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No.5136
安達太良山 1699.7m二等三角点峰
山行種別 無雪期一般
あだたらやま 地形図

トップハイキング>安達太良山

山行期間 2015年6月14日(日)
コースタイム 奥岳駐車場(8:54)→ロープウェイ山麓駅(9:59,9:05)→ロープウェイ山頂駅(9:14,9:18)→薬師岳展望台(9:21)→仙女平分岐(9:54)→本山(10:41,10:51)→烏川右俣源頭(11:17,11:40)→峰ノ辻(11:44)→くろがね小屋(12:19)→勢至平分岐(12:54)→八の字(13:17)→烏川橋(13:44,13:51)→奥岳駐車場(14:11)
写真 写真は拡大して見ることが出来ます
登山口となる奥岳駐車場 堀場製作所のPA-1100 ロープウェイ乗り場
富士急のあだたらエクスプレスは「あだたら山ロープウェイ」と名称を変えた 薬師岳展望台 最初は木道を歩く
表登山道・仙女平への分岐 山頂を目指す 途中の案内標識
安達太良山の本山基部 本山の山頂 下降点にはイワカガミが群生していた
烏川右俣源頭から見る矢筈森 烏川右俣を渡る 峰ノ辻
鉄山の崩落箇所も見える 立入禁止になっている岳温泉源泉 県営くろがね小屋
小屋からすぐにある銀明水 塩沢温泉への分岐 湯樋の所にある金明水
勢至平の分岐点 馬車道の脇に作タニウツギ 湯樋の脇にある「勢至塔」
ツツジも見頃 八の字は登山道と馬車道の分岐点 見晴台から安達太良本山(別名乳首山)を望む
登山道を下る 烏川橋は、烏川沿いの「あだたら渓谷自然遊歩道」の入口にもなっている 奥岳のスキー場に戻る

