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No6187
佐原沢
吾妻山  最上川源流松川上流
山行種別    無雪期沢登り
さばらさわ 地形図

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山行期間 2019年10月6日(土)
コースタイム
駐車地点(8:02)→滝見台確認(8:10〜8:46)→大平温泉(8:55)→30m滝(9:17)→25m滝(9:44)→二俣(10:21)→30m滝(10:32)→25m滝(11:00)→奥の二俣(12:22)→登山道(14:05)→ママ河原(15:02)→駐車地点(15:39)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
大平温泉脇で佐原沢が出合う すぐゴルジュになる 源泉からの引湯管が延びている
沢の中にある源泉 最初の4m滝 右岸の柱状節理
30m滝を直登する 30m滝の最上段 6m滝
6m滝上部に取り付く西○さん 4m滝 大滝が見えてきた
25m滝 右岸を高巻いて落ち口上に降りた 1,220mの二俣は左へ
7m滝は左壁を直登 30m滝 左岸枝沢より高巻く
上部はヌルヌルの滝 25m滝 肩を痛めた西○さんが登る
紅葉の沢 1,509m標高点二俣を左へ フカフカの苔に覆われた石
森の中を右往左往する やっと登山道に出た 下山の登山道で陽が差してきた

行動記録
 松川はその上流部において間々川と名前を変える。どこから間々川となるのか正確なところは分からないが、大平温泉のところで二俣となるので、左俣が間々川となり右俣が佐原沢となるのではないかと考えている。今年は8月から3回の遡行で松川から間々川そして稜線までの遡行を終えたので、今度は佐原沢を遡行してみることにした。
 大平温泉駐車場の少し手前の道路最高地点に車を置く。霧雨模様で今ひとつテンションが上がらないまま準備をする。天気の回復を期待してスタートを遅らせようかと思ったが、結局上下カッパを着て8時過ぎに歩き始める。大平温泉へ下る一本道だが途中で滝見台に寄り道をしたので時間がかかった。大平温泉に断りを入れて露天風呂脇を通るとすぐ佐原沢出合である。本流の間々川より狭い沢で黒いパイプが目立つ。大平温泉の源泉から湯を引いているパイプだ。佐原沢に面した方にも露天風呂があるのは今回気が付いた。右岸斜面の上の方に鉄梯子が見えたが、今は廃道となっている登山道の名残のようだ。沢を登っていくと源泉はまさに沢の中にあった。管理が大変であろうことは容易に想像できる。源泉の先からは人のにおいが一切しなくなる。
 右岸に柱状節理を見ると30m滝が現れる。岩は黒光りして滑りそうだが比較的寝ているので直登可能だ。西○さんに先行してもらうことにすると水流右から取り付いた、落ち口まで登ったのを見届けると自分も登る。岩は見た目より滑らないので比較的容易だが油断は禁物である。夏ならシャワークライミングもいいだろう。その後は6mを始めいくつかの小滝があるがいずれも容易に越えることができる。
 やがて次の大滝である25m滝に突き当たる。水量にもよるのだろうが3条になって落ちている。上部が少しハングした直瀑で見るからに直登はできない。高巻きはと見ると左右どちらからでもできそうだ。我々は右岸から高巻くことにして斜面に取りつく。急斜面を登り頃合いを見てトラバースすると、上手い具合に落ち口のすぐ上に出ることができた。1,220mで右俣が15m滝で合わせる二俣を左俣へ進むとすぐ7m滝だ。左壁は立っているが直登することができる。
 7m滝を越えると大滝が見えてくる。30mの直瀑だ。なかなか見事な滝で両翼を広げたような左右の岩壁は垂直に切り立っている。間々川の剣急滝にも似ているが滝と側壁の厳しさでは劣る。高巻きも剣急滝よりずっとやり易いようである。高巻きルートを西○さんに選んでもらうと左岸の枝沢からとなった。枝沢を登っている途中で西○さんがスリップし、以前から痛みがあった左肩をさらに痛めてしまった。この枝沢の岩はかなり滑りやすく注意が必要だ。
 30m滝の高巻き自体は特に問題なかったが、少し登りすぎたので下降して沢に戻るとすぐ目の前が25m滝になる。最初の滝に似ていて同じように直登できるが、肩を痛めた西○さんのためロープを出す。佐原沢の大滝はこれが最後となり以降は詰めていくだけである。小滝をいくつか越えると穏やかな流れとなり源頭の渓相となる。紅葉も見られるようになり秋の深まりを感じる。右岸からいくつか枝沢を合わせながら本流を進んでいくと、地形図の1,509m標高点で小さな二俣となり左俣に入る。1977年の記録では稜線まで詰めずに途中からヤブを漕いで登山道に出ているが、今回は尾根まで忠実に詰め上げることにしている。
 沢は細くヤブが被り気味となる。倒木に阻まれ沢形も不明瞭となり沢を見失い、また沢に戻るなどしながら詰めていく。キノコでもあればと目を配ったが残念なことに食べられるものは見つからなかった。平坦な地形となり沢形も無くなると、前もあまり見えないほどの密度の濃いヤブ漕ぎが続く。約1時間でヤブを抜けると湿原で登山道に出た。ガスと風で寒いので沢装備もそのままに下山にかかる。登山道を駆け下っていくと青空が見え始め陽まで差してきた。もっと早く天気が回復してくれればと思ったが山では良くあることだ。
 今シーズンは松川、間々川、佐原沢の遡行でこの山域に4回足を運ぶこととなった。源頭まで詰めたことでより深く吾妻を知ることができたように思う。松川の遡行についてはこれでひと区切りとしたい。大平温泉までの道途中にある不動明王の説明板には、中部関東や東北各県からの沢登りパーティーで賑わっていると書いてある。30年40年前はそんな時代でもあったのだろう。今は遡行するパーティーも僅かとなってしまったが、今後また記録を見て遡行しようと思う者も現れるに違いない。ただし、大平温泉までの道が無ければ遡行はより困難となるであろう。大平温泉の湯が発見されたのはかなり古くて西暦860年とされている。秘湯中の秘湯と言われる大平温泉がこれからも末永く続いていくことを願うものである。(熊)

