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No.4369
鳥海山・湯ノ台口
行者岳 2159mピーク
山行種別 山スキー
ちょうかいさん・ゆのだいぐち 地形図 鳥海山、湯ノ台

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山行期間 2010年5月8日(土)
コースタイム 駐車地点(8:11)→斜面取り付き(8:47)→小休止(10:18,10:28)→マタフリ沢源頭付近(10:50)→行者岳(12:40,13:36)→マタフリ沢源頭付近(13:59)→歩き開始(15:15)→駐車地点(15:41)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
駐車地点にはすでに数台の車 ここからスキーで登りはじめる 林間を登っていく
徐々に晴れてきた 眼下に広がるパノラマ 山頂までもうひと頑張りだ
バックは新山 蟻ノ戸渡の先に稲倉岳が Kさんの滑降
続いて私 日本海が見える 湯の台温泉鳥海山荘で汗を流す

行動記録
天候 曇りのち晴れ
 4月20日に鳥海山の前衛峰といえる稲倉岳に登ったのだが、その時に鳥海山の本峰を眺め、あの山頂に登りにまた来ようと思った。その機会は以外に早く訪れた。Kさんから湯ノ台コースに行かないかとありがたい誘いを受け、私は早速その誘いに乗ることにした。
 湯ノ台コースは言わずとしれた山スキーのクラシックルートだ。鳥海山の山スキーコースには、祓川コース、吹浦コース、象潟コースなどがあり、その中でも湯ノ台コースは長い方のコースとなる。鳥海山の南側に公園道路が標高1200m地点まで通じていて、この道路を車で行けるところまで行った地点から行動開始となる。
 朝に自宅を出てKさん宅に寄り、一路鳥海山へ向かう。東北道に乗りジャンクションで山形自動車道に入れば、鳥海山までは思ったより近い。酒田みなとICを降り鳥海山に向かっていても、なぜか鳥海山の方向だけは雲がかかり山容が見えない。午後から晴れることを期待するとしよう。
 鳥海山家族旅行村の手前を右折しすぐ左折、牧場の中の公園線を走るとやがてヘアピンカーブがあり、2個目のカーブ手前に4台ほどが駐車していた。いずれの車もスキーの人達らしく、まさに何人かが路上で準備中だった。そこから上の路面には雪が残り車は進めないようで、こちらの車も道路脇に駐車する。我々の後からも車が上がってくるので、今日の入山者は多いのかもしれない。
 準備をし8時11分スタート。しばらくは道路歩きが続くのだろうと思ってはいたのだが、雪の残るカーブを過ぎるとその先の路面に雪は無く乾燥状態。途中少し雪のある箇所もあったが、結局ずっと舗装道路の歩きが続くのだった。2km以上もスキーを担いで兼用靴で歩き、いい加減嫌になってきた頃やっと斜面の雪がつながってきた。スキーを履いて8時47分に斜面に取り付くことができた。
 しばらくは木の枝がうるさくて、右へ左へあるいは乗り越えて歩くハメになる。宮様コースを歩いていく。所々ルートを示す赤テープもあるが、結構自由にラインを取り登っていく。Kさんは湯ノ台コースはこれで4回目だというが、山頂まで到達したことは1回も無いという、今回は山頂タッチも目標のようだ。しばらく登っているとガスがかかってきたが見通しはきく。
 標高を上げるとしだいに周囲の木が少なくなり、前方に山頂に至る雪の大斜面が見えてきた。さすがに鳥海山の雪渓は広い。この素晴らしいロケーションを滑ることに期待感があると同時に、山頂へと昇っていくように続く斜面に、自分のスキーの腕では少々不安もある。
 滝ノ小屋には寄らず200mほど東のラインを取ると、小屋は起伏の向こうになり見えない。ここで初めての休憩を取った後、マタフリ沢の源頭を左からトラバースしていく。後続のパーティーはトラバースせず左にそれていった。さらに何組かのパーティーが登ってきているのが見える。いつの間にか先行していた数パーティーは抜いてしまって、行者岳に直登するルートに取り付いているのは我々がトップになってしまったようだ。
