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No.4631
会津駒ヶ岳
2132.4m一等三角点峰
山行種別 山スキー
あいづこまがだけ 地形図

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山行期間 2012年5月6日(日)
コースタイム 登山者用駐車場(5:40)→滝沢登山口・階段(6:13)→救助用臨時ヘリポート(7:10,7:23)→駒の小屋(9:54)→会津駒ヶ岳(10:12,10:26)→救助用臨時ヘリポート(11:27)→滝沢登山口・階段(11:58)→登山者用駐車場(12:30)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
国道から滝沢登山口へ 林道に雪は無い 滝沢登山口の階段
やっと雪が出てきた(1300m) ヘリポートからスキーで登る 残雪もかなり薄くなっている
気持ちの良い疎林の中を登る 左が会津駒ヶ岳で右が大戸沢岳 燧ヶ岳
駒の小屋 山頂へ向かう 会津駒ヶ岳山頂(2132.4m)
中門岳(2060m) 雷から逃げるように滑る 1400m辺りの斜面
急登をツボ足で下る 国道に出る 駒の湯で汗を流す

行動記録
 今年の5月連休後半は天候が不安定で崩れた。東北でも各地で大雨による被害が続出。仕事や家庭のことなど変更を迫られたが、なんとか山だけは予定どおり6日に行くことにした。当初は4月始めに計画していた会津駒ヶ岳だがメンバーの都合が悪く、山スキーの時期も終わりに近いのは承知で、あえて会津駒ヶ岳とした。それでも天気がなかなか読めない。代わりにと考えた候補地も、いずれもあまりよろしくない。Iさんとも相談したが、結局当初案どおり会津駒ヶ岳にすることにした。午後3時頃から天候が崩れる予報だが、早めの出発と下山でクリア出来るだろうと考えた。自分にとって会津駒ヶ岳は初登山となる。5日夜に移動してテント泊。現地までの移動時間が長い場合によくやる手だ。現地が近づいても、ヘッドライトの見える範囲では雪が無い。一抹の不安がよぎる。
 午前5時に起床。テントを撤収しながら辺りを見ても、除雪してたまった雪が残っている程度。会津駒ヶ岳は見えないが、近くの山にはほとんど雪が無い。登っていけば雪はあるとは思うが、はたしてどこまで登ればいいのだろうか。登山者駐車場から国道352号を300mほど歩くと、林道入口で滝沢登山口の案内板があるが、実際の滝沢登山口は林道をしばらく登ったところにある。舗装された林道に入ってすぐ橋があり、通行止めの表示板の脇を抜けて橋を渡る。川は雪解け水でかなり増水している様子。林道のまま歩くと長いが、この時期は途中テープで通せんぼになっており、導かれるままショートカット道を登るのでかなり短縮になる。斜面にはわずかに雪が残るが、とうてい滑ることのできる状態ではない。雪が無い雪が無いと言いながら歩いていく。急斜面に木製の階段の掛かる滝沢登山口まで来た。Iさんによると、以前はこの時期でも尾根の北側の沢を登山口辺りまでは滑ることができたという。とにかく登っていくしかない。
 山スキー用のブーツは兼用靴とはいえ、基本はスキーブーツで、スキー板を担いでぬかるむ急登を登るのはかなりしんどい。途中で休憩していると登山靴の男性2人が抜いていくので声をかけると、彼らはスキーも考えたが止めたとのこと。標高1300m辺りでやっと雪の上を歩けるようになるが、それでもスキーはまだ無理。急登を登って1350mにある広場(救助用臨時ヘリポートらしい)でひと息つく。ここから先の登山道にはかろうじて雪が繋がっているように見えたので、やっとスキーで歩くことにする。ところが歩き出してみると登山道の雪も途切れ途切れで、雪を求めて右往左往するハメになる。無理して雪を追って登るものだから、自分は急斜面の階段登高中エッジが外れ、10mほどズルズルと落ちてしまった。雪が切れたところでは、やむなくスキーを外してツボ足で歩く。そんな苦労をしながら標高を上げていき、まともにスキーで登ることが出来るようになったのは標高1500m辺りからだ。そこからはいつものシール登高で順調に高度を上げていく。
