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No.4645
飯豊山・石転ビ沢
山行種別 山スキー
いいでさん・いしころびさわ 地形図

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山行期間 2012年6月3日(日)
コースタイム 梅花皮荘(5:36)→飯豊山荘(6:41)→温身平(7:13)→雪渓末端(8:36,8:52)→石転ビノ出合(9:30)→梅花皮小屋(12:21,13:06)→石転ビノ出合(13:33)→雪渓末端(13:47,14:00)→温身平(15:19)→飯豊山荘(15:42)→梅花皮荘(16:56)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
梅花皮荘から歩き始める 町道はまだ車両通行止め 痛々しい飯豊山荘
温見平より 堰堤の階段が登山道 木の下をくぐりヤブを抜ける
梅花皮沢の下つぶて石と上つぶて石 おっかなびっくりの「婆マクレ」 雪渓にいったん下りてまた上がる
まだ石転び沢は見えない 石転びの出合が近づく きつい登りが続く
最後の急斜面はツボ足で 振り返ると石転び沢の全景が眼下に 北股岳を眺めてのランチタイム
Aさんは今シーズンみるみる上達 Tさんはスキーが上手い ここまで来ればあと少し

行動記録
 今シーズンの板納めは飯豊の石転び沢にした。昨年の板納めも石転び沢だったが、この時期になると滑ることのできる場所も限られてくるし、最後にたっぷり楽しんで終わりたいということで、自分としてはおのずとこうなってくる。メンバーはAさんとTさんの3人。2人とも山スキーは2シーズン目程度だが、あちこちガシガシ登っては滑っているので石転び沢も問題ないだろう。
 Aさんと午前3時に合流すると、白み始めてきた空を見ながら車を走らせ午前5時過ぎに梅花皮荘に到着。前夜に来て仮眠していたTさんに挨拶。梅花皮荘分岐から先の町道は、まだ開通していないので歩くしかない。小国町のホームページでは6月中旬開通予定となっている。しかし、通行止めのゲート前には軽トラが何台も止まっていて、何やら待っている雰囲気の人達とゲート番のような人がいる。おそらく地元の山菜採りにだけは通行させるのではないだろうか。こちらは遊びなので頼んでも無理だろうと、スキーを担いで歩きだす。歩き始めると町道には雪もなく、ガードレール等も取り付けられていて、なぜまだ通行止めなのか不思議だ。(その後、8日17:00に通行止めが解除された)1時間ちょっとで飯豊山荘まで来ると、道路側になる旧館の屋根が激しく壊れている。おそらく今年の大雪の影響だろう。湯ノ沢の橋を渡ると未舗装の林道となり、新緑のブナ林歩きが続く。温見平の看板のあるところからは、石転び沢の上部と小さく梅花皮小屋が見えるので、飯豊自体が初めてというAさんに説明する。
 さらに大きな堰堤まで歩くとやっと登山口となる。ここまで7km近く歩いたが、まだ標高500mで梅花皮荘から200m程しか高度を上げていない。堰堤脇の階段を登ると、ここからが本当の登山道で細い山道になる。梅花皮沢の左岸沿いに続く登山道は、整備されているわけではなく、ある程度自然にまかせているような道なので木の枝も被っている。背中に担いだスキーは頭の上に数10pも突き出ているので、しょっちゅう木の幹や枝に引っかかり歩きにくい。その度かがんだり腰を曲げたりと結構大変だ。スキーを担いでのこんな歩きは2人とも初めてのようだ。
