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No.4121
烏川右俣
安達太良山系・杉田川支流原瀬川流域
山行種別 無雪期沢登り
からすがわみぎまた 地形図 安達太良山

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山行期間 2008年9月13日
コースタイム 奥岳駐車場(8:33)→烏川橋・遡行開始(8:51)→湯樋(9:13)→二俣(10:07,10:20)→烏川大滝(11:05〜13:00)→小休止(13:35,13:54)→登山道・遡行終了(14:16)→峰の辻(14:20,14:32)→烏川橋(16:00)→奥岳駐車場(16:15)
写真
登山道で烏川へ 烏川橋から溯行を開始する 最初の滝(2m斜)
大滝を除いてすべて直登できる 次の3m滝 烏川を湯樋が横切る
ナメの中に4mの滝がある 大きな石が堆積する 烏川最大の滝(12m)
大滝は右壁を直登する 4mの滝 牛ノ背が見えると源頭も近い
最後の2m滝 登山道の出合から見る本山 登山道に上がり峰ノ辻へ

行動記録
 ゆっくり福島を出て奥岳駐車場に着いたのは8時を回っていた。身支度をして8時33分に出発、今日は烏川右俣を溯行する。あだたら高原スキー場の脇から馬車道に入り、登山道を烏川橋まで歩く。8時51分、烏川橋から遡行を開始する。
 最初は河原歩きだが、すぐにナメが出現する。烏川はナメがきれいな沢で気持ちがよい。溯行を始めてすぐに2mの小滝が出てくる。斜瀑なので簡単に登れる。烏川の滝は12mの烏川大滝を除いてすべて登れるのと、ナメを快適に歩けるので楽しい。この後も3mの小滝が出てくる。上部はナメが続く。
 9時13分、遡行を開始して20分ほどで、くろがね小屋上部の源泉から岳温泉まで引いている湯樋が頭上を横切る。湯樋を過ぎるとすぐに取水堰と出合う。ここから湯樋までパイプで水を引いている。岳温泉の源泉は相当に熱いので調整しているのだと思う。さらに遡行を続けると、またナメが出てくる。途中、勾配がある箇所を斜瀑4mとして整理した。ナメを10分ほど歩くと河原歩きになる。
 河原歩きをしばらく続けると9時54分、ようやく二俣に出合った。右俣は貧弱で見逃しそうだ。水量を比較すると4:3か3:2で左俣の方が多い。集水面積からして右俣の方が水量が多くて当然なのだが、地形図と違うことに疑問を持ち、GPSで現在地を確認する。地形図からすると二俣はさらに50mほど先のような気がするが他に沢が入るわけでもないので、右俣に入ることにした。この後、すぐに水量比の疑問が解けることになる。
 右俣は灌木が覆い被さっていて、かがむような感じで前へ進む。右俣に入るとすぐに沢は左俣へ注ぐ水を分ける。上流から流れてくる右俣は、ここで左右に分かれ二つの流れになって左俣と出合うのだ。道理で最初の二俣で右俣の水量が少なかったはずだ。納得して遡行を続ける。
 さらに進んでいくと、大きな滝が目に入ってくる。両岸は切り立った岩場で結構な迫力だ。烏川右俣にかかる唯一の大きな滝で、以前には特に名前は無かったと思ったが、最近のインターネットでは多くの方が烏川大滝として記録を整理されているので、今回はそのように整理した。滝の落差はどの程度だろうか。メンバーからいろんな高さの意見が出たが、近くに寄ってみると10mちょっとのようだ。遡行図には12mとして記録した。
 さて、この滝をどう登ったら良いか思案する。直登は無理なので左岸の壁を登るか、右岸の捲きに入るか考え、時間もあるので左岸の壁を登ることにした。岩場は最初の取り付きからすぐにハングになる。足場は悪い。残置ハーケンがあるので、それを利用しテープをアブミにして乗り越える。残置ハーケンは3枚打ってあったが1番上の1枚は腐れていて使えない。滝の落口の高さまで直登するとバンドが走っているので、そこをトラバースする。細いブッシュにランニングビレーを取りながら灌木帯まで移動するが、結構な高さがありバンドも足場が良くないので慎重に登る。初心者も含めた3名が登り切るのに休憩も含めて2時間を費やしてしまった。メンバーが多いときや初心者がいる場合などは、右岸を捲いた方が時間的には早いと思う。上部の灌木帯からトラバースして沢に戻る。
 大滝を過ぎても左右の岩壁は続く。狭まっているわけではないので広々とした明るい感じがする。振り返るといっぺんに高度を上げたことがわかる。次に上部がナメになっている4mの滝と出合う。変化があって歩いていても飽きることがない。
 沢幅もだいぶ狭くなってきた。右岸に湿原も確認できる。花の季節に登ったらもっとすばらしだろうと想像してしまう。沢の奥には牛の背の稜線が見える。沢も終わりに近い。岸にはクロマメノキが実をつける。美味しそうなので頬ばってみると甘酸っぱくて食べ頃だった。左沢を分け2mの小滝を越えると登山道はもうすぐである。14時16分、峰の辻への登山道と合わさる。
 左には本山の乳首山が目の前に見える。今日は雨が降る予報だったが、途中バラバラと来たぐらいで、たいした天気の崩れも無くすんだ。登山道を峰の辻まで上がり、勢至平経由で車を置いてきた奥岳駐車場へ戻った。急ぎであれば、反対側の本山の尾根に上がり薬師岳のゴンドラの山頂駅からゴンドラを利用し奥岳に戻った方が1時間ちょっとですみ、早く降りることができると思う。
 1975年の遡行記録では2時間半で遡行している。今回は5時間半も費やしてしまった。年齢の違いとバランスの悪さもあるが、逆に時間を気にしなければ、年齢に関係なく、いつまでも楽しんで沢登りができるのかなとも感じた山行であった。
 33年前の福島登高会の遡行記録を下記にリンクした。なお、当時の装備は地下足袋にわらじ、ノーヘル、ノーザイルである。持っているのはお助けロープを兼ねた腰縄と懸垂下降用の8mmの補助ロープだけだった。時代が違うと言ってしまえばそれまでだが、今考えると相当危ない橋を渡っていたような気がしないでもない。(I.I)
1975年の溯行記録

概念図



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