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No.4839
大行沢 二口山塊 名取川支流大行沢
山行種別 無雪期沢登り
おおなめさわ 地形図

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山行期間 2013年8月25日(日)
コースタイム 二口渓谷駐車場(7:14)→入渓(7:15)→ゴルジュ入口(7:20)→4m滝(7:50)→左岸小屋(8:05)→6m滝(8:48)→京渕沢梯子滝(10:13)→2段滝・6m+4m(10:50)→昼食(11:46,12:12)→二俣(12:39)→樋ノ沢避難小屋(12:45,13:05)→二口渓谷駐車場(15:06)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
二口渓谷駐車場 橋をくぐって入渓 ゴルジュのへつりが始まる
あるかないかの凹みを探るMさん 微妙なへつりが続く 落ちるのも楽しい
落ちた 泳ぐMさん 4m滝は左岸を巻く
左岸の小屋(おろおろ小屋) 沢床の石垣のような模様 釜のある6m滝は左壁を直登
6m滝の上部から 巨岩が続く ゴーロ歩きもまた楽しい
京渕沢の梯子滝 10m2段滝 ナメが始まる
青空でないのがちょっと残念 まるで舗装道路だ 左がハダカゾウキ沢で右が樋ノ沢となる
樋ノ沢の7m滝 樋ノ沢避難小屋と小東岳 登山道の要注意箇所

行動記録
 腰が痛いと感じ、徐々に痛みが増してきてギックリ腰に近い症状になった。数日もすれば治るだろうと思ったが、なかなか治らず痛みが続く。動けないほどではないので、子どもとキャンプに行ったりもしたのだが、やはり本調子ではない。2週間近くかかってやっと痛みもほぼ無くなったので、ゆるい沢登りに行ってみることにした。行き先は二口山塊の大行沢にした。「天国のナメ」とのフレーズで知られた沢であり、2010年にナメの区間を中心に上半分を遡行している。今回は大行沢の全遡行を目的とした沢登りとした。
 今日の相方のkaさんと二口渓谷駐車場に到着すると、既にMさんが待っていた。さっそく準備をして名取川本流に降りる。降りた所が大行沢の出合であり、橋の下を潜り入渓する。出合から大行沢は幅広いナメになっているが、やがて岩肌が磨かれたV字のゴルジュになる。急傾斜の壁は手がかり足がかりに乏しく、へつるには岩肌の摩擦に頼るしかない。落ちるかどうかギリギリの攻防戦となる。釣り師のためかどうか、あちこちステップが刻んであるのだが、だいぶ摩耗して単なるくぼみ程度でしかない。残置のハーケンやシュリンゲもあり使わせてもらうが、結局3人とも1〜2回ほど落ちてしまった。今日の流れは穏やかなので、落ちても問題は無く遊びながら通過できる。幅が狭いことも、何となく安心できる要因といえる。ただし、水量の多いときは突破困難なゴルジュに変貌することだろう。
 30分弱でゴルジュを抜けると、釜のある4m滝がある。泳いで取り付けられれば直登も考えられるが、無理せず左岸から小さく巻く。内緒だがどうもkaさんはカナヅチらしい。この巻きの岩壁にもステップが刻んであるが、上部がちょっと微妙。少し手前に戻れば楽に巻けたかもしれない。左岸に小屋を見送るとナメが現れ、石垣のような模様が美しい。平坦でほとんど勾配も無い、緩やかな沢歩きが続く。かと思うと、ゴルジュのへつりに釜と結構変化がある。やがて右岸が岩小屋となっている6m滝。この滝は左壁をフリーで直登(左岸を高巻く人もいる)する。滝上からは巨岩帯が続く。沢中に大岩がゴロゴロと鎮座しているのだが、いずれも苔むしたり樹木が生えている。いつからここにあるのだろうという感じで、なにか盆栽のようにも見える。kaさんからゴーロ歩きが長くて飽きるよと聞いていたが、大岩を登ったり潜ったり、倒木でよじ登ったりとアスレチックのようで自分には面白い。岩の登り方は人それぞれ。体格も違えばラインも変わる。Mさんは沢登りを初めてまだ2シーズンだが、巧みにクリアーして登っていく。自分は何度かスリップして水に落ちた。沢シューズのフェルトが減って滑りやすくなっているようだ。そろそろ買い替え時だろう。
 右から合わせる京渕沢出合に来たので、ちょっと寄り道をする。京渕沢を少し登ると、ほぼ垂直の崖の上から滝となって落ちている。20mほどもあろうか。お約束でオヤジ3人、修行者のように滝に打たれてみる。大行沢に戻って画像を撮ろうとしたらカメラが故障。これ以降は自分の画像記録は無しとなってしまった。巨岩帯は続き、右岸は裏磐司の岩壁だ。10m2段滝の下段(6m)は、水流左からバンドを斜上する。古い残置ハーケンあり。上段(4m)はkaさん達が右壁をから小さく巻き、自分は左から水流に近づき直上する。パーティーに初心者がいるときは、ロープを出して確保した方がいいだろう。さらに巨岩が続く。
 岩床沢出合を過ぎると、やがてナメが現れてくる。幅広く開放的な渓相は、両岸のブナ林の柔らかい緑と相まって、まさに癒しの沢と言えるだろう。ただし、ここに来て曇り空となってしまったのが残念。この時期はやはり青空でこそ沢も輝くというものだ。昼食休憩をしていたら、うすら寒くなってきたので歩き始める。右岸よりカケス沢を合わせると、すぐ上に北石橋への登山道の道標がある。昨夜のものと思われる焚き火跡もある。
 さらにナメを遡行していくと、両側が滝で合わせる二俣となる。大行沢と呼ばれるのはここまでで、これより上は右が樋ノ沢、左がハダカゾウキ沢と名前を変える。7mのナメ滝を水流右から登ると、右手上に樋ノ沢避難小屋が見える。小屋前には若者ばかり2パーティー6〜7人の登山者が休憩中。若者が増えてきたのは近年の傾向で、中高年ばかりだった以前から見れば好ましい限りだ。我々も休憩していると、大東岳方向から何人も下ってくる。仙台市街地から近いこともあるのか、大東岳はなかなか人気の山のようだ。そのうち雨が降ってきたので、カッパの上衣を着て登山道を下り始める。途中で地元の高校山岳部、男女2パーティーを追い越す。聞くと我々より1時間ほど後に大行沢を下部より歩き始め、時間切れとなったのでナメの始まる手前で左岸を登山道に上がってきたという。いずれにしても高校山岳部で沢登りをさせてくれる校風と先生の気概に、オジサン達も何か嬉しくなってしまう。そのうち空は快晴となり暑くなる。長い登山道歩きを終え、振り出しの駐車場に15:00に戻った。帰りは磐司山荘でゆっくりと汗を流す。
 大行沢は全体を遡行しても、部分的に遡行しても楽しめる沢だと思う。左岸を登山道が平行しているので、ポイントさえ選べば左岸を登下降しての登山道の利用も容易だ。高巻きするような滝もなく、登るのが難しいというほどでは無いが、岩が滑りやすいので必要に応じて確保するなど慎重に登りたい。夏は大勢でにぎやかに遡行するのが合っているようだ。秋には紅葉とナメを楽しみながらも良いかもしれない。(K.Ku)

ルート図

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