 梅花皮沢の雪渓には、いつもと同じポイントから乗ることができた。各自履いていた長靴や運動靴をデポし、スキーで登り始める。さすがに6月ともなると、雪渓の上には木の枝や土が散乱しているうえ小石がかなり目立つ。復路での滑りの時はよほど注意しないと、スキーのソールを傷つけてしまいそうだ。しばらく緩やかな登りが続く。日差しは強いが気温はそれほど上がっていないので助かる。梅花皮沢は石転びの出合で右の門内沢、左の石転び沢と分ける。この出合から先で石転び沢は勾配を増す。いよいよ石転び沢の本番。雪渓は稜線まで1000mの高低差を一気に駆け上がっていて、遥か上を見上げながらの登高が続く。それにしてもゲスト2名は元気だ。Aさんは山スキー2年目にして、先々週は針ノ木雪渓を滑っている。しかも昨夜は東京からの自走で寝ていない。Tさんにしても、スキー歴自体は長いようだが山スキーは2年目である。
 最後の急斜面の下でいったん勾配が緩むので、ここでスキーからツボに切り替えることにする。準備をしているとやけに登り足の速い、忍者のような風体の単独男性が上がってきた。聞くと7時10分に梅花皮荘をスタートしたというから驚く。我々より1時間30分も後にスタートして追いついてしまったのだ。さて我々も頑張らねば。Tさんは慎重にアイゼンを装着。自分とAさんはアイゼン無し。同時に登り始めた先ほどの男性は、駆け上がるような勢いのキックステップで登っていくと、たちまち小さくなってしまった。年齢は自分より結構上(後で知ったが68歳!)のようなのに、世の中にはなんとも凄い人がいるものだ。こちらはマイペースで登っていくが、それでもかなり足にこたえる。振り返れば眼下に1000mの高度差で、石転び沢雪渓が一望できる。登ってきてよかったと感じる瞬間だ。
 ようやく梅花皮小屋直下に到着。続いてAさんTさんと年齢順?に到着。皆で無事登頂を祝う。面倒なので小屋には入らず、そのまま雪渓の上で昼食休憩。見ると北股岳山頂を滑り降りてくる人が見える。なんとあの忍者おじさんではないか。何ともスーパーな人がいるものだ。小屋近くにはミヤマキンバイの黄色い花が咲いていた。雄大な大日岳を眺め、さて滑ろうとしたら小屋からぞろぞろと人が出てきた。新潟の山岳会の人たちで、ツボとスキーの混成パーティーだ。彼らと相前後するように、小屋前の斜面から滑り降りることにする。
 急斜面を眼下にしても、石転び沢を初めて滑ったときのような緊張感は無い。しかし、このぞくぞくするような高度感のある石転び沢は、山岳スキーの斜面として国内有数であり、ここを滑ることが出来ることに感謝したい。
 お先にどうぞと言うと、スキーの上手いTさんが真っ先に斜面に飛び込んでいく。針ノ木雪渓の急斜面もこなしてきたAさんも追随していく。間をおいて自分も斜面に入る。雪はザラメだがその下は少し固めの雪面。何ターンかしたあとエッジを引っかけて転倒。頭を下にして10mほど落ちたが、体勢を立て直して制動し立ち上がる。雪面が少し荒れているので、板を抑える足が疲れる。何度か休みながら滑り降りたが、たちまち石転びの出合まで下りた。1000mの高度差も滑ればあっという間だ。ここからは勾配も緩くなり、枝だけでなく小石まで落ちているのでゆっくり滑っていく。靴のデポ地点まで来ると滑降の部は終了。後は長い歩きが待っている。
 下山していると雷が聞こえ、とうとう雨が降ってきてカッパを着ることになる。スキーを担いでの歩きは楽ではないが、この時期は途中の道すがらウドやコシアブラなどを採る楽しみもある。そんな道草を食ってばかりいるものだから、後続のパーティーからはどんどん抜かれてしまう。まだかまだかと歩き、やっと梅花皮荘に到着したのは17時30分。梅花皮荘の温泉にゆったりと浸かり、汗を流してから家路についた。これで板納めができたので気持ちの区切りがついた。お付き合いいただいた2人には感謝。来シーズンもパーティーを組んで、さらに楽しい(きつい?)ところに行きたいものだ。さて沢登りへと切り替えよう。(K.K)

トラック 登り=赤 下り=青


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