を抜けて勾配が出てくると沢筋(便宜上ここでは仮称で阿古耶沢としよう)でもあり雪は深くなるが、少々重めとはいえパウダーにラッセルもさほど苦にならない。そのうち下から西川山岳会の6人パーティーが追いついてきた。15人もの大人数が一緒にひと休みしたが、静かな山中に時ならぬ賑やかなざわめきが広がる。
 猛者ぞろいの彼らゆえ、素直にトップを変わってもらうが、付いていくのがやっとなほどのペースでラッセル登高をするのに驚く。見ると今風というのだろうか、スキー板がロッカー形状とかで足を運ぶとファットスキーの太板なのに、板のトップが雪の上にスッと上がる。自分の板はといえば、すぐ雪の中にトップが刺さり、それを抜くのに余計な体力を使うことが多い。いやいや、板の違いをどうこうは言い訳がましい。素直に脚力差と認めようではないか。940mほどで茶畑尾根に合わせたので、離れてしまった後続を待つ。西川パーティーはそのまま尾根を上がっていった。合流してこちらも尾根を上がっていくと、茶畑尾根が2つに別れる970m地点で西川パーティーが阿古耶沢へドロップの準備中。登ってきた斜面を1本楽しみ、また登り返すとのこと。ファットスキーで浮くように滑り降りる様を見送ると、こちらは再び登り始める。しかし、いくらも登らない1000m地点で、ここからNさん達は滑るという。Kさんと自分は探索が目的なので、ここから別行動とすることにした。
 茶畑尾根の北斜面を降りることにするが、思いのほか樹林が濃くて滑降ポイントが見いだせない。少し平行移動して探すが、下れば何とかなるだろうとトラバース気味に滑り出す。すぐ樹林も薄くなると、パウダーを楽しんで下降し沢底に降りた。この沢は日本登山大系によると、立石沢というらしい。そのまま沢を滑っていくが、このまま下ってもどうだろうと途中から登り返すことにした。
 シールを貼って右岸を斜登高中に、ズズンと重い音が聞こえた。思わず身構え辺りを見回すが、何も変化は見当たらない。いずれにしても近くで小規模な雪崩か雪庇崩壊があったのだろう。緊張のトラバースで樹林の比較的濃い方に入りひと息つく。930mで阿古耶沢の左岸となる尾根に合わせ、この尾根を少し登ると970mのドロップポイントに着く。ここで昼食休憩とすべくザックを開けて愕然とした。なんと昼食を車に忘れてきたのだ。こんな事は記憶にある限り初めてだ。お湯だけで我慢するかと思ったが、Kさんが自分の分を分けてくれ感謝していただく。
 970mからドロップするのだが、既に西川山岳会の皆さんとNさんの両パーティーが滑っている。しかしそれでも、荒らされていない深いパウダーは残っていて、存分に楽しむことができる。携帯の通じなかったNさんパーティーとの連絡と、自分の昼食を取りにいったんゲートまで下りることにした。しかし、既にNさんパーティーの車は無かった。2度目の昼食を食べると、再びシールを付けて阿古耶沢を登り返す。700m辺りでルートを右に取り、左岸尾根を目指すが小沢や雪庇に阻まれ、地形図で見当を付けたようには登れずトラバースする。この時もズンという音を聞くが発生源がどこかわからない。雪庇の弱点をついてやっと尾根に上がると、そこにはトレースがあった。西川パーティーのものだろう。これで楽に登れるので、ありがたく使わせていただく。780m地点に鉄塔があり、手を伸ばせば届くような低さの高圧線の下をくぐる。登っていくと930mで右から、先ほど自分たちの登ってきたトレースと出合う。今度はここを滑り降りることにする。先ほど登ってくる時に、具合の良さそうな斜面だなと考えていたのだ。樹林帯だが斜度もあり樹間も離れていて、実際滑ってみるとここがこの日の一番の斜面であった。まっさらなパウダーの斜面に、自分のトレースを描くのは何とも楽しい。
 沢に下りると自分達のものとは違う新しいトレースがあり、西川パーティーと思われた。そのトレースを追うように下りていくと、坂元沢の右岸に合わせる。トレースはここで分岐しており、坂元沢沿いに右岸をそのままと右手に上がっていくものがあったが、右岸をそのまま進むことにする。100mほど行くとトレースは終点となった。ということは引き返したわけで、あの分岐は別ルートをを探して登ったのだろう。どうするか迷ったが、そのまま進んでみる。道路の橋は見えてきてあと少しとはわかったが、急斜面で沢に落ちそうになり残り150mが進めない。結局戻るしかなかった。この400mの往復で1時間近くロスしてしまい、強引さからミスとロスを招いてしまい失敗であった。
 坂元沢を対岸への渡渉も考えたが、落ちるリスクがあり踏み切れない。今後の研究課題だ。西川パーティーのトレースを追い登り返すことにした。今日4回目のシール登高となるが、Kさんにシールトラブルが発生。シールが貼り付かなくなったのだ。やむを得ずワカンに切り替えるも、ワカンも今ひとつ調子が悪い。はたと気が付いて、シールをビニールテープで5箇所ずつ巻いて歩くことにした。前回まで自分がやっていた方法だ。ちなみに今日の自分のシールはというと、昨日グルーを貼り替えたばかりなのですこぶる調子が良い。
 西川パーティーのトレースを追って登り返すが、途中で風にかき消され見えなくなる。我々は独自ルートで途中から尾根をトラバースして巻き、阿古耶沢に合わせることにしたが、地形図で考えたとおりには行かない。雪庇が邪魔をして降下点が見つからず、雪庇を突き崩して降りることになる。そうこうしている最中、すぐ上でズズンと低音の響きとともに雪庇が崩壊するのを目撃。いやはや今日は何度この音を耳にするのか。斜面を滑り降りてトレースに合わせスキーを走らせると、国道のゲートまではいくらもかからない。自分の車しか残っていないゲートに到着すると、今日の長い山行を終えた。
 この山域はやはり厳冬期のパウダー狙いだろう。仮称阿古耶沢をピストンする際は、雪崩にさえ気を付ければそれほどリスクはないと思われる。しかし、さらに尾根越えして別の沢筋や尾根を滑る場合は、より雪崩や雪庇に対する注意が必要だ。パウダーの滑りが楽しめる急斜面というのは、雪崩れやすい斜面でもある。また深雪の場合はラッセルに思わぬ時間を必要とするので、そのへんの判断と見極めも必要になる。初心者だけで安易に入り込むのは避けるべきだろう。(K.K)

概念図

トラック 登り=赤 下り=青


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