※滝見台について
 色々と調べていると滝見台があり近年まで人が入っていたらしいことを知った。大平温泉への急な下りのジグザグ道となる最初のカーブのところから滝見台への道があるらしい。以前は案内板もあったが現在は撤去されたのか無くなっている。大平温泉へ降りる前に少し調査してみることにした。カーブのところになんとなく踏み跡がある。入ってみると少し登ってすぐ水平のトラバースとなった。踏み跡は道というには厳しい状況で、急斜面のトラバースは一般人には危険すぎるレベルとなっていた。途中のザレ場には古いトラロープもあったが信用できるかは不明。5分ほどで剣急滝(剣巉滝が正しいかもしれない)の滝見台らしき所まで来た。沢の音はするが樹林とガスのせいか滝を見ることができなかった。踏み跡はここまでだが案内板にはさらに先への道が描かれており、燕滝を眺める地点まで至ることができたようだ。トラバースしていくと沢筋があり越えると小尾根に乗る。滝の音が近くなり姿は見えないが火焔滝と思われる。さらに先へトラバースすると断崖になりそうなので、剣急滝まで行くとすればもう少し登ってからトラバースする必要がありそうだ。これ以上深入りすると時間がかかりそうなので今日はここまでとして戻ることにした。機会があれば天気の良い日に再調査したい。少なくとも2014年までは案内板があったようなので、その頃は剣急滝を見るため滝見台まで行く人もいたようだ。今は案内板も無くなったので滝見台があったことすら分からなくなった。剣急滝は知る人ぞ知る滝ということになってしまったようだ。

.ルート図 往路=赤 復路=青
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 令元情複、 第435号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。

トラック 登り=赤 下り=青

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