今回は南屏風岳の東面を源頭とするコガ沢を、稜線まで詰め上げてみることにした。コガ沢は何度も遡行しているのだが、本流を稜線までというとまだ1度しか詰めたことがない。良い機会なので涌○さんのトレーニングも兼ねて遡行することにした。
白石スキー場を8時過ぎにスタートする。今日は曇り空で気温もそれほど高くなく涼しいくらいだ。ゲレンデを歩いて水引コースの登山道へ入る。登山道が沢まで下りたところで入渓。しばらくはゴーロ歩きが続き、やがて5m滝が現れる。斜滝とナメ滝の中間くらいの斜度だが、ナメて登らないように涌○さんに声をかける。沢では一見何でもないところでの事故が多い。両岸が狭まると4m滝だ。ここも涌○さんトップで登ってもらう。滝は立っているがスタンス・ホールドは十分あり、フリーでも問題ない。涌○さんにはこの程度の滝でもメンバーによりロープ確保が必要と伝える。4m滝の上は二俣で権現沢との出合になる。滝で落ちるコガ沢を見て右俣のコガ沢に進む。ここからがコガ沢のアトラクションが始まる。
登山道の渡渉点を過ぎて最初の3m滝を難なく越えると4m石滝だ。左岸からへつるがここでドボンする者は多い。涌○さんは無事クリアして滝を登る。次の3m滝は胸までつかる釜からの取り付きがちょっと難しい。しかし、涌○さんは最初手こずったものの見事登った。着実にステップアップしているようだ。4m滝を越えるとすぐ10mナメ滝とその先に10m滝が現れる。ナメ滝は問題ないが10m滝は上部がちょっと嫌らしい。フリーでも登れるが今回は涌○さんにトップで登ってもらう。途中でランニングビレイ2箇所をハーケンでとの注文も付けた。実戦での経験はこれが初めてとのことだが、難なく登って潅木に支点を取りセカンドのビレイも問題なくこなしてくれた。ハーケンもしっかり効いていたのでまずは合格だろう。
4m滝と3m滝を越えると8m滝になる。涌○さんにフリーで右壁を登ってもらうが、上部が滑りやすく少々難儀していた。しっかりした潅木もなく怖かったようだが、探せばスタンスもホールドも小さいながら見つけられる。なお、通常ここはロープを出すべきであろう。やがて左から滝沢が合わせ、次に右から黒滝沢が合わせる。この辺りから沢の石が鉄分で赤茶色になってくる。高度を上げるとガスがかかってきて稜線は見えない。1,410mの二俣は本流と思われる左俣へ進む。だいぶ水流も細くなり、1,460mの二俣は本流筋の右へと進む。1,490mで水が涸れたが沢形はまだはっきりしている。
やがて急峻なガレ沢となり、落石に注意して登っていくと1,650m辺りでヤブが被ってくる。まだ沢形があるのでヤブをかい潜るようにして登り続ける。30分ほどヤブ漕ぎをすると稜線の登山道に飛び出した。気温は15度程度しかなく、さらに濡れた体に風が当たるので寒いほどだ。沢装備を解き靴を履き替えて下山にかかる。不忘山からの下りでは、あれほど酷かった登山道がかなり補修されていて歩きやすくなっていた。途中でパラパラ雨が降ってきたが、ほぼ予定どおりに白石スキー場に到着。
コガ沢は比較的明るい沢で、それほど難しい滝もなく楽しめる沢と言える。グレードで言えば2級上くらいだろうか。初級者には要所でロープを出せば問題ないだろう。ただし、単純標高差でも1,000m近くあり、ある程度の体力が必要な沢といえるので、行動時間には余裕を持って遡行したい。(熊)
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