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No.4664
大滝沢
吾妻山 阿武隈川松川流域・前川支流
山行種別 無雪期沢登り
おおたきさわ 地形図

トップ沢登り>大滝沢

山行期間 2012年7月28日(土)
コースタイム 滑川橋(8:55)→F1(9:08)→大滝(9:38-9:55)→巻き終了(10:28)→ネコノ沢出合(10:51)→ホラガイ沢出合(11:20)→ヒョングリ滝(11:47)→吊橋(12:56)→桶木沢出合(13:20)→登山道(13:29-13:47)→滑川温泉(14:55)
写真 写真は拡大してみることが出来ます
沢登り教室の時とは打って変わって穏やかな水量 あっさりとF1に到達 F1・右岸からアプローチしててみる
スリップしないよう慎重に 2段5m ナメが続く
4mナメ滝 2m幅広滝 トイ状5m滝
2m滝 今日の大滝 高校生たち
落ち口で遊ぶ若者 8m滝は左右どちらでも登れる 5m滝を右岸から巻く
中央凹の2m滝 左からネコノ沢が合わせる ホラガイ沢が右から合わせる
3m斜滝 ナメ滝6m ナメ滝を越えるSさん
幅広6m滝 ヒョングリの滝8m ヒョングリ滝の上から
6m滝 6m滝 無難にロープを出す
3m滝 7m滝 上部から
朽ちたコンクリート堰堤 頭上には古い吊り橋 巨岩の間を縫って登る
トロッコの車輪 桶木沢へ入る すぐに登山道と合わさる

