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No.4541 |
南沢
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甲子山系・阿武隈川源流 |
山行種別 |
無雪期沢登り |
みなみさわ |
地形図 |
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山行期間 |
2011年8月27日(土) |
コースタイム |
駐車場所(8:42)→南沢出合(9:08)→F1・8m(9:19)→F2・6m(11:06)→F3・8m(11:27)→F4・6m(11:27)→F5・4m(11:53)→F6・10m(12:07)→二俣(12:15)→F7・5m(12:28)→F8・6m(12:35)→F9・30m(12:44)→F10・6m(13:34)→奥の二俣(13:48)→岩棚(14:01)→スラブ(14:27)→登山道(14:36)→甲子山頂(14:37,14:57)→甲子トンネル(16:08)→駐車場所(16:18) |
写真 |
写真は拡大してみることが出来ます |
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左が南沢へ直接、右が本流をたどって南沢へ |
幅10mもない阿武隈川 |
わかりにくい南沢出合 |
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南沢へ入渓 |
F1(8m)水流右から登る |
F2(6m)は倒木が多い |
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ゎ2f右から巻く |
F3(8m)左岸を巻く |
6mの懸垂下降 |
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F4(6m) |
F5(4m) |
F6(10m) |
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二俣 |
小滝2mとF7(5m) |
F7を直登 |
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F8(6m) |
F9(30m)が見えてきた |
F9(30m) |
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F9を登ったライン |
上から見るとかなりの高度感 |
ソバナが咲いていた |
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F10(6m) |
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奥の二俣を右へ |
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岩棚を登る |
山頂直下のスラブ |
甲子山頂(1,549m) |
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甲子トンネル西郷側抗口 |
甲子大橋 |
2年前に建て直された大黒屋 |
行動記録 |
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27日は那須の南沢に入った。天気は今ひとつだったが、勤め人同士がパーティーを組むとなると、天気を気にしながらも、メンバーの休みの合う日に設定せざるを得ない。高速で那須に向かう。朝からどんより曇った天気だったが、甲子(かっし)温泉に向かううち、とうとう雨が降ってきた。甲子大橋の手前から甲子温泉に下ると、大黒屋という1軒宿がある。さすがに大黒屋に車を停めるのは気が引けたので、少し上のカーブの空きスペースに車を置くことにする。雨もほとんど降っていないので支度をして出発する。南沢は旭岳や甲子山を源とする阿武隈川の源流となる沢の一つだ。比較的アプローチが便利で、距離も短く下山も楽なうえに、10箇所程度の手頃な滝があることから初級者用の沢として入渓するパーティーも多いようだ。しかしIさんが南沢に入った30年以上前は、沢登りで入る人もほとんど無く、手探りでの入渓だったという。全部の滝をフリーで登ったのも、フリクション抜群のワラジと若さがあったからだろうか。今では南沢は関東方面からの入渓者が多く、少々人臭い沢になったようだ。今日のパーティーはそんな30年以上ぶりのIさんと、初めて入渓するKさんと私の3人だ。
車を止めたところから少し上に歩くと右手に道がある。ある記録で古いガードレールのある林道跡を進むとあったが、見ると2本が平行している。右は古いが左は現在も使っているようだ。右を進もうと歩いていくと、阿武隈川へと下っていきコンクリート堰堤があった。堰堤にタラップは付いてなかったので、護岸コンクリート沿いに上流へ進む。踏み跡もなくなったので、崩れた土砂が堆積したところから川に降りる。阿武隈川は福島県と宮城県を流れる、延長239kmにおよぶ大きな川だ。しかしその阿武隈川も、ここではまだ小さな川でしかない。ここから4kmも行かないうちに源頭となり、そこから阿武隈川の水の旅が始まるのだ。高さのある堰堤を、左岸から踏み跡を追って高巻く。川に降りて進むと直ぐ流れが左に弧を描き、右から南沢が合わさる。その50mほど先には同じく右から一里滝沢が合わさる。南沢出合は枝が被っていてわかりにくく、間違って一里滝沢に入ってしまう場合もあるようなので注意したい。南沢の入口は枝が被っていて、その先へ進むと何やら向こう側の世界に入っていく感じがする。
