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No.4831
大桧沢
飯森山系・堀切川支流
山行種別 無雪期沢登り
おおびさわ 地形図

トップ沢登り>大桧沢

山行期間 2013年8月3日(土)〜4日(日)
コースタイム 8月3日  大峠トンネル登山口(6:43)→滑滝(8:00,8:15)→ウダ滝(8:22,8:27)→ミカワ滝(8:34,8:42)→アダチ二段滝(8:58〜9:05)→糸滝(9:41,9:55)→四条四段滝(10:18)→雪渓(12:08)→黒滝(12:39〜捲終了13:00)→熊滝(13:34〜ロス〜15:33)→哺乳ツクシ(15:37〜捲終了16:06)→思案沢出合・二俣(16:47)→テン場(16:50)
8月4日  思案沢出合・二股(7:55)→マヨネーズ沢出合(9:11)→稜線(10:02)→飯森山頂(10:08,10:27)→下降点(10:30)→飯森沢出合(13:10,13:23)→大桧沢出合(16:38)→大峠トンネル登山口(16:41)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
出発点となる大峠トンネルと飯森沢橋 飯森山沢コース登山口の案内標識 滑滝
滑滝のプレート 支沢にかかるウダ滝 右岸から4m滝で小沢が入る
ミカワ滝 アダチ二段滝の最初の滝 アダチ二段滝・上部の滝を右岸から覗く
糸滝手前のゴーロ 右岸に糸滝がかかる 四条四段の滝手前の小滝
四条四段の滝入口 四条四段の滝2本目の滝 少し間をおいて四条四段の上部の滝
四条四段上部の滝を上から見る 4m滝 スノーブリッジ手前で泳ぐ
スリングで引き上げる 雪渓洞門入口 雪渓洞門出口・オサム平
黒滝 黒滝上部のひょんぐり滝(4m) トロの奥には2m小滝・ここまで黒滝から一括して捲いた
熊滝手前の5m滝を登る 熊滝に手こずる 哺乳ツクシ手前の小滝・腰まで浸かって水中のスタンスでへつる
哺乳ツクシ 右岸に滝がかかる 最後のゴーロ帯
右岸から沢を合わせると流れは緩やかになる ここまで来るとテン場も近い 32_左岸から小沢が入る
思案沢分岐がテン場への入口 思案沢キャンプ場到着 焚き火