行動記録
 私たち福島登高会は日頃お世話になっている山の清掃登山を、1945年の結成時から40年間途切れることなく実施してきた。清掃登山をはじめたころは山にゴミがいっぱいあり、鬼面山や箕輪山から肥料袋に詰めたゴミを背負子で担いで野地温泉までの登山道を何度も往復したのが今では信じられないぐらいだ。そのゴミは軽トラ荷台いっぱいになった。
 当時は県体育大会やインターハイでさえ、幕営地に穴を掘って山にゴミを埋めていた。登山者にも山にゴミを捨てることの罪悪感は無く、当然のように空き瓶や空き缶、お弁当の空箱など平気で山に捨てていた。私たちはそんな時代に「山からゴミを一掃しよう!」と呼びかけたのだから、「何を余計なことをして」と、一部の人たちからは異端児のような扱いも受けたこともあった。山のゴミが減少するにしたがい登山者の意識も変わり、尾瀬からゴミ入篭が撤去されたのもそんなときである。
 今年の清掃登山は、安達太良山で実施した。コースは2通り、ひとつのコースは沼尻登山口から胎内岩、鉄山を通り本山に登り船明神から沼尻に下りるルート。もうひとつは軟弱組のロープウェイを使って本山に登るルートである。
 最近では山でゴミを見ることも少なくなり、ゴミの減少と共に清掃登山の意義も変化してきている。山を汚さず山からゴミを一掃し、山に負担をかけない登り方を心がけることに加え、山や自然の変化を定期的に調査するなど山岳環境を守るための活動が求められている。私たちの地域で言えば原発事故後の放射線量調査など地域の山の山岳環境を調査し、登山者に対して正しい情報を発信することなど取り組むべき課題はたくさんある。今回は放射線量の調査も兼ねて安達太良山を登ってみた。
 奥岳の駐車場に車を駐めて身支度をすませる。スキー場の情報では奥岳の駐車台数は1500台とあるが、登山口に一番近い駐車場に駐められる実数は300台ぐらいだろうか。それでも天気の良い休日ともなると満車近くなることがある。今日はノンビリとゴンドラに乗って山頂を目指すことにする。今までのゴンドラの名称である富士急の「あだたらエクスプレス」はいつの間にか「あだたら山ロープウェイ」と名前を変えたようだ。今年の運転は4月25日(土)〜11月8日(日)、どうも今年も冬期の運転は無さそうだ。料金は片道1650円、JAF会員同伴だと片道100円、往復だと200円の割引きが受けられる。
 ロープウェイ山頂駅まで10分ほど、あっと言う間に高低差391mを引き上げてくれる。約1時間の短縮である。ゴンドラを下りたら薬師岳展望台に向かう。薬師岳と言っても山頂があるわけではない。1322m標高点のある尾根の肩にあたる。展望台からは別名乳首山と呼ばれる安達太良屋の本山が見え、紅葉の時期には多くの観光客で賑わう。薬師岳展望台もいつの間にか「薬師岳パノラマパーク」と名前が変えられた。
 木道を通って仙女平分岐へと向かう。仙女平分岐手前からの展望が良い。篭山をはじめ安達太良の南北に延びる稜線のピークを見渡すことが出来る。安達太良山が連峰と呼ばれる理由が良くわかる。南から和尚山、本山、矢筈森、鉄山、箕輪山、鬼面山と峰を連ね、冬期の風の強さは一級品である。
 そう勾配のきつくない登りが続く。歩き始めて1時間30分と経たないうちに本山基部に到着する。山頂の岩場へ行くには粘性土の急斜面を登り、右側の鎖を伝って登る。冬期以外は左側の岩場からも登ることが出来るので、すれ違いで渋滞しているときなどは、左側からの下降者がいないことを確認して利用すると良い。
 本山の山頂は登山者で賑わっていた。360度の大パノラマは、安達太良山の魅力のひとつでもある。山頂からの眺めは折角訪れた皆さんに譲って、すぐに下山にかかる。本山基部に戻ったら、烏川右俣の源頭に下る。山頂から和尚山、薬師岳、牛ノ背、それに峰ノ辻に真っ直ぐ向かうコースに分かれる。砂礫地で天気が悪いとルートがわかりづらく、コンパスで良く確認し方向を見違わないようにしたい。冬期の遭難の多くはこの場所と、尾根の幅のある牛ノ背で発生している。
 烏川左俣の源頭に下って行く。徒渉点で早めの昼食にする。この付近はお花畑になっていて稜線上の砂礫地の歩きとは異なった景色が楽しめる。歩く人も少ないので安達太良山でも好きな場所のひとつだ。イワカガミ、アカモノ、オノエランが群生する。
 次に峰ノ辻に登り返す。ここで牛ノ背から矢筈森避難小屋経由の登山道と道を合わせる。峰ノ辻は勢至平への道も分かれるので四差路になっている。ここも砂礫地で悪天時は道を間違いやすいので注意したい。ここからくろがね小屋を目指す。振子沢を横切り、矢筈森から派生する尾根を通り、元の水道小屋の脇を通って尾根伝いに下り、左に折れるとくろがね小屋である。
 私がくろがね小屋を初めて訪れたのは1959年で、今から56年前になる。当時は今の山小屋ではなく、切り妻屋根の質素な作りだった。2階が回廊のようになっていて、昔の山小屋の雰囲気がそのまま残された小屋だと記憶している。新しく県営くろがね小屋として建て替えられたのが1963年で、岳温泉の二瓶義松さんが長い間管理人としての役目を果たされてきた。私が高校1年の冬に夏テンで小屋の外に泊まっているとき、吹雪で1日だけ泊めさせてもらったことがある。その二瓶さんが最近になって亡くなったことを知った。ご冥福を祈りたい。
 くろがね小屋から馬ノ背への登山道は、源泉地の雪の空洞に登山者が落ち有毒性ガスにより死亡事故があってからは立入が禁止された。くろがね小屋からは、銀明水のところから湯川沿いに下る塩沢温泉への下山路と、湯樋沿いの馬車道を通る奥岳への下山路とに分かれる。今は小屋への荷物搬入は車だが、以前は馬が荷車を引いて荷揚げしていた。馬車道と言う名称はその名残である。
 馬車道は湯樋沿いに勢至平を経て八の字まで登山道を兼ねる。私が子供の頃は馬車道は無く、湯樋の道が登山道だった。勢至平の湯樋の脇にある「勢至塔」は当時の名残である。
 いつの間にか馬車道と登山道の分岐に「八の字」の標識が立てられ、登山道は「旧道」と呼ばれるようになった。県外から訪れる人は、馬車道が正規のルートで、旧道は廃道と思い込んで馬車道を歩く人が多い。標識も良く考えて名前を付けないと、誤解を与えてしまうことになる。そう言えば湯川の霧降ノ滝も、手前の中ノ滝に「霧降ノ滝」の標柱が立てられたことがあった。このように地名や滝名がいつの間にか変わってしまう事例は多いようだ。
 八の字から少し下り、登山道から右に少し入ると見晴台だ。山頂の乳首山が良く見える。登山道に戻って湯樋を横切り下山を続ける。時々馬車道と合わさるが、登山道は最短で烏川橋まで下る。スキー場までくると馬車道も幅が広くなる。車を置いてきた奥岳駐車場も近い。下山届けを登山者カード入れに入れて山行を終える。なお、奥岳の登山者カード入れは、スキー場のパトロール詰所の脇と、ロープウェイ山頂駅の出口の所にある。今は県警にメールで登山届けも提出できるようになっているので必ず計画書を提出してから登山を開始したい。(I.I)

