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No.5396
大白布沢 飯豊連峰 一ノ戸川支流
山行種別 無雪期沢登り
おおしらぶさわ 地形図

トップ沢登り>大白布沢本流(御沢)左俣

山行期間 2016年10月2日(日)
コースタイム 御沢野営場(7:08)→タカツコ沢出合(7:33)→大滝下(8:22)→大滝上(8:35)→大岩4m滝(9:21)→二俣(10:04,10:24)→登山道(12:44)→疣岩山(12:56)→三国岳(13:22,13:50)→御沢野営場(15:40)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
御沢野営場よりスタート 大滝への遊歩道 大白布沢に入渓
右からタカツコ沢が出合う 5m滝 6m滝
3段12m滝 遊歩道渡渉点 左下に長滝が見える
赤ペンキマーク 大滝(20m) 正面枝沢を見て右へ屈曲
2段6m滝 7m滝 3条5m滝
6m滝 左岸枝沢8m滝 大岩4m滝
ゴーロが見通せる 狭い7m滝 左岸枝沢多段滝
ゴルジュになる 6m滝 5m滝
5m滝 6m滝 4m滝
ひと跨ぎほどの幅しかない 幅狭ゴルジュを振り返る ゴルジュを抜けた
二俣(1190m) 4m斜滝 6m斜滝
6m+4m滝 5m直瀑 4m+3m滝
4m滝 6m滝 チムニー状10m滝
トイ状4m滝 小滝を越える 最後の二俣を右へ
源頭部を詰める 草付きに出る 登山道で三国岳へ
稜線は紅葉 三国岳の三国小屋 剣ヶ峰を下る