すぐF1だ。高さは8mほど。登るには水流を左から斜上するバンドがよさそうだが、気温の低い朝一番からのシャワーは敬遠したが、暑いときは豪快にシャワーで登りたい。水流右からKさんが登るが小さい落石発生。別な方を見ていて気づかなかった私の右足親指に当たった。痛いが折れなかったのでひと安心。滝の最上部で流木の枝が邪魔しているが、その間を抜けてKさんが落ち口到達。つづいて私で、最後のIさんは左足に不安があるのでお助けひもを出す。
F2(6m)は倒木が多く荒れた感じ。残置ハーケンや紐のある右壁を直登しようとKさんが取り付くが、残置ハーケンのあるあたりで行き詰まる。見るからにもろい岩のうえ、雨で滑りやすいのでもう一手がでないようだ。諦めて降り、もう少し下の倒木沿いにロープを引いて登る。高巻いて滝の落ち口近くにトラバースしたが、崖が立っていて意外に悪い。無理することもないと懸垂で4mを降りる。降りてわかったが、もう少し先まで行けば問題なく降りることができたようだ。
ナメを歩き流木ダムを越えると、手前の小滝2mの先にF3(8m)が見える。F3は左壁が赤黒くなっていて何やらおどろおどろしい。ここは右壁を直登の記録もあるが、上部が微妙でいやらしい。左岸にある踏み跡を追って巻くことにする。滝の高さまで登ると、踏み跡は上へいくものと落ち口にトラバースするものがあったが、我々は落ち口に向かった。落ち口の上に出るとここも崖が立って悪い。先行する私は、微妙なスタンスを拾ってトラバースし何とか降りた。後続の2人はまたしても6mほどの懸垂下降となった。ここももう少し大きく巻けば、苦もなく沢に降りることができたようだ。
F4(6m)は右壁を直登する。上部でちょっと微妙なところがあったので慎重に登る。後続にお助け紐を出したが、初めからロープを出した方がいいかもしれない。黄色のナメ滝F5(4m)は左壁を斜めに登る。スタンスが微妙なのでスリップしないように慎重に足を運ぶ。ここでも後続にはお助け紐を出した。
黒いF6(10m)は斜瀑という感じで、水流右を比較的容易に登れる。すぐ二俣で甲子山へ向かう右俣へ入る。手前に小滝2mがあるF7(5m)は水流右を登るがここも難しくない。ナメ状のF8(6m)も易しい。すぐ小滝3mを越えると左から枝沢を合わせる。さあいよいよ南沢の核心部の30m大滝が見えてきた。見ると30mあるかなと思ったが、多くの記録で30mということになっている。
記録によれば水流左か、もう少し左の左壁から草付きを登り、中段で右にトラバースして水流に寄り、そのまま落ち口に直登するようだ。私がトップをやらせてもらいロープを引いて登るが、浮き石も多く注意が必要。実際にKさん目がけて石を落としてしまった。ビレイする場所にも注意が必要だ。中段で残置ハーケンがあるがかなり古いもので信用出来ない。あらたにハーケンを打ちランニングビレイを取る。水流に寄りそのまま上に登ると、立木に2箇所目のランニングビレイを取る。さらに上の落ち口近くで支点を取り後続を確保する。下を覗くとかなりの高度感。滝は下から見えない部分もあり、やはり30mほどありそう。Iさん、Kさんと登ってきて、つるべでKさんに落ち口にトラバースしてもらう。念のためKさんに確保してもらって落ち口に無事到着。この滝はフリーでも登れるが、今日のように滑りやすかったりメンバーによってはロープを出した方がいいだろう。F10(6m)はホールド・スタンス豊富で水流右を直登する。
10分ほど登ると奥の二俣。水量は5:1くらいで、左の本流は山頂南側で登山道に出るようだ。私は山頂まで詰めてみたかったので、IさんKさんにご同行願い右に入る。いよいよ細くなった沢を10分ほど登ると岩棚があり、ちょろちょろと水が落ちている。こうなるともう滝とはいえない。沢はツルツルのナメになってきたので、滑り落ちないよう両脇のブッシュを掴みながら登る。小さな岩棚を越えると山頂直下と思われるスラブになる。スラブの直登は無理なので右のブッシュに逃げる。ここは左に逃げてもいいだろう。右の尾根に登って5分ほどヤブを漕ぐと登山道に出た。左に20mほどで甲子山の山頂。新しい標柱などもあり整備されている感じだが、ガスで眺めがまったくないのが残念。
山頂で遅い昼食とした。ノンアルコールビールだが美味い。Iさんが放射線量の計測をする。測定値0.15〜0.19μSv/h程度で問題のないレベル。下山中に雨が降ってきたがそのまま歩く。九十九折りの登山道を下り、大黒屋まで行かずに新道に向かう踏み跡に入って甲子トンネル西郷側坑口側に出た。甲子大橋を渡って安心坂トンネル手前から右に折れ、車まで戻ると今日の沢登りを終えた。
南沢は自分にとってなじみのある阿武隈川の源流域を、沢登りで探訪するという魅力があった。比較的小さな沢だが、5〜10mの滝を9箇所に30mの大滝と遡行者を飽きさせない。遡行距離も長くなく標高差もほどほどで、直登出来る滝が多いことから初級者の沢といわれているようだ。しかし滝は立っているものが多く、岩も脆かったりスタンス・ホールドが微妙であったりするので十分注意したい。特にこの日は雨で岩がすべて濡れていたということもあり、微妙なところが多くて結構難しく感じた。安易に滝に取り付くのはケガの元だ。ロープは積極的に使いたい。確保があれば安全に楽しく沢登りが出来る。初級者の沢といわれていても、初級者だけでの遡行は避けた方がいいと感じた。晴れた日ならもう少し印象も変わったかもしれないが。沢は登る人によっても、その時の条件によってもかなり印象が違ってくるので、ネットの記録を鵜呑みにしないことが大事だろう。南沢は簡単だったという感想の人だっているのだから。今回はロープも出して慎重にゆっくり登ったのでそこそこ時間がかかったが、条件が良くて足が揃っていれば半日コースだろう。(K.K) |
溯行図 |
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トラック |
登り=赤 下り=青 |
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