行動記録
 7月8日の沢登り教室では、前日の雨による増水のため、大滝沢をいくらも遡行しないうちに撤退となった。中途半端に終わったこともあり、参加者からも再チャレンジしたいとの声があり、Kさんと自分の都合があった28日に遡行することにした。
 大滝沢は美渓だ。大きく雄大でそれでいて優美な大滝と、明るく見事なナメが美しい。しかも、大滝以外はいずれも直登か小さく巻ける滝ばかりで、この前のように増水でもしない限り、初級者でも楽しめる沢だ。東北地方は26日にやっと梅雨が明けたと思ったら、いきなり猛暑がやってきた。こんな時はやはり、稜線歩きより沢登りが最高だ。今日のメンバーは自分を含めて会から3人と、沢登り教室にも参加したSさんの4人。Sさんは沢登り自体がこれで3回目となる。他の沢登り教室参加者の皆さんは、都合が合わず参加できなかったのが残念。
 橋の上から見た大滝沢は、8日の水量から見れば1/5いや1/10とも思えるほど少ない。しかしこれが平常時の水量なのだ。初っぱなからへつりに苦労し、お助けロープを出したところが、嘘のように簡単に歩けてしまう。沢登り教室の時は濁流を見て撤退したF1(15m)に、難なく到達した。このF1、以前はいずれも左岸からアプローチしたのだが、今日は何となく右岸からアプローチしたくなった。左壁を少し登ってバンドをへつるようにトラバースし、滝身に入るところがちょっと微妙だが、腕を伸ばせばホールドがあるので落ち着いて体重移動すればフリーで大丈夫だ。ここには残置シュリンゲがあったが、古いものなのであてにしない方がいいだろう。その後は滝の左を登るが、フリクションはあるのでスリップしないよう注意してそのまま直登する。Sさんはと思ったが、問題なく登っていくのを見てひと安心。
 F1の上からは沢幅が広くなり、平坦なナメが続く。きらきらと流れる水流に周囲の緑が映え、明るく美しい渓相となる。沢幅一杯の2m滝やナメの小滝が続き、いずれにも釜がある。ほどなく大滝に到着。増水時に見た大迫力の姿とは違って、スダレ状に岩肌を伝い流れる水が涼しげで優しい。大滝の前には7〜8人の若者達がいて、米沢の高校山岳部だった。少し戻って右岸の道から大滝沢を巻く。もっと小さく巻くことも可能だが、今回は安全確実な道を選ぶ。
 大滝展望台まで登る途中で大滝を見ると、落ち口に2人見えた。大滝を登ったのだろうかと思ったが、下から登っている姿は見なかった。大滝は登ろうと思えば登れる(自分は無理だが)。福島登高会でもだいぶ前に夏と冬に登っている人がいる。最近では岳人に成瀬陽一さんの記録が載っていた。それにしても見ているこっちの方が怖くなる。
 沢を少し戻って巻道を登り、大滝展望台からさらに7分ほど登ると、登山道から右手のヤブに入る沢へと下るルートがある。踏み跡程度ではっきりとした道ではないので、入り口にある白のボロいテープ(奥に赤テープもあり)を見落とさないようにしたい。急斜面を慎重に下り沢に降り立つ。
 沢を少し戻って落ち口に近寄ると、大滝の落ち口のすぐ上に、もう一つ10m滝があり、その下で若者が数人(後で4人と判明)遊んでいるのが見えた。どうも大滝を登ったのではなく、上から落ち口へ降りたようだ。彼らが歩いているすぐ先は切れ落ちている。スリップしたら100mのダイブだ。ロープ確保しなければあんなところへは行けない、いや確保しても行きたくない。我々おっさんパーティーは冒険はせず、遡行を続けることにする。※安易なマネは禁物。滝の落ち口での事故は多い。
 すぐにある8m滝をKさんとOさんは水流左を登るが、自分は右から登りシャワーを浴びてみる。自分の登れる範囲で自在に遊べる滝は楽しい。次の5m滝は堰堤のように、滝も両岸も立っていて直登は困難。廊下のようにも見える淵を泳いで左壁に取り付けそうだが、ここは無難に手前から右岸を登り巻く。その上はまたナメが続く。乾燥すれば肌色に近く、濡れれば黄土色から赤褐色の岩が明るい沢を演出する。沢幅一杯にまるで削ったかのように平坦な沢床には、なぜ自然にこんな形状になるのだろうと感嘆するしかない。
 中央が凹んでいる2m滝そして小滝を越えると、左からネコノ沢が6m滝で合わせる。ここで小休止。大滝の落ち口にいた4人パーティーが追いついてきた。その他にも2人パーティーがいて、先行したりされたり相前後しながらの遡行となる。暑いので意味もなく泳ぐと、Sさんもノって泳いでくれるから楽しい。
 ナメとゴーロの沢を歩き、右からホラガイ沢を合わせる。3m斜滝、大きな釜のある6mナメ滝と続く。次の沢幅いっぱいに水を落とす6m滝には、先行パーティーが取り付いていた。見ていると登るラインがいろいろあって面白い。自分は倒木を利用して取り付くと、細かい凸凹を拾いそのまま直登。次の6m滝を左から越え、小滝を過ぎるとヒョングリの滝が見えた。4人パーティーが取り付いていたが、この滝は中段から上が難しい。見ているとリーダーらしき1人が登ることができた。しかし、自分には難しく感じるし、スリップしたときのリスクがあるので左から巻く。
 次の釜のある6m滝を右から巻くと、すぐ直瀑12mが見える。ここも3年前に登ったはずなのだが、なぜかあまり記憶がない。右壁の傾斜が少し寝ているし、スタンス・ホールドも十分あるので、フリーでの直登はさほど難しくない。2人パーティーもそのまま登っていった。しかし、高さがあるので念のためロープを出すことにした。Kさんがロープを引いてトップで登り、Sさんが初のプルージックで確保しながら続く。全員難なく登ることが出来た。
 12m滝を越えると連瀑帯になる。3m滝を越え、次の釜のある7m滝は、水流左に穴がある面白い形状だ。右岸からのへつりがちょっと微妙だが、会の3人は通過。Sさんはへつらず泳いで滝に取り付くというので、先行した自分がお助けひもで引く。キンコウカの咲く乾いた岩の上で昼食休憩すると、Sさんのザックからは色々な食べ物が出てくるのが面白い。
 小滝をいくつか越えていくと、コンクリートの堰堤が現れる。かなり古く形も崩れているので、ともすれば見落としてしまうかもしれない。前方頭上には、これもまた古い吊り橋が架かっている。これらの遺構は1970年に閉山した滑川鉱山のものだ。その当時、良質の鉄鉱石を産出し、峠駅から八幡製鉄所へと送り出していたのだという。
 沢には大岩が重なるようになり、巨岩の間を登っていくSさんが、まるでこびとのように見える。しばらく大岩帯が続くが、1340mで二俣に出会う。右が本流だが、今日はここで左の桶木沢に入る。沢水の温度が明らかに違い、桶木沢の方が冷たい。二俣から10分とかからず、沢を横切る登山道に到達し遡行終了。あとは所々にトロッコのレールが残る細い道を、滑川温泉へと下るだけだ。
 沢登りは3回目となるSさんにも、今日の大滝沢は十分堪能してもらえただろう。もちろん自分達も楽しむことができた。滝を巻くか巻かないかにもよるが、ロープは念のため30mを持参したい。真夏にシャワーを浴び釜で泳ぎながら、ワイワイと楽しく遡行するには最適の沢であろう。この夏お勧めの1本である。(K.K)

溯行図

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