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No.5396
大石沢 朝日連峰 荒川支流
山行種別 無雪期沢登り
おおいしさわ 地形図

トップ沢登り>大石沢

山行期間 2016年9月11日(日)
コースタイム 針生平登山口(8:00)→入渓(8:05)→2段15m滝(9:47)→760m二俣(10:57)→4段25m滝(11:44)→7m滝(13:33)→登山道(14:56,15:18)→祝瓶山頂(15:34)→針生平登山口(16:55)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
大石沢に入渓 すぐに堰堤が現れる 下流部は単調な流れが続く
ツリバナ? 回廊のようなところもある 再びゴーロになる
倒木ダムはショルダーで 2段15m滝の下段
下段は左壁の草付き境から
4mトイ状滝 3m滝
突っ張りで越える
2段12m滝 木の根くぐりの4m滝 2段10m滝
大滝の三俣 左の本流4段25m滝 高巻いて落ち口から見下ろす
高度を上げる 右岸の小滝が本流だった 赤茶けたナメ岩が続く
ちょっと難儀した7m滝 スリップには要注意だ 沢形を追って詰め上げる
1250mで登山道に出た 今回もガスの祝瓶山 大石橋を渡ると登山口

行動記録
 朝日連峰の沢は、遡行に2日以上を要する沢が大半である。しかし、連峰最南端に位置する祝瓶山には、日帰り遡行できる沢が多い。軽いザックで稜線まで突き上げ、1日で遡行を完結できるのは魅力である。そんな祝瓶山の沢をこれまで5本登ってきたが、まだまだ遡行したことのない沢が残っている。今回はその残っている沢の中で、比較的易しいと思われる大石沢を遡行することにした。
 針生平登山口をスタートして大石橋を渡ると、すぐ登山道は大石沢を簡易な橋で渡るので、この渡渉点から入渓することにした。なお、踏み跡が沢沿いにしばらく延びているらしいが未確認。大石沢を歩き始めるとすぐ堰堤が現れ、左岸を登って越える。大石沢の下流部に見るべきものは何もないので、話をしながら淡々と歩いていく。H田はサンショウウオを見つけて喜んでいる。そのうち釣り師がひとり下ってきたので聞くと、さっぱり釣れなかったのだという。そういえば魚影を見ないのは、釣り師が先行していたからだけではなく、そもそもイワナがいないのかもしれない。歩き始めて30分近く経った頃、右岸から踏み跡が降りてきた。やがて両岸が立って幅の狭い廊下状になり、やっと沢に変化が出てきたようだ。右岸から枝沢が落ちると、しばらくゴーロが続いた後、淵と小滝が現れてくる。倒木が真横に詰まってダムのようになった3mほどの小滝は、下部にスタンスがなく取り付けないので、先に空身のH田をショルダーで上げてクリアした。
 次の滝は、両岸が狭まり突き当たって沢が左に90度方向を変える、その右岸の岩壁を伝うようにして落ちている。下段と上段を合わせて2段15m程度だろうか。下段を左壁の草付き境から直登すると上段は容易。すぐ上には4mトイ状滝があり右から越える。その先の狭い3m滝は一見すると登るのは困難かと思われたが、流心に近づいて突っ張りと流木利用で突破することができた。次の2段12m滝を観察していると、かたわらでH田はミズのムカゴを見つけている。この滝の直登は困難なので左岸から小さく巻く。730mで左岸からガレた枝沢を合わせると、沢は大きく左へ曲がる。落ち口に倒木の大きな根が乗った4m滝があり、根の下をくぐり抜けて滝上に出る。
 760mの二俣は水量比1:3で、本流の右俣へと進む。2段10m滝が現れ、1段目は容易だが2段目が立っている。落ち口にある流木を利用して登れると判断しトライ。あと少しで登れるというところで流木が動き、持ちこたえられず3mほど落ちてしまった。顎を少し切った他は擦り傷程度ですんだが、もし足にでも怪我をしたらと思うと冷や汗が出てくる。後で昨年この滝を登ったパーティーの画像を見つけたが、まったく同じように流木を使って登っていた。いずれにしても油断大敵である。顎にカットバンを貼って遡行を続ける。狭いV字谷を抜けると沢は開け、820mで三俣のような地形になる。地形図では二俣地形だが、中央の滝の右壁にもう1本滝が落ちている。左の本流は4段25mほどの滝になっているが直登は難しいようなので、本流左岸の小尾根から高巻き、灌木伝いにトラバースして落ち口の上に出た。
 小さくなった流れを追って高度を上げていくと、960mで右岸から小滝が落ちる。小滝は枝沢だろうとそのまま登っていくと、次第に方角がずれていく。地形図とGPSで再検討すると、どうも先ほどの小滝の方が本流のようだ。クライムダウンして先ほどの小滝の沢筋に移る。沢は源頭の様相になり、スリップに注意しながら赤茶けたナメの小滝の連続で高度を上げていく。このまま稜線まで詰められるかと思ったところに7m滝が現れた。ツルっとした一枚岩で登るのはやっかいそうだ。両岸は急すぎて高巻きも困難。中段の小さなテラスにH田をショルダーで上げ、H田を支点に自分もテラスに上がる。さらにH田をショルダーするので上まで登れるかと聞いたが無理だという。それではとハーケンを打ってシュリンゲをアブミに登る。灌木に支点を取ってH田を引き上げ、ロープで下降してハーケンを回収し登り返す。
 その後も滑りやすい岩が続き、両側のブッシュに助けを借りながら登っていく。やがて水は消えるが沢形を追って詰めていき、最後は軽いヤブこぎ10分ほどで登山道に飛び出た。出たところは一の塔(1,239m)の150mほど東で、予定していた地点ドンぴしゃりだった。ここから下山したいというH田を先に行かせ、自分は祝瓶山頂までピストンする。今回もガスで眺めのない山頂を踏み、H田を追いかけて鈴振尾根を駆け下った。
 大石沢はおおかた予想通りで、あまり難しい滝もなく朝日の沢としては易しい沢と言える。下流部は単調な沢歩きが長いが、中上流部は滝が連続し、少しのヤブこぎで詰め上げられる点も魅力である。しっかりしたパーティーの中でなら、初級者でも遡行は可能だろう。しかし、そこはやはり朝日の沢であり、決して侮ることはできない。初級者だけでの入渓は避けたい。(K.Ku)

ルート
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平28情複、 第162号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。



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