行動記録
8月3日
 今までの会合宿は、初心者も含めて2〜3人の少人数に分かれて山域の一斉遡行があたりまえだったのだが、会員の高齢化とともに毎年のように参加者が少なくなっていた。たしかに60歳を過ぎてからの沢登りは、若い頃のようにはいかないと思う。それでも沢登りはしたい気持ちに変わりはなく、今年の夏合宿は、会員から希望の多かった飯森山・大桧沢に入ることになった。
 当初の参加者は9名だったが、都合ができて最終的には8名になった。年齢構成は、40歳代が2名、50歳代が3名、60歳代が3名である。私にいたっては4月に脊椎の手術をして経過観察中で、みんなに迷惑をかけないで、泊まりの沢登りなど出来るものやら「はらはら」である。
 前夜に日中ダムの駐車場にテントを張って仮眠する。朝起きてから登山口となる大峠トンネルへと移動する。大桧沢は山開きと同じように毎年「沢開き」が行われている。サポート体制もしっかりしていて、だれでも参加申し込みはできるものの、水量によっては難易度も一気にあがり中級程度の体力と技術を要求される。トンネル入口に「日中飯森山登山口」の矢印表示板がある。あくまでも沢登りのコースなので一般登山ルートと間違わないようにしたい。
 踏跡は左岸についている。入ってすぐのところで大桧沢と飯森沢が分かれるが、しばらくは左岸の踏跡を進む。やがて踏跡が無くなり、右岸に道を見つける。沢にも赤ペンキで矢印が書いてあり、沢を歩いたり踏跡が歩きやすければ踏跡を歩いたりする。沢の中の岩には所々矢印があるので、どちらを進んでも良いようだ。
 1時間以上歩いたろうか、左岸から支沢が入った。記録を書いていると、メンバーの一人が右岸に「滑滝」のプレートを見つけた。たしかに本流の沢床は白いナメで、支沢の滝もナメと言えないこともないが、どちらも「滑滝」と呼ぶのは無理がありそうな感じがした。滑滝の先へ進むが道ははっきりしなくなる。小雨も降るあいにくの天気だが、沢登りを中止するほどの雨でもない。ただ、このところの長雨で沢の水量は多いようだ。1週間前に予定されていた沢開きは雨のため中止になったと聞いた。
 8時22分、左岸から2段9mの滝で支沢が入る。ルート図と照らし合わせると、これが「ウダ滝」のようだ。次にミカワ滝が現れる。水量も多く、流れを遡るのはやっかいそう。右岸にあるトラロープを利用して小さく捲く。
 左岸から4m滝で小沢が合わさる。次に出てくるのはアダチ二段滝である。手前に落差のない小さな滝と、その奥に5mほどの滝が見える。手前の2m滝と一緒に捲いてしまう。捲く途中に上部の滝を覗く込むと、結構な水量で流れ落ちている。今日の肌寒い小雨模様の天気では捲きが正解か。
 大きな岩があるゴーロ帯を進むと、アダチ二段滝から30分ほどで右岸から支沢が入る。支沢にかかるのが糸滝である。引き返しができるのは、この糸滝までで、これより先に進むと、ゴルジュ帯に入るため後戻りは出来ない。公募している沢開きも、ダメな人は、ここから引き返すようようだ。沢開きの今年の参加申込書には、糸滝までの日帰りも募集していた。糸滝で休憩とする。
 15分ほど進むと小滝群が現れ、その先には、案内図にある四条四段の滝が出てくる。最初の滝が四条四段の滝なのか、総称してそう読んでいるのかはわからないが、手前が3m、10m、少し離れて8m、4mと続く。下部の滝3m、10mが一見して四条四段にも見える。沢開きの時にでも、地元の人に教えていただくのが良いのかもしれない。
 下部の2つの滝は右岸のトラロープを。上部の2つの滝は左岸にトラロープがあるので利用させてもらう。岩が乾いていればトラロープ無しでも登れるのだろうが、小雨で岩は滑りやすいので、あるものは使わせていただく。下部の捲きではトラバースするが、滑りやすいのでお助けロープを使った。
 ここを過ぎるとゴーロ歩きになる。大きな岩もあり、ゴーロと言えども通過に困難な場所もある。そんなときにはスリングをお助けロープ代わりにして後続を引き上げる。Uさんは今日が沢登り2回目の初心者であるが、若いだけあって、しっかりとついてくる。
 雪渓が見えてきた。ここが雪渓洞門と呼ばれている場所のようだ。沢は雪渓の中で二股に分かれる。雪渓の入口から入り、途中で右に折れる。スノーブリッジを潜るのは、あまり良い気持ちはしない。右に折れるとすぐに雪渓出口である。スノーブリッジの下を歩いたのは50mほどだろうか。出たところが広い河原になっている。ほかの方の記録を読まさせてもらうと、ここがオサム平のようだ。
 20分ほども歩いたろうか、大桧沢最大の滝「黒滝」が顔を見せた。遠くからだと結構な大きさに見えたが、近寄ってみると落差18mほどだろうか。上部は結構立っている。岩は濡れているので登れそうもないが、沢開きでの写真を見るとノーザイルで登っている。右岸にトラロープがあるので捲き上がると、上部の4m(ひょんぐり状)、2m滝と一緒に捲いてしまう。
 次に左岸から小沢を合わせ、5m滝を右岸から登る。13時34分、石を積んで出来たような、チェックストーン滝の熊滝が出てくる。簡単に越せそうな感じだが、水量が多く左岸のへつりは難しそう。昨年のKa君たちはショルダーで越えたらしいが、胸まで浸かってのショルダーは低体温症を起こしかねない。特に8人もメンバーがいたのでは、それも難しい。右岸にトラロープを見つける。これに安易に頼ったのが失敗だった。
 右岸の急斜面を、トラロープと灌木を頼りによじ登るが、垂直に近いところもあり、3人は上がったものの残りはロープで確保する。Kuさんに偵察をお願いすると、先は急な濡れた草付きのトラバースだと言う。高さもあり足場も悪く、スリップしたらひとたまりもない。8人を無事通過させる自信は無く、捲きをあきらめ、懸垂下降で取り付き点に戻る。ここで1時間以上ロスしてしまう。判断ミスだ。霧雨と低温のため体温は見る見る間に奪われていく。雨具を身につける。
 さて、熊滝をどう攻略したものか。作戦会議の結果、空身で左岸をトラバースすることにした。岩は雨で濡れているし、微妙なへつりで緊張をしいられるが、Ka君がクリアー、次にKuさんが越えてロープでザックを引き上げる。トラバースで8人中4名が落ちたが、強引にロープで引き上げる。熊滝通過に2時間も費やしたことになる。普段の水量であればショルダーで楽に越せるので、時間もさほどかからないと思う。
 次に出てくるのが「哺乳ツクシ」である。ここも狭まっているので、流れは弱いが深さはある。手前の小滝は腰まで使って水中のスタンスを頼りにへつる。小滝さえ越せば左岸に捲き道があり、鎖がついている。雨のため泥まじりの草付きと浮石で、鎖が無ければ結構危険な捲きだ。落石を起こしやすいので充分注意したい。
 「哺乳ツクシ」を越えると沢は穏やかな流れに変わる。16時08分、右岸から10m滝で小沢を合わせ、16時16分、1:3で右岸から枝沢を合わせる。沢の様相は、まるで小川のようになってしまう。16時47分、予定時間を大幅に越えたが、ようやく今日のテン場である思案沢との二股に着いた。ヘッドランプを出さずに済んだのは良いが、判断ミスで費やした時間が大きかった。反省。
 水汲み、タープ張り、焚き火の準備と、やることはたくさんある。疲れもあって食事を済ませてシュラフカバーに潜り込む。明日の朝は寒くなりそうだ。体に新聞紙を捲き、ザックに足を入れて保温する。おかげで朝方までぐっすり休むことが出来た。元気のある人たちは、焚き火を囲み酒を酌み交わし、22時ごろまで頑張っていたらしい。(I.I)