安達太良山で出会った花
ツマトリソウ マイズルソウ イワカガミ
ウラジロヨウラク アカモノ ゴゼンタチバナ
イソツツジ オノエラン サラサドウダンツツジ

空間放射線量
観測地点/特徴
時間
空間線量率(単位:μSv/h)
測定位置高さ100cm/
0cm
緯度/経度
最大値 最小値 平均値
Data1 奥岳スキー場登山口/未立木地、草地
時間 9時00分
0.273
0.278
0.251
0.260
0.259
0.272
北緯 37゜37' 21.73"
東経 140゜19' 30.64"
Data2 ロープウェイ山頂駅/灌木地、土砂
時間 9時16分
0.140
0.190
0.124
0.178
0.134
0.184
北緯 37゜37' 11.40"
東経 140゜18' 32.40"
Data3 薬師岳展望台/小灌木地、礫交じり土
時間 9時23分
0.109
0.129
0.102
0.124
0.105
0.126
北緯 37゜37' 14.22"
東経 140゜18' 31.85
"
Data4 仙女平分岐/小灌木地、粘性土
時間 9時57分
0.098
0.077
0.083
0.071
0.089
0.074
北緯 37゜37' 08.02"
東経 140゜17' 51.44
"
Data5 本山基部/未立木地、砂礫
時間 10時40分
0.040
0.037
0.031
0.032
0.035
0.035
北緯 37゜37' 15.46"
東経 140゜17' 18.57
"
Data6 安達太良山山頂/未立木地、砂礫
時間 10時46分
0.052
0.062
0.049
0.059
0.050
0.060
北緯 37゜37' 16.07"
東経 140゜17' 16.43
"
Data7 烏川右俣源頭/小灌木地、礫交じり土
時間 11時20分
0.093
0.103
0.088
0.097
0.090
0.099
北緯 37゜37' 30.90"
東経 140゜17' 21.66
"
Data8 峰ノ辻/未立木地、砂礫
時間 11時45分
0.057
0.046
0.052
0.041
0.054
0.044
北緯 37゜37' 33.18"
東経 140゜17' 25.25
"
Data9 振子沢源頭/子灌木地、礫交じり土
時間 11時55分
0.147
0.217
0.138
0.198
0.142
0.204
北緯 37゜37' 38.81"
東経 140゜17' 26.06
"
Data10 くろがね小屋前登山道/灌木地、礫交土
時間 12時21分
0.094
0.168
0.091
0.158
0.094
0.164
北緯 37゜37' 55.70"
東経 140゜17' 35.58
"
Data11 銀明水前登山道/灌木地、礫交じり土
時間 12時30分
0.068
0.071
0.055
0.064
0.062
0.069
北緯 37゜37' 58.41"
東経 140゜17' 42.00
"
Data12 金明水/灌木地、湯樋上
時間 12時42分
0.104
0.121
0.082
0.114
0.093
0.117
北緯 37゜37' 58.41"
東経 140゜17' 42.00
"
Data13 勢至平分岐/灌木地、土砂
時間 12時54分
0.060
0.066
0.054
0.060
0.056
0.063
北緯 37゜38' 02.60"
東経 140゜18' 15.75
"
Data14 八の字/天然広葉樹林、土砂
時間 13時17分
0.101
0.120
0.092
0.114
0.097
0.117
北緯 37゜37' 45.29"
東経 140゜18' 45.58
"
Data15 見晴台/天然広葉樹針葉樹林、土砂
時間 13時23分
0.115
0.203
0.093
0.197
0.107
0.201
北緯 37゜37' 42.41"
東経 140゜18' 49.73
"
Data16 烏川橋脇/天然広葉樹林、土砂
時間 13時45分
0.150
0.117
0.139
0.107
0.145
0.111
北緯 37゜37' 32.77"
東経 140゜19' 04.27
"
Data17 奥岳スキー馬車道入口/カラマツ、草地
時間 14時06分
0.203
0.210
0.189
0.193
0.195
0.203
北緯 37゜37' 27.70"
東経 140゜19' 23.69
"
Data18 奥岳駐車場/未立木地、砂礫
時間 14時13分
0.060
0.064
0.049
0.056
0.054
0.060
北緯 37゜37' 22.18"
東経 140゜19' 33.24"
特記 緯度経度はGPSの性能の関係で多少の誤差があります。
放射線測定器 測定位置高さ100cmはPA-1000、0cmはPA-1100(堀場製作所)
 
