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No.5362
大行沢・カケス沢 二口山塊 名取川支流
山行種別 無雪期沢登り
おおなめさわ・かけすさわ 地形図

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山行期間 2016年7月10日(日)
コースタイム 二口渓谷駐車場(8:05)→入渓(8:06)→ゴルジュ(8:10)→4m滝(8:45)→6m滝(9:38)→2段10m滝(11:09)→カケス沢出合(12:10,12:34)→北石橋(14:04)→カケス沢出合(14:32)→樋ノ沢避難小屋(14:56,15:10)→駐車場(16:24)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
1分で入渓 ゴルジュのへつり 岩はツルツルで滑る
4m滝 6m滝(駒止の滝) 左壁からシャワーで登る
巨岩帯 2段10m滝1段目 2段10m滝2段目
ナメが続く カケス沢出合 3m滝
2段10m滝 ちょっと難しい2m滝 右岸のスラブ
3mCS滝 4m滝 北石橋
見事な自然の造形 7m滝 樋ノ沢避難小屋

行動記録
 宮城県の二口山塊にある大行沢は「天国のナメ」で知られたメジャーな沢だ。気持ちの良いブナ林が両岸にあり、ナメをひたひたと歩いていると確かに美しいと思うが、天国と言うほどのものかどうかは人それぞれの感じ方だろう。癒やしのデート沢とも言われる大行沢だが、自分は過去2回の遡行は男とばかりである。今回も男3人で遡行することになったのは、自分の男運がありすぎるからなのかもしれない。ところで、自分以外の2人はなんと大行沢が初めてである。2人ともこれまで機会が無かったということだが、1回は遡行しておいた方が良いだろうという、なにやら宿題をやっつける感じの今回となった。さて、癒やしのイメージの大行沢だが、二口沢との出合から遡行すると印象はかなり違うものとなる。ゴルジュに巨岩に滝と、なかなか遡行しがいがあり楽しめる沢登りとなるのだ。今回はさらにカケス沢右俣のオプションも付け、大サービスの計画とした。
 二口駐車場から1分で入渓。広いナメを少し歩くとゴルジュになる。昨日の降雨で水量が多めのゴルジュは流れも速い。岩は水流でツルツルに磨かれ、しかもぬめっているのでかなり滑りやすい。それを見て登山道に上がろうという声も出たが、聞こえないふりをしてゴルジュに突入する。バランスと沢靴のフリクション頼みの微妙なへつりが続く。平水なら泳いでしまえば簡単だが、今日は水量が多く容易ではない。時には胸まで水に入ったりもしたが、誰もドボンはせずに通過した。今回は楽しめる程度の水量だったが、状況ではカットしたほうが良いだろう。ゴルジュの先には釜のある4m滝。前回は左岸を巻いたのだが今日は直登にトライする。取り付きでちょっと苦労したが、水流右の直登は容易である。
 その後しばらくゴーロ歩きが続くと、右岸に大きな岩屋のある6m滝が現れる。容易に登れるはずの左壁だが、今日は水流に覆われている。巻きたいとの声もあったが無視し、シャワークライミングで登る。遡行を続けると沢にある岩が大きくなり巨岩になる。苔ばかりか高木まで生えている岩を上下左右に、まるで天然のアスレチックコースのようである。こんな所は関節の硬い自分は不得手だ。それでも手足を目いっぱいに使って動くのは理屈抜きに楽しい。巨岩帯が終わると2段10m滝に突き当たる。1段目は水流左からバンドを容易に斜上。2段目は水流左を登れるが今日は水量が多く断念。他の2人と同じくスリップ要注意の右壁を登ったが、メンバーにより積極的にロープを出したいところだ。沢は穏やかな流れになり、焚き火跡なども見つかるようになるとナメ床になる。「天国のナメ」の始まりだ。ナメをヒタヒタと歩いていくと癒される様な気がする。まさにデート沢なのだが、今日は男3人とは何とも色気がない。ナメを30分ほど歩くと左からカケス沢が合わせる。近くでは3人パーティーが休憩中。我々も右岸の登山道で昼食とした。
 カケス沢は思いつきで選んだのだが、他の記録はろくに見てこなかった。中間部に北石橋があるので、見に行くのにカケス沢を遡行しようという程度の考えである。カケス沢に入るとすぐ二俣になり北石橋のある右俣を進む。カケス沢はナメの小沢という印象で、始めのうちは小滝が出てくる程度。10分ほど歩くとゴルジュになり、右に曲がると3m滝となる。2人は右壁を登ったが、自分には無理と思い左岸から小さく巻いた。次の2段10m滝は右壁のバンド状にラインが見えるが、濡れている岩を嫌って左岸から巻くことにした。その後も右に左にと曲がりながら小滝が続く。右に曲がる2m程度の小滝は、右壁を微妙なへつりでクリアする。右岸に大きなスラブが見えると3mのCS(チョックストーン)滝。2人は開脚でクリアしたが足の短い自分は厳しいので、背中と足で突っ張ってにじりあがる。
 次の4m滝は○樹さんが右壁から試みたが、結局右岸を高巻いて最後は5mほどの懸垂で沢に戻った(後で他の記録を見ると右壁の直登が多かった)。小滝がいくつかあり、右に曲がると北石橋が目に入った。北石橋は天然のアーチ橋で、長い年月をかけて水流が岩に穴を穿って出来たものだ。自然の造形の素晴らしさには感嘆するしかない。二口山塊では他にも、鳴虫沢の南石橋、ムジナ森沢のムジナ森石橋が知られている。石橋の下をくぐりカケス沢を登って石橋の上に出ると、左岸の分かりにくい踏み跡が登山道だ。いったん下りてから急斜面を登るが、踏み跡は草に隠れて分かりにくい。途中では崩壊箇所もあり、一般登山者にはあまりお勧めできない現況である。石橋から大行沢へは20分ほどで戻った。もう下山しようという声が聞こえたような気もしたが、気にせずさらに上流へと遡行を続けナメを堪能する。滝で出合う二俣の右俣7m滝を登ると、右上に樋ノ沢避難小屋が見えてきて遡行終了。樋ノ沢避難小屋で沢支度を解き、登山道を早足で下山した。
※今回は思いつきで大行沢とカケス沢を組み合わせた。しかし、帰宅後に検索してみるとこの組み合わせが多いことにちょっと驚いた。ガイド本(自分も持っているが見ていなかった)にも載っているようで、沢泊か避難小屋泊の2日間で遡行しているパーティーがほとんどで、ゆっくりと癒しの沢を楽しんでいる。大行沢は登山道が並走しており、上下降のポイントが多く、ナメ区間だけの遡行も可能で色々なパターンが考えられる。しかし、いいとこ取りだけでなく、1度は下から通して遡行してみるといいだろう。カケス沢は左俣も遡行対象になるので、周回ルートなどもできそうだ。(K.Ku)

ルート
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の電子地形図(タイル)を複製したものです。(承認番号 平28情複、 第162号)この画像をさらに複製する場合には国土地理院の長の承認が必要です。



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