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No5887
大石沢左俣
朝日連峰    荒川支流
山行種別    無雪期沢登り
おおいしさわひだりまた 地形図

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山行期間 2018年7月29日(日)
コースタイム
登山口(9:14)→入渓(9:18)→3m滝(10:28)→2段15m滝(10:46)→760m二俣(12:47)→登山道(15:20,15:36)→登山口(17:11)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
針生の登山口を出発 吊り橋を渡る 遡行開始
3m滝 2段15m滝 左壁を登る
3m滝は突っ張りで 2段12m滝 雪渓が現れた
ブリッジ下を駆け抜ける 4m滝 10m滝
源頭を詰め上げる 1時間以上のヤブ漕ぎ 登山道で下山

行動記録
 7月最後の土日は蔵王の小屋ノ沢で沢合宿を計画していた。参加者は6人から諸々の事情により4人になったが、予定どおり実施することにした。しかし、珍しい進路となった台風12号の接近により天気が読めない。とりあえず沢の中で泊まるのは危険と判断し、土曜日の遡行は取りやめ日曜日に状況を見て日帰り遡行することにした。小屋ノ沢は日帰り軽装なら最大12時間程度での遡行が可能だ。土曜日は午後出発とし、小雨の降るなかブドウ沢登山口にテントを張った。いちおう合宿ということで真面目に飯を炊き男4人で食らう。酒を飲めば話は尽きないが、いつの間にか寝てしまった。夜半激しくテントを叩く雨音に気が付いた。4時半過ぎに起きて状況を確認する。雨は小ぶりとなっていたが、小屋ノ沢が流れ込む名乗川は濁流となっていた。今日の遡行はきっぱり諦め、思い切って山形方面に転進することにした。沢は2年前に遡行したことのある朝日・祝瓶山の大石沢とし、会長の承認を得て下山担当にも連絡をする。地形図がないので、スマホで自分のブログ記事からGPSトラック図をダウンロードしてネットプリントに送信し、途中のセブンイレブンでプリントアウトし準備完了。全部遠○さんにやってもらったのだが便利な時代になったものだと思う。何しろ自分はいまだにガラケーなのだ。
 針生登山口に車を停め仕度していると早速メジロの群れにまとわりつかれる。転進したことで歩き始めたのは9時14分になっていた。吊り橋を渡り大石沢に入渓する。大石沢は小沢で下部は傾斜のない緩い流れが続く。入渓から1時間以上歩き単調な遡行に飽きたころ、やっと倒木ダムの3m滝が現れる。ここは普通には登れないが、沢登り3年目の涌○さんと2年目の遠○さんに攻略を任せる。鈴○さんのアドバイスもあり越えることができた。
 次の2段15m滝も涌○さんトップで左壁を登ってもらう。後続は途中の灌木からお助けロープを垂らしてもらいゴボウで登る。2段目を越えるとすぐの4mトイ状滝を左岸から越えると、狭い3mトイ状滝がある。涌○さんは高巻きを考えたようだが突っ張りを提案する。体の硬い中年男4人だが、何とか全員突っ張りで突破した。沢が開けると2段12m滝が現れる。左岸の急斜面を巻いているとアッという声が聞こえ、先行していた鈴○さんが目の前を滑り落ちていくではないか。声をかけると大丈夫と返事があった。掴んだ枝が枯れ木で折れてしまい、たまらずに滑り落ちてしまったとのこと。高さで10mほどあったが、運よく重大事故にならずホッとする。本人いわく沢登りを始めて30年以上だが初めてとのことだという。気が付くといつの間にかメジロはいなくなりアブが主役となって刺してくる。
 滝の上に出てやれやれと思っていると、涌○さんが水が急に濁ってきたと言う。その原因は上流に進むとすぐわかった。雪渓がありブリッジの一部が崩れたのだ。2年前「730mで左岸からガレた枝沢を合わせる」と記録したところだ。雪渓の上を巻くのも容易ではないので、ひとりずつブリッジの下を駆け抜けた。全員雪渓の上流に出て見ていると、ブリッジが変形し始め轟音とともに崩壊した。通過後5分ほどのことだった。これまで雪渓崩壊の音を聞くことはあったが、目の前で見るのは初めてのことだ。巻いて時間をかけていれば巻き添えを食ったかもしれない。ではブリッジを潜るのが正解だったかというと何とも言えない。沢登りの中でも雪渓処理は危険で難しい。4m滝が現れたが、落ち口に倒木の根が乗っていて越えるのはちょっと厄介そうだ。2年前は根の下をくぐり抜けて滝上に出たことを思い出したが、今はその空間がなくなっている。鈴○さんが右壁から登り自分も続いたが、スリップしそうでかなり嫌らしい。後続の2人は倒木を支点にロープで確保した。
 760mで二俣に出合う。2年前は本流の右俣へ進んだが、今回は時間短縮のため左俣に進むことにした。少し上ると15m滝が現れる。滝の直登は無理だが左壁を灌木頼りに登れそうだ。自分がロープを引いて取り付くと、実際はリッジ状の岩で足がかりに乏しい。少し苦労したが腕力任せに落ち口まで登り切る。後続はロープを2本使い3人とも確保して引き上げた。以後は滝も現れず傾斜を増した源頭を詰め上げる。途中で水を補給するとほどなく水流は途切れた。やがて沢型も定かではなくなり、急斜面を灌木に頼って体の引き上げが続く。かなり暑いこともあり涌○さんはキツかったようだが、細身の遠○さんは意外に飄々としている。最後は藪を漕いで左へトラバースし登山道に出た。ひと息つくとゆっくり下山して登山口に戻った。
 急きょ転進しての大石沢だったが、無事下山したとはいえ危ない場面もあった。大石沢は朝日の沢としては易しい沢なのだが、沢の難度にかかわらずアクシデントはどこでも起きる可能性がある。自然相手の行動では、注意力散漫になり油断すれば簡単に足元をすくわれてしまうことになる。その点では初級者もベテランもないのだ。登らせてもらっているという謙虚な気持ちを忘れてはならない。(熊)

.ルート図 登り=赤 下り=青
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平30情複、 第400号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。

トラック 登り=赤 下り=青

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