 晴れているので動いていればTシャツ1枚がほどよい感じだ。何人かが下山してくる。午前4時半に登り始めたというツボ足の若者が、早くも山頂まで登ってきたと聞いて驚く。春山は雪が締まっているので、足が速いとそんなことも可能なのだ。樹林帯を抜けると勾配も緩み、なだらかな尾根になる。視界を遮るものがなくなり、右手に山頂とその先に続く大戸沢岳がよく見える。尾根を少し右下に外し、トラバースして駒ノ小屋に向かう。小屋手前の斜面をひと登りして到着。ひと息ついて南に見える燧ヶ岳を眺める。その右手の至仏山は霞んではっきりしない。風が吹いてきて雲行きが怪しい。予報より早く天気が変わってきそうだ。山頂へと急ぐ。
 山頂までは10数分だが、着いた時にはさらに天気が怪しくなっていた。シールを外していると、ゴロゴロという雷鳴が聞こえ雨がポツポツ降ってきた。これはまずい撤退だ。急いで山頂から滑り降りる。山頂と小屋の中間に4人パーティーがいて、慌てて雨具を着ているのが見える。一目散に滑り降りるが、ワックスを塗る時間もなかったので滑りが渋い。雷鳴が大きくなり稲光が見える。自分より背の高い物がない山頂や稜線での雷は、まったく生きた心地がしない。とにかく高度を下げる。樹林帯に入っても安心は出来ない。1800m辺りまで下りやれやれとひと息つく。あの4人パーティーは小屋に待避したのだろうか。雨も降っているのでさらに下山を続ける。
 徐々に雪が少なくなり、あちこちブッシュが出てきてツリーホールも大きくなるが、それらを上手く避けながら滑るのも山スキーの面白さかもしれない。雪の幅が狭いところは横滑りで下るなどしているうちに、少しパーティーがばらけてきた。いったん集合することになったが、Sさんが追いついてこない。笛で呼ぶが応答なし。するとずっと下の方から何やら声がする。変だなSさんなら上のはずだがと思い再度呼びかけると、確かにSさんの声がする。「落ちた〜」と声のする方をよくよく見ればSさんが見えた。聞くと雪庇から2mほど落ちたので戻ろうとしていたところ、さらに雪の斜面を30mほど滑落してしまったようだ。ズルズルと落ちてブッシュで止まったせいか、幸い何の怪我もなく問題ないが、ひやっとした出来事だった。このこともあり、いったん休憩することにしたが、そのうちに雨が止み青空も見えてきた。まったくクルクルとよく変わる天気だ。この先は雪も繋がっていないので、ここからスキーを担ぐことにした。少し下るとヘリポートのところだった。今日の雪の付き具合で、ここまで滑ってこれたのは上出来といえるだろう。
 後はスキーを担いでの長い下りとなる。後から追いついてきた登山者によると、今年はもともと雪が少なめだったが、3月が寒かったので融け残っていたところ、暖かくなって一気に融けてしまったのだという。それも一理かもしれない。確かにこの前の雨のせいだけとは考えられない。大雪だったのは日本海側だけで、太平洋側は単に降り始めるのが遅かっただけなのかもしれない。いつの間にかまた雨が降っていた。ぬかるむ登山道の下りにスキーブーツでは、滑るなという方が無理な話。それでもストックを頼りに、なんとか尻もちをつくこともなく下りきる。舗装された林道に出てから、泥にまみれたブーツとストックを洗う。てくてく歩いて駐車場に戻り、駒ノ湯(500円)でゆっくりと汗を流してから帰途についた。
 今回はリサーチ不足だったようだ。滑りを楽しむどころではなかった。でも失敗だったのかというとそうは思わない。たしかに雪のない道をスキーを担ぎ、標高差400mを登るのはかなりしんどい。天気も不安定で雷雨に追われ滑落もあった。でも感想はといえば、やはり面白かったのだ。Iさんも車中で「山は来るたび違う」と言っていた。山は自分の思ったようにはいかない。その時その時の状況に応じ、考え判断して歩を進め、あるいは退却する。そこに山の面白さもあると思うが違うだろうか。(K.K)

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