安達太良山の東鴉川を訪れた。自分としては2009年以来なので9年ぶりということになる。東鴉川は登山大系にもあるとおり、大滝の直登にこだわらなければ難しい滝もなく易しい沢といえるだろう。安達太良山はコンパクトな山域なので日帰りが容易な沢ばかりだが、その中でも東鴉川は地味な印象があるのか遡行するパーティーは少ない。ネットで検索しても福島登高会の記録の他はわずかしか見当たらない。周回ルートが取れないということもネックになるのだろう。しかし、ゆったりとした沢登りをしたいとき、初心者トレーニングとして遡行したい時などは頃合いの沢なのではないだろうか。今回のパーティーは初心者2名を含めた6人だが、紅葉を楽しみながらのんびり遡行することにした。
塩沢登山口に1台デポしてから旧国道115号の東鴉川橋に向かい、橋手前にある空き地に車を止める。沢支度をして橋の脇から沢に下りた。ゴーロを15分ほど歩くと現在の国道115号の橋の下を潜る。しばらく歩くと前方に滝が見えてきた。東鴉川で一番大きな滝である。石滝を越えて近づいていき手前の3m滝を登ると大滝である。水量が少ないので迫力には欠けるが末広がりで実際以上に大きく感じる。これまでの記録ではこの滝の高さは12mから30mとばらつきが大きいが、今回は18mと整理することにした。左壁からの直登も可能のようだが無理せず右岸からの巻きを選択する。沢への下降は4名が10mの懸垂下降をしたが2名は直接下降した。高巻きに要したのは約40分だった。
続く15m滝は左右どちらからでも登れるが、水流右は水しぶきを浴びながらの直登になる。空は晴れているが日の差し込まない沢は濡れると肌寒い。4m滝を難なく越えると傾斜のあるゴーロで高度を上げていく。2段8m滝を越えると沢は一転して緩やかなナメになる。日も差すようになりのんびりした気持ちになる。小滝をいくつか越えていくと沢は明るく開ける。5m滝が現れるが容易。二俣を左に進むと大岩が鎮座し沢はさらに二手に分かれる。どちらに進んでも大差はないが今回は右へ。ヤブが被さるようになるが構わず遡行を続けると登山道に出た。遅めの昼食を取ってから登山道を塩沢登山口へと早足で下山した。(熊)