写真 写真は拡大してみることが出来ます
寒い朝を迎える 遡行を開始するも、すでに源頭の様相 上部は小滝と釜が交互に出てくる風呂屋横町
2〜3mの小滝と釜が続く マヨネーズ沢を左に分ける 尾根に出て山頂を目指す
飯森山神社の祠 飯森山の三角点 下降を開始する
Uさんは初めての懸垂下降 クライムダウンは続く 計3回の懸垂下降を強いられる
飯森山から一気に下った飯森沢の枝沢は滝が連続した ようやく右側から飯森沢を合わせる 長いゴーロ歩きが待っていた
濁流と化して緊張する場面も ようやく飯森沢橋が見えた 大桧沢との出合
大峠トンネルに戻った 駐車場へゴール 飯森山沢登りコースのプレート

行動記録
 夜中に雨が降ったこともわからないで寝ていたようだ。Kuさんの作ってくれた味噌汁で朝食を済ませる。Kuさんはフル装備の上にピリー缶、酒、つまみ、全員の味噌汁の材料まで背負ってくるのだからすごい。ザックの大きさは私の2倍もある。
 濡れたままの装備を身につけ、思案沢の出合から登り始める。すでに源頭でもあり、沢幅狭く緩やかな流れの中を進む。所々に小さな滝と釜があり、地元では風呂屋横町と呼んでいるらしい。微妙なへつりもあるが、流れは細く高さもないので危なくない。
 9時11分、1:1でマヨネーズ沢が左から入る。その後、右岸から小沢が入り、2m滝を越え、左岸から小沢を合わせるが、顕著な二股は無いので、沢なりに進む。水の流れも無くなり、10時02分に尾根へ上がる。山頂まで刈払いがされていた。
 飯森山神社の祠の脇が芝生で気持ちがよさそうだったが、飯森山の三角点を写真に収めてから休憩することにした。時々青空が見えるものの展望は利かない。それでも昨日の寒さと濡れが無いだけ楽である。
 山頂で20分ほど休んでから下降にかかる。飯森沢を下降すれば良いのだが、迷ったあげく最短で山頂近くの斜面から降りることにした。沢登りの2回目のUさんに、できれば途中で懸垂下降の練習させたいと思い、昨年入渓していたKa君に、適当な場所はないか聞いたが飯森沢には懸垂下降する場所は無いとのことだった。入った源頭の枝沢では本番で懸垂下降の練習をすることになった。
 登山道からネマガリダケの斜面を下降する。急斜面を下っていくと、水は流れていないものの沢形が出てくる。下降を続けると視界が開ける。滝だ。クライムダウンよりは懸垂下降の方が安全なので、捨て縄で支点をとりザイルをセットする。最初にKa君が下降し、次に懸垂下降が初めてのUさんに降りてもらう。何かあったらKa君に下でロープを張って停止させるように指示するが、その心配も無く、スムーズに降りていく。度胸もあり心強い女子組が入ったものだ。見上げれば10mほどの滝だ。
 下の2段5m滝と、続く5m滝は、ブッシュも使ってクライムダウンする。その下の7m滝も灌木を使って下降する。すぐに10m滝があり、2度目の懸垂下降を強いられる。一気に高度を下げていく。次も懸垂下降だ。ロープを投げ、末端が下まで届いたのを確認して下降する。2段20mはあるだろうか。下降を終え、13時10分に本流と出合う。全員が揃うまで待って休憩とする。等高線の混み具合からすると、鉢伏山と赤崩山との分岐前後から入れば滝もなく楽に下れそうだ。練習には良かったが、不用意に下降を開始すると何が出てくるかわからないので注意したい。
 ここからは長い河原歩きが待っていた。年長組は疲れが出ているようだが歩くしかない。15時36分、河原歩きに飽きた頃に喉のように狭まったところに来る。水量が多く、気泡で沢床が見えない。きわどいへつりと、深さがわからないので通過をためらう。捲けるところを探したが見つからない。意を決してへつりを開始する。トップのKuさんも落ちて泳ぐ。私も続いてトラバースするが、やっぱり落ちた。が思ったより浅くて足が着いた。次のメンバーからはKuさんが気泡の中に立ち、サポートして無事通過する。
 右岸に登山道があると聞いていたので、踏跡を探して歩いてみる。ところが踏跡は途中で不明瞭になり、沢に戻って下降を続ける。前方に飯森沢橋が見えてきた。大桧沢と出合ってから道路が見えるのかなと思っていただけに、最後はあっけなく着いた感じがした。
 今回は、沢登りとしては人数が多すぎること。年齢の上昇とともに体力が無くなってきていること。それに、水量が多かったとしても、ルート判断に手間取ったために、大幅な時間超過をしたこと。良い経験をさせてもらったとは思うが、反省しきりである。さて、いつまで沢登りと冬山を続けられるものやら。(I.I)

溯行図

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