いずれも2014年8月27日校正すみ
調査中の行動時間 5時間17分、積算線量 0.602μSv

おもな地点における空間放射線量の推移(2011年〜2015年)
観測地点 空間線量率(単位:μSv/h)
測定位置高さ100cm
2011/10/18 2012/10/12 2013/10/27 2014/09/15 2015/6/14
Data1 奥岳駐車場 0.142 0.117 0.074 0.106 0.054
Data2 ロープウェイ乗場手前草地 0.319 0.259
Data3 ロープウェイ山麓駅前 0.173 0.139 0.111
Data4 五葉松平・標柱 0.188
Data5 ロープウェイ山頂駅前 0.227 0.140 0.104 0.134
Data6 薬師岳展望台 0.156 0.113 0.091 0.086 0.105
Data7 仙女平分岐 0.165 0.138 0.099 0.094 0.089
Data8 本山基部 0.069 0.061 0.050 0.047 0.035
Data9 安達太良山山頂 0.072 0.087 0.060 0.059 0.050
Data10 烏川右俣源頭 0.109 0.123 0.085 0.090
Data11 峰ノ辻 0.065 0.065 0.051 0.054
Data12 くろがね小屋前登山道 0.137 0.154 0.101 0.094
Data13 金明水 0.135 0.097 0.093
Data14 勢至平分岐 0.131 0.096 0.075 0.056
Data15 八の字 0.150 0.125 0.086 0.097
Data16 見晴台 0.179 0.107
Data17 烏川橋 0.276 0.252 0.183 0.145
特記 放射線測定器 PA-1000 または、PA-1100(堀場製作所)
植生、地形、土質などの違いにより、調査位置は1mずれても数値が異なります。ほぼ同一箇所で調査していますが多少のずれがあります。
他のコース、他の調査箇所については、各調査報告書に記載・整理されています。


概念図

トラック ルート=赤

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