行動記録
 日帰りの沢で食指の動くところはないかと探していたところ、逍遙溪稜会の今年7月の記録が目に止まった。それは飯豊連峰三国岳の大白布沢本流の御沢であり、記録を読む限りでは手頃な沢のように思えた。天気が良い予報の9月30日はたまたま休みであり、呼びかけに応じた会の若い女性と一緒に行く計画を立てた。しかし、29日夜に蔵王でキノコ採りの遭難者捜索の要請が入り、30日をキャンセルして2日間の捜索活動に携わった。10月2日は空いたので、あらためてメンバーを募り御沢に向かうことにした。
 川入の御沢野営場に車を停める。駐車場には結構車があり、登山準備中の方もちらほら。事務所に登山届を置いて遊歩道を歩き出す。遊歩道は大滝まで続いていて、夏や秋には大滝へのトレッキングイベントもあるようだ。8分ほど歩くと右へ登山道を分ける。大滝まではそのまま真っ直ぐ2.3キロとの表示。遊歩道は堰堤の脇を越え川原を歩くと右岸に移るが、ウォーミングアップがてらそのまま大白布沢を遡行することにした。小滝を越えると右からタカツコ沢が出合う。タカツコ沢は一昨年紅葉時期に遡行したことがある。釜のある5m滝、6m滝と続いて現れるが容易に越えられる。
 くねった3段12m滝が現れ、つるんとした岩だが水流脇を登ることができる。滝上に出ると遊歩道が沢を横切り、岩に大滝まで1.5キロとのマーキング。このまま大滝まで遡行しようかとも思ったが、時間が読めないので遊歩道を歩くことにする。途中で左下に長滝が見えるが、確かに傾斜が寝ていて長く見える。やがて遊歩道は沢に降りると、安全のためとはいえうるさいほどの岩の赤ペンキマークが興ざめである。大滝上部が見えてくると、ペンキマークは右岸枝沢に誘導するがそのまま進む。5mほどの滝を2つ登るり大滝の下に出ると、右岸から遊歩道が合わせる。大滝の高さは20mほどだろうか。観察すると右壁を登れそうではあるがロープは必要になる。右岸から巻くことにして取り付くと踏み跡があり、途中からトラバースして難なく落ち口の上に出た。
 正面に急峻な沢筋が見えるが、これは長坂峰へ駆け上がる枝沢で、本流は右へ90度以上屈曲する。短いゴルジュの出口は2段6m滝で、微妙なスタンスに立ちこんで取り付き登る。すぐの3m滝を越えると釜のある7m滝を右壁を登る。続いて3条5m滝と6m滝も右壁から登ると、沢は狭くなり小滝が続く。左岸にチムニー状8m滝の枝沢を見送ると、沢はやや開けたゴーロとなる。大岩4m滝を左から越えると、前方へ続く沢が見通せるようになる。短く日帰りの沢とはいえ、飯豊の沢の片りんが感じられる風景だ。
 狭い7m滝は左岸がスパッと立っているが、左壁から容易に登ることができる。左岸の豪快な階段状の枝沢を過ぎると、両岸が立って迫り威圧感を感じるゴルジュとなる。岩が詰まったような6m滝を越えると、それ以降も同じような滝が続く。沢はいったん開けるが再びゴルジュとなる。ゴルジュの幅が狭まり滝をかける。幅が2mもないところもあり、平年なら遅くまで雪渓で残っていると思われる。、その残り具合で遡行の難度は大きく変わってくるだろう。今年は雪渓の欠けらさえ見当たらないという、希に見る年なのではないだろうか。今日は雨の心配はないようだが、狭く深いゴルジュには長居したくない。
 ゴルジュ帯を30分ほどで抜け、4〜5mほどの滝をいくつか越えると二俣に出合う。真っ直ぐ延びる左俣に直角に出合う形の右俣の方が、やや幅広く傾斜が穏やかである。両俣とも大岩のゴーロが伸びているが、疣岩山に突き上げる左俣には既に滝が見えていて、さらに上にも等高線からして滝がありそうだ。逍遥渓稜会では右俣を遡行したことと、今日のメンバーなら少々の滝でも登れるだろうと思い左俣に進むことにした。30日であれば迷わず右俣だっただろう。すぐ4m、6m、6m、4mと続く滝を越えていくと5m直瀑。2人は右壁を登るが、あと一手の出ない自分はお助け紐で登る。次の2段7mに4mと滝の応接が忙しくも楽しい。左岸がつるりとした岩の6m滝は、斜めチムニー状で体を入れて登る。
 次に現れた10m滝も左岸がつるりとした一枚岩だが、ほぼ垂直で幅のあるチムニー状であり、登るのがちょっと厄介そうに見える。左岸巻きも考えたが、K樹さんがいけるというのでお任せした。ロープを出して取り付き、脆い岩にハーケンで2か所中間支点を取ると登り切った。結局ロープを出したのはここだけであった。次のヌメるトイ状4m滝は2人がトライしている間に自分は右岸巻きを試みた。しかし、下降に手間取り直登した2人を待たせてしまった。この沢はそんなに悪い滝は現れないので、ヌメる岩でも工夫して直登で越えていくのがポイントのようだ。沢は源頭部の様相となり、右から細い枝沢を合わせながら高度を上げていく。最後の小さな二俣は稜線も近いのでどちらでも問題ないが、地形図を見ると左俣は60mほどで登山道に出てしまいそうだ。ここはこだわりで山頂に近づく右俣へ進む。ほどなく沢形が消えて草付きとなり、ヤブ尾根を乗っ越して少し下ると登山道に出合った。
 三等三角点があるだけの疣岩山の山頂を踏み、登山道歩き35分ほどで三国岳に到着。飯豊連峰の稜線にはガスがまとわり付いているのだが、なぜか三国岳周辺にはガスがなく晴れている。三国小屋前で遅い昼食を取っていると、縦走の登山者がちらほら行き交う。一昨年登ったタカツコ沢源頭を右手に見ながら剣ヶ峰を下り、途中でキノコを採ったりしながら御沢野営場まで下山した。
 御沢はグレード的には3級程度で易しすぎず難しすぎず、なかなか面白い沢という印象だった。日帰り可能な飯豊の沢としてはお勧めである。ただし、初級者だけでの入渓は避けたい。雪渓のない状態では30mロープで十分だが、雪渓のある場合はそれ以上が必要かもしれない。足並みのそろったパーティーなら、堰堤上からの完全遡行も可能だろう。(K.Ku)

※後日、「その空の下で。。。」のひろたさんの記録を見つけた。なんと我々の前日の10月1日に御沢を遡行していた。ひろたさんの場合、我々が遊歩道に上がったところから逆に沢に入って長滝を登り、さらに大滝をも登っている。また、二俣からは右俣を遡行しているので、ひろたさんと我々の記録を両方合わせて読むと、御沢のほぼ全容が詳しく分かることになる。

ルート
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平28情複、 第162号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。



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