 Kさんが標高1620mあたりでブッシュを越え東隣の雪渓に登るラインを移した。それまで登っていた雪渓は上部で岩が露出して雪が切れているようなので、雪渓を乗り換えたというわけだ。そこからはもうほとんど真っ直ぐに、見上げるような斜面を登っていく。あとは行者岳までほぼ一直線に登るだけだ。さえぎるものが無く見通しの利く斜面を登りながら振り返ると、眼下には視界いっぱいに地表の風景が広がり、その高度感はかなりのものがある。下までずっと続く斜面を見下ろしていると、滑ったら止まるのだろうかと何となく不安感が湧く。しかしこの辺りはまだザラメ雪なので心配はなさそうだ。空は快晴といっていいくらい晴れ渡ってきた。
 標高を上げると雪渓の表面が次第に固くなってくる。しばらく前から直登は無理になりジグを切って登っている。Kさんは途中でスキーアイゼンを装着していたので幾分楽だが、私はスキーアイゼンを持っていないのでそのままシールだけで頑張る。山頂近くでは一部ブルーアイス気味のところもあり、エッジが少し滑ってバランスを崩した私はは冷や汗をかくハメになり、最後の10mほどは階段登高になった。しかし何とか行者岳の50mほど西側の外輪山に12時40分に着いた。
 山頂は風が強い。行者岳に移動し眺めを楽しむ。外輪山の縁を右にたどれば七高山に至るが、今日は眺めるだけにしよう。向かいには新山が見え、大物忌神社の建物も見える。蟻ノ戸渡でつながった向こうの山は、先月登った稲倉岳だ。右に回り込み風を避けられる場所で昼食休憩とする。結局山頂にはほぼ1時間もいてしまった。今日ここまで登ったのは我々だけだった。
 登ってきた雪渓は山頂直下が固くていやらしいので、ここは降りたくないと思っていた。ところが雪質の良い雪渓があったのだ。昼食休憩したのは登った雪渓の東隣の別な雪渓なのだが、この雪渓の雪は最上部でも凍ってなくザラメ雪だった。50mほどしか離れていないのに、この雪質の違いはどうしたことだ。おそらく風が吹き付ける方向によるのだろう。我々はここから滑ることにした。下部でトラバースし、ハイマツを越えるポイントを注意すれば大丈夫だ。
 Kさんがドロップし自分も後を追いかける。ザラメ雪なので気持ちよくターンが決まる。まるで自分が上手くなったかのような錯覚をしてしまいそうだ。ノントレースの斜面にシュプールを描くのは実に気持ちが良いものだ。一気に滑り降りるのはもったいなく思い、眺めを楽しみカメラで撮影したりと刻みを入れながら滑り降りる。しかしそうしても高度はどんどん下がっていく。何とも名残惜しいような気持ちになる。
 途中でテレマークのご年配の男女パーティーに追いついた。我々は登ってきたラインをほぼトレースして下ろうかと思っていたが、このパーティーは西へと逸れていく。私たちもこのコースを使わせていただく。これが正解だった。こっちの斜面あっちの斜面と短いが美味しい斜面をつないで滑って行く。話しをすると秋田市からの方で随分と鳥海山には通い、このラインを見つけたのだという。その後も沢に降りたりして縦横に自由なルートで下るので面白かった。樹間が狭くツリーホールの大きくなった宮様コースをパスできるルートを知ったことは収穫だった。感謝感謝である。
 雪をつないでギリギリまで道路脇を滑ったが、また朝と同様にスキーを担いでの歩きとなった。日差しが暑くて肌が焼かれるが、どのみちもうこれ以上黒くもなるまい。雪で車が通れなかったところは、この半日で雪が融け通れるようになっていた。明日湯ノ台コースに来る人達は、随分上まで車で上がれるからかなり楽になるだろう。駐車地点には16時00分到着。その後は鳥海山家族旅行村を見学し鳥海山荘の湯ノ台温泉に入りに行く。なんと浴室で下りルートを拝借したパーティーの男性と一緒になってしまう。さっぱりした我々は、青空をバックにくっきりと優美な姿を見せる鳥海山を後にし、心地よい余韻に浸りながら帰途についたのだった。(K.K)

概念図



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