8月24日
台風の影響で北アルプス行きが中止となり、急きょ沢登りに変更して七滝沢に行くことにした。七滝沢は4年前に遡行した経験から、今回の平均年齢58歳のパーティーでも大丈夫だろうとの読みである。当日早朝出発で山形県に入ると小雨でテンションがかなり下がるが、新潟県に入るころには雨も上がってきた。内ノ倉ダム湖奥に車を停めて歩き出すと50分弱で七滝沢出合に着く。内ノ倉川は平水以下の水量の様で渡渉は容易だった。七滝沢に入ると最初はゴーロが続き、やがて淵や小滝が現れるが難しいところはない。
第1連瀑帯の入り口となる4m滝を越えるとすぐ6m滝で、前回同様左岸をへつって越える。10m滝は登れないので左岸の巻き道で越えていったん沢に降りると、見事な連瀑を見上げられる。前回は沢に降りずに巻き続けたので、この景観を見ることができなかったのだ。巻き道に戻って高巻いていくとどうも変だと気付いた。いつの間にか本流と離れる方の小尾根に入ってしまったらしい。前回も間違ったので注意していたつもりだが狐につままれたような気分である。仕方がないのでとりあえず昼食休憩し、懸垂下降で枝沢に降りてから本来の巻き道のある小尾根に登りなおした。無事高巻いて沢に戻ったが、このミスでかなり時間をロスしてしまった。
第1連瀑帯の上も次々と滝や大岩が現れ越えていく。困難というほどではないが、やや苦労するところもあり大岩の乗っ越しは結構疲れる。やがて第2連瀑帯が姿を現す。前回は全部まとめて巻いてしまったので、今回は登れる滝はなるべく登ることにした。10m滝は左壁から登り、12m滝はロープを出せば登れそうだが右岸を小さく巻いた。7m滝は右壁を登り10mCS滝は登れないので右岸を小さく巻いた。その後も滝は続くがいずれも直登することができる。ロープは出さなかったが、ややヌメっている岩もあり高さもあるので状況によっては出したほうが良いだろう。第2連瀑帯取り付きから最上段まで1時間20分ほどだった。
やれやれとひと息つきたいところだが、だいぶ時間が押しているので先を急ぐと、1日目最後のハイライトとなる釜のある20m滝が現れる。前回は釜の手前右岸から大きく高巻いて越えたが、今回は滝に近づいて右岸のルンゼから巻くことにした。ルンゼが立っているのでロープを引いて登ると、シュリンゲが2本下がっていたのでアブミ代わりにして登る。2カ所ランニングを取ってトラバースすると、落ち口の下に出たので左壁を登って越えた。さらに4m滝とミニゴルジュを越えると渓相が変わり穏やかな流れになる。予定よりだいぶ遅れて午後5時近くテン場に到着。休む間もなくタープ設営と薪集めにイワナ釣りと、分業体制で仕事をこなす。焚火も盛大に燃え上がり、イワナに舌鼓を打ちながらの楽しい夕食のひと時。深○さんは泊りの沢がまだ3回目だという。やがて夜のとばりが下りてきて星が輝きだす。心地良い酔いに身を任せる至福の時間が過ぎていく。
8月25日
早朝というかまだ夜だが目を覚ましたついでにたき火をおこす。朝食は米から炊いた飯だ。やはりアルファ米より美味い。昼から雨の予報なので早めに出発する。6m滝を左壁から越えると2m滝のある淵となる。前回は右岸を巻いたが今回は左岸の草付きをトラバースする。今日は中井○さんトップだがライン取りが巧みなので安心していられる。小滝を越えて6も滝を登ると18も滝だ。右壁をフリーでも登れるがロープを伸ばす。
自然の造形が美しい三ツ釜の滝を越えると釜をヘツリ小滝を越えていく。中井○さんはこんな上流でも魚影が走ることに驚いていた。1060m二俣を右に進むと4〜5mの滝が続き、右から小滝で二本木山からの枝沢が合わせる奥ノ二俣となる。この先本流の流れは細くなりほぼ涸れてしまう。5m涸滝を左岸から小さく巻いたがピンクテープとトラロープがあった。ほどなく取水口が現れる。水はここでほとんど飲み込まれている。とうとう雨がパラついてきたが大したことはない。深○さんがちょっと疲れている様子なのでペースを抑える。
小滝を越え3段15m滝を登り7m滝と5m滝を越えると源頭部となる。ガスがかかってきて視界が白っぽくなる中、沢形を忠実に追って詰め上げる。最後に笹をひと漕ぎして登山道に飛び出した。二王子岳山頂を踏んで避難小屋でひと休みすると下山開始。標高が下がるにつれて蒸し暑くなり汗だくである。二王子神社に到着すると途中で呼んでおいたタクシーがちょうど来たところだった。内之倉ダムまでは5,550円。帰路途中の道の駅関川で入浴して帰宅した。
第1連瀑帯の高巻きでルートミスしたのにはがっかりしたが、第2連瀑帯は目標どおり登れる滝は登ったので満足だ。大滝沢は3級なので技術的にはそれほど難しくはないが、距離も標高差もあるのでそこそこの体力が必要になる。体力的には年々厳しくなる我々中高年にも、このくらいの沢ならまだやれるということだ。しかし、来年は果たしてどうだろうか。日帰りで七滝沢を駆け抜けてみたいとも思うが、それはもはやかなわぬ夢だろう。(熊)